一言で表すなら、突き抜けてます。そんな感想が真っ先に出てしまう作品です。タイトルとあらすじからして、若干の不安は抱いてはいたのですが……。
まさか、ここまでトンデモない勢いと、それから生じる腹筋突破力を有する内容とは思ってもみませんでした。まず、登場人物のキャラが濃ゆい。濃ゆいどころか、溢れだして滴り落ちてるってレベルで個性が激発しています。ほとんどの人物が、登場してから数行、さらりと読んだ時点で自動的に脳へと刻み込まれていました……。
また、さらに素晴らしいのは、そんな彼らが織りなす痛快な掛け合いです。自己主張の甚だしい方々が、互いにベーゴマよろしく激突しあい、繰り出された会話劇は、もはやシュールを越えてカオスといった様相を呈します。結果、読者の横隔膜は痙攣を起こさざるを得なくなるわけですね。つまりヤバイ。電車内などの公共の場で、この作品を読むのは身の危険を伴うでしょう。
しかし、そういったギャグ要素の中で、ふとした拍子にきらりと光る人情があったことも、忘れられない点の一つです。暴虐的なはちゃめちゃの先に、思春期の少女が持つ等身大の感情が顔を覗かせ、それにぬるりと寄り添う主人公の姿が、とても印象的でした。
総じて、一癖も二癖もある作品です。日常の生温さを丸洗いしたい人に、ぜひおすすめしたいです!