第14話昼食は部室で
あくる日、美和子がお昼のちょっと前の時間に部室へ出向くと、山崎部長が、
「美和子、この割引券をあげるよ。同じ学科の友人から貰ったものなのだけれども、僕こんな高級な食べ物、昼食として食べないからさ。美和子が使ってくれないかい?」
そう言って山崎部長は『ほっかほっか亭』の割引券を、美和子にくれた。
(山崎部長にとって『ほっかほっか亭』って、高級料理なのね……まあたしかにお弁当としては、値段は安い方ではないけれども……)
普通大学生にでもなれば、大学の学費はともかく、その他の大学生活を送る上で必要なお金……例えば通学のための定期券代や昼食代、そして大学の講義で使用する教科書や参考書代などは、アルバイトなどで何とかするのが本来当たり前なのだろうが、美和子の場合両親には申し訳ないとは思いつつも、その辺の金額まで、全部両親が出してくれていたからだ。
美和子は山崎部長から貰った割引券を使って、大学から歩いて数分のところにある『ほっかほっか亭』で買った弁当を、昼食として部室で食べていた。
愛美とは美和子が理系同好会への入部を決めてからは絶交状態になってしまったため、美和子にとって昼休みにどこか決まった場所で昼食を食べたり、愛美と絶交する前のように、誰か決まった友人と昼食を食べたりといったこともなくなってしまったので、美和子は次第に昼休みの時間を、理系同好会の部室で過ごすようになるのが、日課になりつつあった。
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