第13話タランチュラと『虫王』
美和子が理系同好会の正式な部員になってからほどなくして、美和子は部室内を見渡していた。すると部室内に置かれていた、飼育ケースが目に入った美和子。中にはクモ……しかも美和子には猛毒のイメージのある『タランチュラ』が、飼育のためのケースの中には入れられていた。なので美和子は根岸先輩に、
「どうして部室に、タランチュラなんているのですか?」
美和子にとって『タランチュラ=咬む猛毒昆虫』というイメージが、しっかりと身についていたから、そう聞いたのだった。すると根岸先輩は、
「昔深夜番組で『虫王』っていうのが、流行っていた時期がありましてね」
根岸先輩はそう言うと、続けて、
「猛毒を持っている昆虫や、捕食昆虫たちだけで、どの虫が最強かを決める……。そんな番組が深夜にやっていたんですよ。たしかDVDにも一部の映像は収録されて、売られていましたけど……。今から考えれば不謹慎な内容の番組だったですけれども、企画としては目新しいものだったですよね」
すると今度はそのやり取りを聞いていた朝霞先輩が、
「オオカマキリはオオスズメバチに限らず、どの虫相手でも、コテンパンにやられていましたからね。まあカマキリの類がオオスズメバチには絶対に敵わないっていうのは、何も都市伝説ではなくって、本当のことだったのですよね」
その会話のやり取りを、やはり近くで聞いてた増田先輩が、
「そのオオスズメバチだって、ダイオウサソリが相手では、いとも簡単に食いちぎられていましたからねぇ」
そこまで聞いて、ケースの中に入れられているタランチュラについて、明らかに怖がりはじめていた美和子を気遣ってか、根岸先輩が、
「そこに入れられているタランチュラは、変に刺激さえしなければ、特に刺してきたり、毒の毛で手が荒れるなんてことはないですよ」
するとそこまで同じように話を聞いていた山崎部長が、
「虫王のDVDは、僕の自宅にあるから、美和子、そのDVDを貸してあげようかい? 実際に実物の映像を見てみるかい?」
そう山崎部長から言われたが、虫が大嫌いな美和子は「遠慮しておきます」と、丁重にお断りをした。
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