第22話 アレ

 新型魔動人は、腰の剣を鉈(なた)の代わりにし、邪魔な茂みを薙ぎ払いながら道を確保し駆ける。



「お早い、お着きで。」

 団長が迎えた。

「用意できております。」

「判った。」


 技術責任者が巨大な金属の箱の横で王子を迎える。

「これなら、城魔獣を倒せるのだろ?」

「理論上は。」

「結構。」

「ですが、試験は…。」

「今からやる!」

「解りました。では、私(わたくし)めは、データを取らせていただきまする。」

「生きて帰れたら、活用してくれ。」

「是非、そうしたいですな。」

 二人は笑う。


「行くぞ!」

 新型魔動人は巨大な箱の中に手を入れ、太いコードの様なものを引き出す。

「それを、右の腰にあるコネクターに。」

 言われる通りの腰装甲の後ろに隠されたコネクターに接続し、続けて取り出したのは…。


 『巨大な大砲』


 右脇に抱える様に持ち、左手で砲身を構えた。


 使用されていなかったパネルに光が灯り、接続されたと確認された。

「接続確認!」

 そのパネルの脇のスイッチを『パチン』と上げる。

「魔力注入開始。」

 機体と接続したコードを七色の光りが大砲へと流れる。そして、大砲に付けられた四角に細く区切られたゲージを灯していく。


 初め薄っすらと明るかったパネルが次第に強い光へ。

「魔力充填率30%。」

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