第17話 魔獣の森

 森は深く、そして広い。魔動人よりも遥かに高い樹々が聳(そび)え立つ。


 森に分け入っていると王子が不意に、

「ここより、先は巨大な魔獣が出没します。」

 溜めて、

「故に、ここが国境なのです。」

 なるほど、魔獣と交わらないギリギリが国境と言うことか…。



 新型魔動人を先頭にした魔動人部隊は、一路目撃情報の一番多かった場所へ向かう。


 途中、衝撃的だったのは…、魔動人部隊を待機させ斥候(せっこう)の歩兵が偵察に出た。

 アニメでは描かれていなかった『これが本当のリアルだ。』と思った。

 アニメでは派手な戦闘がメインで描かれているんだと…。



 何度か、偵察を繰り返すと『痕跡』発見の知らせがあった。

 間違いなく近くに魔獣は居る。



 何度目かの報告、

「真新しい痕跡です。近くに、魔獣トーリスがいると思われます。」

 部隊に緊張が走る!


 斥候の一人が、スルスルと木に登り索敵を始める。


「合図です。向こうに三匹。」

 遠眼鏡で木の上の斥候のサインを読み取り部隊に伝える斥候隊長。


「三匹か、丁度良い数だな。」

 王子は操縦桿を握り直し、機体の拡声器を使い、

「新型魔動人の単騎駆(たんきがけ)を行う。銀の剣団は魔獣を逃さぬ様に周囲に展開だ。」

 銀の剣団は、返事の代わりに武器を天に掲げた。

 本物は迫力が違う。それだけで感動した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る