第16話 出陣
白い靄の中を一人歩く僕…。ここが何処だか判らないが、ひたすら前へ。
そんな世界から僕を引き戻したのは、朝の雑多。声、音、匂い、光、それら。
テントから這い出すと、
「おはようございます。シオン殿。」
「おはようございます。」
反射的に返したが、この人は誰だったか…。
「お食事をお持ちしました。」
「ありがとうございます。」
受け取ると、一礼し去って行く。思い出せなかった。
食事を済ませる頃合いを見計らった様に、やって来たのは着付け担当、
「本日より、操縦着を着付けさせて頂きます。」
操縦着を着込み、機体の元へ行くと技術責任者が待っていた。
「本日より感応羊水を注入します。」
横に巨大なガラス容器が幾つも用意されている。ちょっとだけ憂鬱な気分になった。
「おはよう。」
王子も操縦着でやって来る。それを見た時、これから本当に魔獣との戦いが始まるのだと実感できた。
体が震えたのは武者震い、武者震いと自分に言い聞かせる。
「今日は、頼みますぞ。シオン殿。」
と、王子は『ポン』と肩に手を置く。
「はい。」
とだけ答えられた。
感応羊水が満たされ準備完了。
「出陣!」
王子の号令で、大地を震わせ魔動人の部隊が歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます