第14話 道中

 道中は、何事も無く進む…。某映画の様な感じで、地図上をベクトルの矢印が移動…しない。


 何事も無いのは、襲われたりしないってことだけ…。僕には、色々とあった。


 目的地までの間の村や町で行われる挨拶(あいさつ)回り。到着する度に僕と王子は、そこでの有力者に顔見せ。

 ちなみに、行列はそのまま進んでいるので、毎回後から早足で追い駆ける。


 王子にとっては、政治的意味合いを持つ大切な事みたいだ。まあ、人気が無ければ第一王子と言えども次期王様には成れない。


 三日目の昼頃。目的地の村に到着した。


「日が落ちる前に、陣を敷け!」

 王子の号令で、村外れの広場に作業の音が響く。


「ここに陣を構え、明日より魔獣討伐を開始する。」

 王子が一言告げ、一番に建てられた専用の巨大テントへ向う。


 手持ち無沙汰になった僕は近くで設営作業している人へ、

「何か、手伝える事はありますか?」

と…

「これは、我々の約目ですから…。」

 やんわりと断られた。

 後で聞いた話では、素人が入ると邪魔になるとか…。確かにそうだ。


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