第11話 調整と訓練
その日から機体の調整中に、王子自らが指南役となり武術の特訓が始まった。
機体を動かすのがパイロットなら、武器を扱う術(すべ)を知らなければ戦えないのは、当然だ。
僕は運動音痴…、が判る程運動したことが無い。学校の授業で体育はやったけど…、優劣を決めるものではなかったので流していた感じた。
「もう、バテましたかな?」
肩で息をする僕。こんなことなら、何かスポーツでもやっておけば良かったと今更ながら思う。
転生し別の身体とはいえ、扱うのが僕なのだからやったことも無い事は簡単にできないのは当たり前だ。
「まだ、やれます。」
転生者として、かっこ悪いところはみせられない。
「今回の調整で、シオン殿の魔力の波長にかなりシンクロしたと思います。」
機体の調整が終わったとの知らせは、まさに天の助けだった。やはり、王子との訓練は辛い。
「では、ゆっくりと動かしてみてください…。」
調整と訓練の楽しく辛い日々がしばらく続く…。
「機体の調整を次の段階へ進めます。」
と、技術責任者。
「次の段階ですか?」
「そうです。実働形式の調整に入ります。」
嫌ーな、予感がしたのは言うまでもない。
「付きましては、お召し物は全部脱いで頂く事に…。」
頭を下げた。
「やっぱり…。」
「実働では、専用の服を着てになると思いますが、調整の為に何度も出入りするので…。」
「そうですよね…。」
諦め、部屋の一角に設けられた脱衣場に行く…。
機体に乗り込むと、
「これを。」
渡されたのは蛇腹のチューブが付いた口と鼻を被うマスク。呼吸用なのは聞かなくても判る形だ。
「ハッチ閉めます。」
いつもなら閉めて終わりなのだが、今は『ギュー』の絞り込む様な音が聞こえる。気密用だとか。
「感応羊水、注入開始します。」
コックピット内に、声がこだました。
「冷た!」
足元から透明な羊水がジワジワとコックピットを満たしていく。
隙間なく羊水に満たされるコックピット。
何だか、全身がぼんやりとした感覚になる。
「それでは、動かしてみてください。」
羊水を通したからなのか、声の響きがいつもと違う。
しばらく、技術責任者の言う通りに動かしていた。
感応羊水のおかげか、反応が良い。例えるなら、今まではロボットを動かしているだったのが、自分の体がロボットになった感覚だ。
「止めてください。調整します。」
指示通りに止めると、
「そのまま、お待ちください。」
調整は開始される。出入り考えると、こうなるのは必然だ。
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