第8話 出す

 一通り見せてもらった…。と、言っても頭の中は新型魔動人の名前の事でいっぱいだった。


 王子が話し合いをしているところへと戻る。


 気が付き、

「どうですかな?」

と、曖昧な言い方。

「素晴らしいです。動くところが見てみたいですよ。」

 名前については、触れないでおいた。

「丁度良い。」

 助かったと表情からも見て取れた。また、考え初め止まる(フリーズ)するのではと思っていたみたいだから…。


「誰か。」

 王子が呼ぶと、近くの者が足を止めやって来た。

「出せるか?」

「はい。そろそろ準備が整うかと…。」

 そんな会話をしている二人越しに、見たことが無い四脚の生き物の群れが連れられ、こちらに向かっていた。

「あれは…。」

 僕の言葉で気が付き、

「来ましたな。では、直に準備いたします。」

と、離れて行く。

「あれに、引っ張らせるのですよ。」

 王子の説明で、あれはこの世界の労働用の家畜だと推測できた。


 極太のロープが何本も木組みのハンガーデッキに掛けられ家畜に繋がれた。新型に気を取られ、見落としていた。ハンガーデッキに車輪が付いている。そのまま移動できるのか。


「結び目を確認しろ!」

 その言葉で最終確認が行われた。

「大丈夫です!」

 数箇所から上がる声を目で追いながら、見落としは無いかと確認し、

「よし! 引け!」

 家畜に鞭が入れられ、ゆっくりと歩き出す。



 工房から引き出された新型は、やはり大きい。そして、日の下で見る機体の輝きは心を躍らせる。


 目の前を通り過ぎる機体を眺めていると、

「参りましょうか。」

と、王子が歩き始めた。機体の後を追っている。慌て僕は王子を追いかけ並ぶ。

「専用の施設がありますから。」

 専用の施設まであるとは驚きだった。

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