第5話 朝

「お早うございます。」

と共に眩(まばゆ)い光が瞼(まぶた)の上から目を刺す。

「よく寝られましたか?」

 次第に覚醒していき、質問の意味が分かってきた。

「お早うございます。」

と、次々にカーテンを開けていく。

 僕はゆっくりと体を起こすと、寝ていたのがベットだと解る。

「お着替えをここに置きます。」

 どう見てもメイドだけど…。

「あの…。どちら様でしょう?」

 はっとしたメイドさんは、

「紹介が遅れました。私は、騎士様のお世話をするようにと申し付けられた者にに御座います。」

 どうやら、メイドさんには違いないみたいだ。

 昨日の出来事…、転生は夢じゃ無かったと解った。


 カーテンを開け終えると、

「直にお食事をお持ち致しますね。」

と、出て行く。


 僕が着替えを終えるタイミングで、先程のメイドさんがワゴンを運んで来た。

「こちらへ。」

と、花が飾られたテーブルへ促された。


 椅子に座ると、飾られた花が気になった。観察すると新しい。摘まれたばかりのようだ。これは、アレだと、

「この花、摘まれたばかりですね。」

 メイドは驚き、

「左様でござきます。細かい事にお気づきになる。流石、転生騎士様ですね。」

「朝摘みですか。ありがとう御座います。」

「いえいえ。私は騎士様に喜んでいただければ。」

と、お辞儀した。

 これも、第一話で主人公がやっていたのを真似たとも言えず、ちょっと困った。


 並べられた朝食。美味しそうだ。

 そう言えば、まともな朝食なんていつ以来だろう…。夜更かしの生活で、朝はぎりぎりまで寝てそのまま家を出るが当たり前になったのは…。


 朝食は、見た目もさる事ながら味も一流だった。口に運ぶ手が止まらない。


 あっと言う間に食べ終える。美味しかったからだと言っておく。

「ごちそうさまでした。」


 片づけを終えたメイドが、

「後で、迎えの者が来ると思いますので…。」

 言い残して部屋を出た。

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