第6話 復讐

 7月5日、5時23分。前田、鈴木、そして俺。

 この町を無法地帯にした連中、確信がある。学校にいる不良グループとそれにくっつく奴等だ。そして溜まり場を偵察して来た写真を鈴木が見るとそこには襲った奴らがいた。

 することはひとつだった。放置された車のエンジンをかけた。


 溜まり場は少しだけ開けた場所だ。車一台がなんとか通れるほどの道がある。そこさえ塞げば袋の鼠。作業用手袋を履いてスコップを持つ。前田がハンドルを握りアクセルを踏み込んだ。

 細い道に向けて側面を擦りながら突入すると何人か轢かれたようだ。車から飛び出てすぐにスコップを取り手当たり次第に頭に向けて振り下ろした。

 ハンマーで頭を砕く音、鉄パイプの打撃音が響き渡る。あたりには鮮血が散らかる。

 突然のことで反撃する暇すらなかったようだ。


「危ない!」


 鈴木の声がコンクリートに反響する。振り返ると男がナイフを持って向かって来た。刃先が鈴木の腹部に深く刺さる。

 すぐに前田が男の頭にハンマーを振り下ろす。

 倒れこむ鈴木の腹からは血が止まることなく湧き出ていた。

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