第5話 バスケ
第三章
修学旅行から帰ってきて、早くも一カ月と言う期間が過ぎようとしていた頃、俺は休日だというのに昼間から家でゴロゴロ寝ていた。
「勉強しねぇなら店の仕事でも手伝え」
食後の休憩中である親父が鬱陶しそうに言う。ちなみに他の兄妹たちは、みんな外へ遊びに出かけていた。
「荷物なら運んだろ? さっさと配達に行ったら?」
「帳簿が済んだらな。一緒に行くか?」
「嫌だよ」
洗い物を終えた母が数枚のチラシをテーブルの上に置く。
「塾とか行きたくならない?」
「……自力で頑張らせてください」
特に行きたい学校があるわけでもないし、今から上を目指して受験勉強なんてする気にはなれない。楽しい修学旅行から普段の日常に戻ったことにより、熱中できるものが無い俺は生活から無気力になっていた。
それを見かねた両親は俺に何かやらせたいらしく、店の手伝いでも受験勉強でも、何かを誘われては断るという日々が続いている。今日もその一環だ。
「準、そろそろ商店街の祭りがあるのは知ってるな?」
毎年、我が花見月商店街では、春の終わりである六月の上旬に地元の神様を慰める御礼祭というものが開かれる。元々は農業の神様を讃える祭であり、田植えの豊作と雨乞いを願ったのが発祥だそうだ。
現在では小規模でありながら、商工会の役員たちがイベントの一つとして目をつけ、地域を活性化させようと動いている。
「それが何?」
「お前を青年部の盛り上げ隊長に任命する」
親父は商工会の会長であり、昔は青年部の部長だった。そのコネを使えば俺を祭に押し込むのは朝飯前だろうが、だから何だという話である。
「……無理だよ。兄貴じゃあるまいし」
「何も涯のようにやれとは言ってないだろ」
「そういうキャラじゃないんだって」
無意識に兄貴の名前を出してしまった。このまま兄貴の話になるのも癪だったため、やはり俺もどこかへ出かけることに決めた。
「どこに行くの?」
「……塾の下見にでも行ってくるよ」
母にそう告げて家を出る。勢いのまま外へ出たため、目的地も無いまま近所をフラフラするしかなかった。
本当なら、今日は一日中家で引き籠っていたかった。なぜなら、本日はバスケ中体連の秋季大会が行われているからである。今頃あいつらは試合中で白熱しているんだろうなと考えると、目の奥から込み上げてくるものがあった。
実は修学旅行が終わってから、一度は部活に顔を出したのである。俺が来たところで部員たちは何の関心も示さなかった。まぁ、用があるのは顧問だ。俺はもう一度バスケをやらせてくれと頼み込んだのだが、それ以前の問題であったことが発覚した。
なんと、俺は選手登録さえされていなかったのだ。それどころか、勝手にバスケ部を自主退部したことになっている。俺が努力して練習した二年間は空白となり、内申書にも悪いことしか反映されない。俺は挑戦することすら許されなかった。
「なんか知らない奴がいたな」
去り際に聞こえた顧問の一言と、部員たちの笑い声が俺の脳味噌を叩き潰す。
……そのようなことがあってから、あまりバスケのことは考えないようにしていたのだが、気づいたら自然と足は体育館の方へ向いてしまった。
ユニフォームを着た大勢の選手たちと、外からでも聞こえるドリブルの音に誘われ、ついつい体育館の中に入る。そしてトーナメント表の確認をした。
天道中は一回戦を勝ち上がり、ちょうど今から二回戦を始めるところだった。相手は隣町の紋白中学校である。彼らとは浅からぬ因縁があり、バスケでも幾度となく対戦してきたのだが、最近はセンターの差で負けっぱなしになっていた。
俺は試合に参加できずとも、この戦いがどうなるのか最後まで見届けなければいけないと思った。噂話が好きな部員の保護者に気づかれないよう、二階の離れた観客席で隠れながら試合を見ることにする。
少しは期待して試合を見守っていたのだが、蓋を開けてみたら結果は惨敗だった。
最初は基本に忠実なキャプテンの鈴木がいたおかげで、順調なスタートの滑り出を見せる。ボールを持ち過ぎる癖のある坪井が暴走気味ではあっても、相手センターにくらいつく関口のリバウンドは鬼気迫る勢いだった。
その後も好調なペースを維持し続け、特に危な気も無く試合運びが出来ていたはずなのだ。そのままラストの第四クォーターで十点差がついた時、会場にいた誰もが天道中の勝ちを確信していた。
しかし、名将ぶった顧問が残り時間二分で、メンバーの総入れ替えを指示したのだ。試合に出ていた選手も、ベンチにいた控えも誰も文句を言わず、試合の行方は後輩チームに託されたのである。
そして逆転された。
試合の残り時間が二分になると、シュートが決められても時計が止まらない代わりに、選手の交代もできなくなるのだ。また、自分たちがボールをコート外に出したり、故意にファールをしたりしても交代はできない。つまり、相手オフェンスが持つボールに触れることもできず、後輩チームは得点を許しまくっていた。
なぜ顧問がメンバーの総入れ替えを行ったのかと言うと、中体連の大会ではスターティングメンバ―以外で、最低五人以上の選手を試合に出場させないといけないという決まりがあるからである。それを忘れていたクソ顧問は、この一試合だけで控え選手を消費しようとしやがったのだ。
それに加え、おそらく顧問は下級生にも大会の試合を経験させたかったのだろう。そうすることで、三年生が引退した後でも気後れすることなく試合に集中できる。
先を見据えての判断なのだろうが、三年生の控え選手は最後の試合に出ることなく終わってしまった。同じクラスの後藤なんかは、負けてしまった現実を受け止められず、泣くこともできないままベンチで間抜け面を晒している。
俺は今すぐコートに立って、身勝手な顧問を殴り殺したかった。生徒を自分の道具として扱う顧問が許せなかった。でも、俺は観客席で蹲って、嗚咽を漏らすことしかできない……。怒りよりも先に、無念すぎる想いが心を支配していた。
その空いた心の隙間に、憎悪や、復讐心が侵入してくる。負の感情はどんどん膨らむ一方であり、俺の思考を塗り潰していく。
……やはり顧問に反抗した俺は間違っていなかった。例え顧問に襲いかかって殺したとしても、俺は間違っていなかったと断言できる。将来に希望は無い。やりたいことも無い。ただ憎むべき相手を、止めなかった怨むべき社会を、その全てを壊したかった……。
しかし、家族と親友の顔を思い浮かべることで、殺意の衝動から踏み止まることができる。どんなに許し難いことであろうとも、彼らに迷惑はかけられない。そうなると、やはり俺は自分を殺すしかなかった。
× ×
場違いすぎて居た堪れなくなった俺は、すぐに体育館を出る。この胸に抱えた爆弾を、早く誰もいないところで安全に処理しなければいけない。もう爆弾が重すぎて、腕で支えているのが精いっぱいだ。少し気を緩めただけで爆弾を落としそうになる。一瞬でも注意が逸れただけで転びそうになる。
もはや限界だった。導火線の火は消えなかった。俺は辿り着いた先の河川堤防に登り、対岸に向かって全力で叫ぶ。
「どうすれば良かったんだよッ!」
挑戦することもできず、機会も失われて、情熱があったとしても煙たがれるだけ。これじゃ努力する意義なんて、生きている意味なんて皆無じゃないか。
それなら爆発させろ。一人では抱えきれないほどの怒りを、今まで我慢して溜まっている鬱憤を、川でも海でもブチ撒けさせてくれ。
しかし、いくら吐き出しても楽にはならない。心は軽くならない。流れゆく川は苦悩を受け止めてはくれず、ただ空虚に声が木霊するだけだった。
何をやっているんだ俺は? 一人で川に来て叫んでいる姿なんて、とてもじゃないが知り合いには見せられないな。
「……どうしたの⁉」
孤独を感じながら自暴自棄になっていると、河川敷で基樹に出くわした。今さっき情けない姿など見せられないと、一人で自虐していたばかりである。なんとかして散歩をしていたフリで誤魔化そう。
「いえ、レトルトカレーの封が上手く開けられなくて……」
いくらなんでも都合が良すぎるため、気の効いた台詞を考える余裕さえない。これでは逆に何かあったと伝えているようなものだ。つい口に出てしまった冗談が空振りで終わらないよう、俺は基樹に質問を返す。
「そちらはどうしたんすか?」
「あ、これから永介君の家へ遊びに行くんだ。準君も行こうよ」
嬉しいお誘いではあるが、二人で約束していたのに俺が邪魔して良いのだろうか? とはいえ、基樹は社交辞令なんて言うようなキャラじゃないしなぁ……。
「ここにいたのか!」
二人の間で気まずい空気を共有していると、後方から国府台がユニフォーム姿のまま向かって来る。彼女は息を切らしながら駆け足で俺たちの元へ着き、一先ずは手に膝をついて呼吸を整えていた。
まさか俺を追いかけてきたのだろうか? そんなに自惚れてはいけないと思いながらも、一応おずおずと訊いてみた。
「……どうしたんすか?」
「どうしたもこうしたもあるか! 切迫した表情で体育館を飛び出すから、心配になって追いかけたんだ!」
国府台に胸倉を掴まれる。至近距離で噛みつくような勢いで捲し立てられても、俺の頭は別のことでいっぱいだった。
「……もしかして、見てたんすか?」
「あ、いや、たまたま見えただけで、別に探してたとかじゃないから……」
ぐわああああ~~ッ! 恥ずかしい! 死にてぇ!
バスケに未練は無いとか言いつつ内緒で試合を見に行って、あろうことか敗北して観客席で蹲って泣いていた姿を同級生の女子に目撃されていたとは、これ以上ない恥辱である。
「とにかく! 準が無事で良かった」
世界なんか滅んでしまえば良いと、世捨て人のように暗い表情で俯いていると、今度は国府台に抱きしめられた。世界は捨てたもんじゃないね。
「って、ごめん……」
「何がです?」
「少し、汗臭いから……」
いや、乙女らしい純情な反応をされてしまうと、こっちまで照れてしまう。君の汗からはフローラルミントのような香りがするから大丈夫だよ、なんて俺の貧困なボキャブラリーでフォローしておけば良いのだろうか?
「クロちゃんにも可愛い所があったんだね」
「どういう意味だ?」
純真な乙女心は空の彼方へ吹き飛び、青く冷たい瞳が暗く基樹を恫喝する。
あのままだとテレビでしか見たことがないような、いかにも青春っぽいラブロマンスが始まりそうだったため、基樹がいて良かったと出会ってから初めて思った。
ひとしきり睨んで基樹を怯えさせると、国府台は俺の方へ向き直る。
「試合の結果は残念だったけど、誰が悪いわけでもないさ。高校だってあるし、今度こそバスケに専念できる環境を選んで、またリベンジしないか?」
そんな簡単に気持ちの切り替えがついたら、俺だって人を憎むような苦労はしない。俺は俺の中で社会に対する決着をつける。そうして気持ちの収め所を見つけなければ、どうしても俺は前に進める気がしなかった。
「いや、僕はバスケとかどうでもいいですし、体育館を飛び出したのも基樹君との約束に遅れそうだったからですし、勘違いしないでください」
しかし、停滞していることを他人に悟られたくはない。もはや自分と言うものが分からない。やりたいこともない。
もし、自分が空っぽな人間だということを認めてしまったら、俺は今すぐにでも死を選ぶだろう。そんな俺が生命活動を続けようとするのなら、カッコ悪いまま尻尾を巻いて逃げるしかなかった。
「……その腐った根性、このアタシが叩き直してやる」
たまたま出会っただけの基樹と約束をしていたという、咄嗟に出まかせを言った理由は弱かったようだ。何をやっても中途半端な俺は逃げきれず、前しか見ていない国府台に捕まってしまう。
「ぐえっ!」
バスケ部に戻るため釈迦戸を尾行した時と同様、俺は首根っこを掴まれて強制的に移動させられる。しっかり首が締まって声を出せず、俺は基樹に目線で助けを求めた。
「楽しそうだね」
どこがだ。解放されたら真っ先に襲い掛かってやる。
先頭に立つ国府台が俺を引っ張り、力に逆らえない俺は後ろ向きのまま歩かされ、それを後ろから基樹がニコニコ顔で健気についてくるという、異様な光景を見せつけるパーティ編成だった。
「ここで1ON1するよ。準備しな」
国府台に連れて行かれた場所は、川沿いにある河川敷のグラウンドだった。グラウンドと言っても扱いは公園のようなものであり、その隅っこに寂れたバスケのゴールポストがある。つまり、彼女はここでバスケをしようと言うのだ。
「準備も何も無いですよー」
「つべこべ言うな!」
もしかすると、国府台は俺をバスケの勝負で負かすことができたら、俺が悔しさのあまりバスケを続けると思っているのだろうか? そんなに負けず嫌いな性格だったら、俺も意味の無い嘘を吐くような陰湿すぎる捻くれ方をしていない。
「ルールは先に三本ゴールした方の勝ちだ。アタシが勝ったら、ちゃんとケジメをつけること。いいね?」
どうでもいい。そんな軽い口約束など、中学を卒業して会わなくなれば、俺も国府台も気にしなくなる。いくらでも踏み倒せるし、どうとでもなる。
そう思ったからこそ、ここは国府台の気が済むまでバスケをした方が賢明だと考えた。俺が勝った場合のことは想定せず、渋々ポジションについてボールを受け取り、適当に手を抜いて相手をしようとした時だった。
「俺たちも混ぜろよ」
バスケットコートで遊ぼうとしている休日の昼下がりに、高校生らしき男三人組が割り込んできたのだ。
俺は常日頃から、年下を相手に威張っている連中が何よりもダサいと思っている。頭の悪そうな馬鹿を相手にする面倒事は避けたいため、早々に退散することを国府台に打診しようとしたが遅かった。
「上等だよ。返り討ちにしてやるさ」
この馬鹿女は何を言っているんだ⁉ どうやら俺との対決を邪魔されて、つい頭に血が上ったらしい。相手の高校生は顔が引きつっている。
「ほぉー……じゃ、3ON3の賭けバスケだ。負けたら点数差×千円払え」
「後で吠え面かくなよ」
もう暴走している国府台に喋らせてはいけない。俺は彼女の手を引き、荷物を置いておいたベンチに引っ込んだ。
「挑発してどうするんですか⁉」
高校生たちは威圧的な態度だったといえど、別に最初から喧嘩を吹っかけてきたわけではない。ただ単純に国府台と同じようなバスケ好きであり、一緒にバスケで対戦したかっただけかもしれないのだ。もし非があるとすれば俺たちの方である。
「気が動転しちゃって……ごめんなさい」
いつもは気の強い国府台の見た目が大人っぽくても、本当は気弱な少女であることを俺は知っていた。その可憐さを一欠けらでも相手に分け与えられたらと思うが、高校生たちは俺たちが逃げないようにジッと監視している。
「まぁまぁ、ここは腹を括るしかないよ。怖気づく暇があったら、平常心を保とう」
基樹にしては良いことを言う。彼は真っ先にビビりそうな見た目ではあるが、高橋を相手にしても臆さないなど、けっこう命知らずな面もある。そういえば彼もバスケ経験者だったらしいし、全く勝ち目がないというわけでもなさそうだ。
しかし、国府台は自分の短気すぎる態度を反省し、試合をする前から意気消沈している。彼女の弱り切っている姿を見たのは、おそらく今回で二度目になるだろう。これではバスケどころではない。
……あれはいつだったか、中学に上がったくらいで国府台は、よく他の男子と言い合いをするようになっていた。その愚痴を部活終わりに聞かされていたら、ふと自分は女らしいかと質問されたのだ。
ミニバスの頃から一緒だった俺は、彼女が練習中に女扱いされることを嫌っていたことを知っていたため、足りない頭をフル回転させて女性の尊厳を保ちつつ、女々しくなり過ぎないように細心の注意を払って返答した。
例えば男から見てカッコいい女性だとか、良い意味で中性的な美人だとか、そいう曖昧な表現で言葉を濁していた気がする。実際、チームを引っ張る姿に憧れていたりもしたのだが、あろうことか俺の目の前にいる彼女は泣き出してしまった。
なぜ泣いたのか理由に見当もつかなかった俺は、とにかく許してもらおうとアスファルトに頭を打ち付ける勢いで土下座した。この後に姉と妹なら金さえ払えばなんとか許してもらえるのだが、まさか同級生の女の子に同じ手を使う最低男に成り下がるわけにもいかない。
そしていくら謝っても泣き止んでくれない国府台に困り果て、仕方なく俺は責任を持って家まで送ったのだった。
次の日にはケロッとしていたこともあり、なぜ泣いたのか今でも理由は分からず終いだ。それでも俺は国府台に対する免罪符として、このゲームだけでも彼女のために本気を出すことに決めた。
「僕にゲームメイクさせてください」
絶対に負けられない戦いである。俺は元気の無い国府台の肩を叩き、チーム内の士気を鼓舞する。
「……準と一緒のチームって初めてかもな」
「楽しまなきゃ損するよ!」
とりあえずは立ち直ったようだ。対戦相手の高校生に怨みは無いが、ここは噛ませ犬としてストレス発散の対象となってもらおう。
試合のルールは時間制ではなく、十五点を先取した方のチームが勝利となる。規則のようなものはそれだけで、後はストリートバスケの流儀に乗っ取ろうということになった。カッコ良いプレイなら反則も大目に見よう。
コイントスをして裏を当てた俺たちからオフェンスとなり、いよいよ試合開始である。
俺がトップでボールを持ち、真正面から相手と向かい合う。仲間は女バスでセンターを務める国府台と、自称シューターの基樹だ。俺が相手のポイントガードをドリブルで抜けるかどうかで、試合の流れが一気に変わるだろう。
責任重大である。久しぶりのバスケで感覚が鈍っているかと思いきや、体に染みついた経験値はそう簡単に消えてはいなかった。
まずは相対するディフェンスと視線を合わせ、右足を踏み出したり引いたりし、まるで揺り篭椅子のようにディフェンスを縦に揺さぶる。この動きはロッカーモーションと呼ばれ、行くと見せかけて行かない、と見せて行くドリブルフェイクの一種だ。
ロッカーモーションは俺の得意技であり、一対一であるならば絶対に負けない自信がある。俺はマッチアップしていたディフェンスを容易に抜き去り、フォローに来たディフェンスをパスで躱す。
「ナイスアシスト!」
ゴール下でパスを受けた国府台はジャンプシュートの構えを取る。急いでシュートブロックに来た三人目のディフェンスをシュートフェイクで避け、彼女は反対側のスリーポイントラインにいた基樹へ鋭いパスを出した。
「撃て!」
俺が指示するよりも前に、基樹はゴールに対して0の角度から素早くクイックシュートを放っていた。
発射台である柔らかい膝のバネから、右手の肩、肘、手首、指先に至るまで、機械のように連動している綺麗なシュートフォームから繰り出されたボールは、スパッと小気味良い音を立ててネットに吸い込まれる。
「ナイッシュウ!」
個々のプレイを合わせるのは初めてでありながら、あまりにも芸術的すぎるチームワークを発揮し、俺は思わずテンションが上がってしまった。
「いやー、時が止まりましたねー」
「ま、こんなもんかな?」
「声を出してこう!」
俺がゲームの要としてチームを盛り上げながら、得意気になっている基樹の気を引き締めるように、国府台が率先してチームをまとめる。我ながら雰囲気の良いチーム作りができていた。この調子でドンドン得点を稼ごう。
しかし、やはりディフェンスの面で問題があった。
相手よりもテクニックもフットワークも勝っている俺の方はいい。上からパスは通されても、外から撃たせない基樹の粘りつくようなディフェンスは及第点。どうしても対処できないのは、高校生男子のフィジカルに押されてしまう国府台だった。
女子にしては俺より少し低い程度の長身であっても、細身な女子であるがゆえにゴール下の熾烈なポジショニング争いに勝てないのだ。いくらディフェンスして相手のシュートを崩そうと、毎回リバウンドを取られてしまうのでは意味が無い。
「スクリーン!」
「スイッチ!」
たまに攻め手の無い相手が壁となって俺の動きを制限し、マークしているディフェンスの入れ替えを国府台に呼び掛けた時にだけ、俺が相手のシュートをブロックしたり、リバウンドでボールを奪い返したりできた。
ただディフェンスの時だけマークを交換すればいいだけの話だが、いつもセンターである国府台は素早いドリブラーが不慣れであり、基樹は体力の限界だった。流石の俺でも、高校生を相手に全体をフォローし切れない。
そのままジワジワと点差は広がり、残り三点で相手チームの勝利となるところまで追い詰められた。俺たちの得点は九点であるからして、負けてしまえば六千円の賭け金を支払うことになる。中学生にとっては大きな痛手だ。
次は俺たちのオフェンスだが、そろそろ俺のフェイントもネタが尽きる頃合いである。どうやって攻めようかシミュレーションしながらトップでボールを受け取っていると、聞き覚えのある大阪弁が耳に飛び込んできた。
「おーい、こんなとこにおったんか。えらい待っとっても来いひんから探したで」
声の主は釈迦戸である。そういえば基樹と遊ぶ約束をしていたんだっけ? ええい、細かいことはどうでもいい! 俺はこれ幸いにタイムアウトを取った。
「選手交代!」
「なんやねん?」
「説明している暇は無いっす! 基樹君アウトで永介君イン! 国府台さんがフォワードで、永介君がセンターっ!」
貴重な得点源である基樹を失うのは惜しかったが、センターの穴を埋めようとしてドリブラー相手にディフェンスを頑張りすぎた。体力切れのために基樹と釈迦戸を交代させる。
「バ、バトンタッチ……」
「よう分からんけど、気晴らしにバスケしたらええんやな?」
大阪の血がそうさせるのだろうか? スタンツのこともあり、なんだかんだで釈迦戸はノリの良い奴である。
ポジションを入れ替えてゲーム再開。途中から乱入してきた釈迦戸の体格に、相手の高校生たちは圧倒されていた。俺は彼らに作戦を立てさせる猶予を与えず、ハイポストに来た釈迦戸へトップから股抜きパスを通す。そして真ん中を切るように走り、釈迦戸からハンドオフと呼ばれる手渡しパスを受け取った。
「させるか!」
すかさず国府台についていたディフェンダーがフォローに来たが、俺はその前に浮かぶようなタップパスを高く出す。
「ふんぬらば!」
古びたリングを叩き壊すようなアリウープ。その豪快すぎるプレイを最初に見せつけることで、対戦相手の表情を青褪めさせることに成功した。
「ナイッシュウ!」
起死回生のアリウープを称えてハイタッチする。だが、まだ逆転ではないのだ。このまま油断することなく、次はディフェンスに専念する。点数的にスリーさえ撃たれなければ良いのだ。この一本を止めなければ勝ち目は薄い。
「スクリーン来とるで!」
ミスマッチを狙った相手センターが国府台にスクリーンを仕掛ける。このままスイッチしてしまえば相手センターにパスが出され、上からシュートを撃たれるのをブロックしに来た釈迦戸のマークがフリーになってしまう……。
「スライド!」
国府台は相手フォワードに張り付く勢いでディフェンスし、気合でスクリーンを躱した。これで最悪のパターンは回避されたが、逆サイドからのクイックターンには追い付けない。相手センターがパスを受け取り、相手ドリブラーへパスを出したところを、トップからディフェンスラインを下げていた俺がスティールした。
「ナイスカット!」
ハーフコートのバスケで大切なのは、攻撃と守備が入れ替わるトランジションを素早く展開することである。俺は一番スリーポイントラインに近かった国府台へパスを出す。
「戻せ!」
女バスでセンターの国府台にスリーを撃たせるのが狙いではない。俺はハイポストでボールを受け取り、ゴールに対して後ろ向きのままディフェンス越しにバウンドパスを出した。ゴール下でボールをキャッチした釈迦戸は、フリーのままダンクでリングを揺らす。
「ナイスアシスト!」
ついに逆転された高校生チームは堪らずタイムアウトを取る。その間に俺たちは水分補給などで休憩をしていたら、国府台がある作戦を提案してきた。
「次のオフェンスだけど、永介がリバウンドを取ったら、アタシにアイソレーションを仕掛けて欲しい。こんなことになったのはアタシのせいだし、ケジメをつけさせてくれ」
アイソレーションというのは、オフェンス能力の高いプレイヤーを孤立させるように、他のプレイヤーが逆サイドに退いて一対一で攻めさせる戦法のことである。国府台がドリブルできるという印象は無かったが、まだ余裕があったために了承した。
「絶対に勝ってくださいよ」
国府台と拳を合わせたところで、タイムアウトの一分が経った。スリーだけは絶対に撃たせないことを決め、俺たちはゲームを再開する。
気を引き締めて全力のディフェンスしようと思っていたのだが、なんと相手もドリブラーにボールを渡し、俺たちと同じくアイソレーションを仕掛けてきた。これは明らかに女子である国府台を舐めている。
その態度にキレた国府台は、意地でもドリブラーに食らいついた。いい加減に終盤でガードのスピードに慣れていたこともあり、ドリブルで抜かれるということはなかったが、相手のチェンジ・オブ・ペースに対応できず、四五度からミドルシュートを撃たせてしまう。
「おらぁ!」
どうやら急なステップに耐えられなかったのは、相手の方も同じだったらしい。上体が少しだけ後ろに逸れてしまい、崩れたシュートフォームから放たれたボールは、惜しくもリングから弾かれた。
そして屈強なリバウンドマン釈迦戸が落ちてくるボールをキャッチし、トップにいる俺へパスを出す。俺は国府台が体勢を立て直すまで、ゆっくりボールをキープした。
「やっちゃってください!」
満を持して右サイドへいる国府台へボールを渡す。彼女は神経を研ぎ澄ませて上体を低くし、挑発するように右足を出したり引いたりした。
もしや、あれは俺が得意とするロッカーモーションの構えだろうか? これは味方の贔屓目から見ても、ドリブルのフェイントが下手糞すぎる……。踏み出しの遅さからして行かないことはバレバレであり、足を引いたタイミングで相手は隙間を埋めるようにディフェンスを密着させた。
また仕切り直そうと思い、俺は国府台からパスを受けようとしたのだが、彼女は次の瞬間でディフェンスを完璧に抜き去っていた。
国府台はロッカーモーションではなく、相手ディフェンスが距離を詰めるタイミングを見計らい、軸足側と逆の足を背中側から反転させて、ディフェンスを巻き込むように抜くスピンムーブを繰り出したのだ。
「上手い!」
味方をも欺くドリブルテクニックに驚嘆し、思わず興奮したのも束の間だった。釈迦戸をマークしていた相手センターが、ゴール下で待ち構えていたのである。
それが例え無粋な行動であったとしても、最終的に勝った方が正しい。相手を非難している場合ではなく、こっちもボールを釈迦戸へパスするだけでいいのだ。
だが、国府台は一歩も引かなかった。彼女は自分よりも大きい男相手に、スピードを緩めることなく果敢にも勝負を挑む。ディフェンダーの前で股下ドリブルと呼ばれるレッグスルーをし、重心移動で左へ抜くと見せかけてから、さっきと同じスピンムーブで流れるように右へ抜きにかかる。
しかし、それでも二度目のフェイントでは完全に抜き去ることはできなかった。
ゴールへ向かって一直線にレイアップシュートを放つ国府台の後ろから、相手センターはシュートブロックを狙っていた。身長差からしてボールを叩き落されるのは明確であり、外から見たら絶望的な状況である。
万事休す。誰もがそう思った時、彼女は空中でシュートモーションを止め、着地する前に再度シュート体制を作り直してバックシュートを決めた。
つまり、ダブルクラッチである。
「ふっ、アタシの勝ちだな」
誰にも予期できなかった高度なシュートテクニックに、敵も味方も脱帽するしかなかった。いや、普通はダンクの方が衝撃的なのだが、ゲームの終止符をダブルクラッチで決めるのは出来過ぎている。
「……何か言ってよ」
ゴールネットを優雅に揺らした国府台が、ドヤ顔からの照れ顔に変わってから、逸早く俺は正気を取り戻した。
「う、うおおっ! やりましたねぇ!」
「流石やな。イケてたで」
「オレは信じてたよ!」
ベンチから復活した基樹も一緒に、俺たち四人は勝利を称える爽快なハイタッチを組み交わした。
「いよっしゃぁぁーーーーッ!」
× ×
高校生を相手にどうなることかと心配したが、基樹のシュートが正確だったことと、リバウンダーの釈迦戸が参入したことと、そして国府台のドリブラーとしての才能が開花したことで、俺たちは見事に勝利することができた。
このように一人ひとりの力が歯車のように合わさり、個性を引き出してゲームに勝つことは、癖になるほど非常に気持ち良かった。やはりバスケは楽しい。
「あれ、相手の高校生たちは?」
勝利に浮かれて楽しくハイタッチをしていたら、いつの間にか三人の高校生たちは忽然と姿を消していた。
すっかりゲームに集中しすぎて忘れていたが、そういえばバスケで賭け事をしていたな。それと恥ずかしさもあって逃げ出したのだろう。まぁ、金のことはいい。今は勝利の余韻に浸りたかった。
「な、バスケは楽しいだろ?」
芝生になっている河川敷に寝転がって一休みしていると、国府台が太陽よりも眩しい屈託のない笑顔で、俺を見下ろしながら言う。その笑顔を取り戻せた俺は満足して癒されないよう、せめてもの抵抗を示す。
「……悪くは無いっすねぇ」
「なら続けなよ」
「それとこれとは話が別です」
「なんだよー」
少し子供っぽい声を出し、国府台も土手の上に寝転がった。俺も寝転がったまま青空を見上げ、涼しい風の心地良さに浸っていると、頭上から怒鳴り声が聞こえてきた。
「ちょっと! 見つかったなら教えてよ!」
「おー、そりゃ悪かったわ」
威風堂々と現れたのは樹理であった。台詞から察するに、釈迦戸と二手に分かれて基樹を探していたようだ。
「どうしたの樹理ちゃん⁉」
「後から照屋に行ってもいなかったから、あんたを探してたの!」
「それで永介君が通りがかったのか。すごい偶然だね。でもオレが誘っても来なかったのに、どういった風の吹き回し?」
「うるさいってーの! 口答えすんな!」
……この一ヶ月で接するようになってから判明したことなのだが、樹理は天邪鬼な性格をしているらしい。所謂ツンデレのようなキャラは分かっていれば可愛いものだが、やはり基樹の被害を考えるとギャルの苦手意識は消えない。
「基樹も永介もバスケ上手なのに、どうして部活で続けようとしなかったんだ?」
樹理と基樹の仲睦まじさを温かい目で見守っていたら、隣にいる国府台が思い出したように質問した。土手の石階段に腰を下ろした釈迦戸から答える。
「別にバスケは嫌いやない。女子には話とらんかったけどな、自分はコックさん目指しとんねん。せやから趣味ならええけど、部活でバスケを本格的にやる気にはなれんかったんや」
ゲームで釈迦戸のポテンシャルを垣間見た後では、確かに彼のリバウンダーとしての才能を手放すのは惜しい。でも、バスケではない別の夢に熱中したいのであれば、責任の取れない俺たちが外からとやかく言える筋合いは無い。
「コックさんになりたいのは、実家を継ぎたいからなのか?」
とやかく言える筋合いは無いのだが、そこは安全と安心の国府台クオリティである。釈迦戸が無意識に張っていたバリアーを余裕で飛び越え、降って沸いたような疑問をすぐ口に出せるとは恐れ入る。
「……否定はできひんが、それだけやあらへん。ただなぁ、自分の作った料理で食べた人を幸福感に満たせるんやったら、料理人冥利に尽きるわ」
「そうだったのか……」
答えにくい疑問にも釈迦戸は返答し切ったことで、国府台は彼の熱意を感じることができたのだろう。最後には納得した。
「オレも転校する前は部活でやってたけど、転校してからは色々と大変だったからね。こっちでは部活する暇が無いんだ」
次は基樹が国府台の質問に答えたが、それは修学旅行で飛行機の中でも聞いたことだ。業を煮やした国府台は、さらに踏み込む。
「中三で転校の理由って何だ?」
「大したことじゃないよ。震災から数年経ってから、学校の建物に欠陥が生じてたのが発覚してね。それで本当なら校舎を立て直すんだけど、もう町も少子化が進んでたから、それぞれ近くの学校に通うはめになったんだ。でもせっかくだからさ、オレだけ親戚の家でお世話になってるわけ」
さり気なく樹理と同じ屋根の下という事実が明かされたわけだが、俺はそこに妙な違和感が引っかかってしまった。
しかし国府台は違和感に気づくことなく、普通に会話を続ける。
「じゃあ、卒業したら地元に戻るのか?」
「そうなるね。あっちの商業高校に入って、簿記の資格を取ってから地元の商工会に就職したいんだ」
「商工会っすか? また何で?」
基樹が将来の進路について、具体的すぎるビジョンを持っていたことに驚愕する。それが商工会なら、なおさら商店街で生まれ育った俺にとっては衝撃だ。
「うーん、先に言っとくと震災があったから活気づけたいとかじゃなくて、ただ商店街とかの雰囲気が好きなんだよね。オレの父さんは町役場の公務員だけど、爺ちゃんの肉屋を母さんが手伝ってたから、やっぱ生まれ育った町がシャッター商店街になるのは寂しいんだ」
「そういう考えもあるんすね……」
俺は商店街が鬱陶しくて仕方が無かった。この街にいる限り、俺は村西呉服店の次男としての特性が定められている。誰も俺の本質を見極めようとはせず、親父の息子だからとか、兄貴の弟だからとか、そういうフィルターの上でしか接してこないのだ。温かみこそあれど、親父も兄貴も嫌いな俺にとっては腹立たしいだけである。
だからこそ、俺は商店街から抜け出したかった。ただ抜け出したいだけで、行き先はどこにも決めてはいない。そして修学旅行で長崎に行っても駄目だった。俺の本質は一定のコミュニティから逃れられないということを実感しただけだ。
しかし、基樹は修学旅行の経験で変わったと言っていた上、生まれ育った商店街に貢献するために尽力したいらしい。俺と似たような境遇でありながら、俺とは正反対の方向性を向いている。
それなら俺も、少しは視野を広くしてもいいかもしれない。その一歩として、俺は自分ができないと思っていたことを探した。
「……国府台さん。確か僕にも何か熱中できることがあれば、バスケをやらなくてもいいんでしたよね?」
「ん? ああ、そうだね」
「それなら、僕は今度やる商店街のイベントに参加しようと思います。そこで自分のやりたいことを見つけさせてください」
本当ならば修学旅行の班でイベントに参加したかったが、みんなそれぞれにやるべきことがあるのなら、俺の我儘で邪魔することはできない。今度は俺がやってみたいことをやってみる。それに必要なことならば、俺の方からお願いすることもあるだろう。
「商店街のイベントゆうんは、ひょっとしてビートル祭と言う名の御礼祭か? 確か自分とこも出店するで」
「へぇ、面白そうだね! 何か手伝えることがあったら言ってよ!」
「その言葉、忘れんなや」
「え?」
釈迦戸の奴め、抜け目なく貴重な労働力を確保しやがった。商店街の祭りと言うのは地域住民がお客さんであるため、祭に出店する商店街の人々は家族で現場を運営しなくてはならない。そういった理由で外から働き手を見つけるのは苦労するのだ。
「応援するよ」
「あざす!」
国府台からも賛同を得る。今まで引っ張ってくれた彼女から背中を押してもらうと、根拠は無いけど不思議と自信が湧いてきた。
「あ、あたしにも手伝えることがあったら言って」
樹理も応援してくれる。なぜ彼女が俺に対しても優しい言葉をかけてくれるのかは謎だが、その好意には甘えようと思う。
「そうですね、僕がイベントに参加したら家業の方を手伝えなくなるので、もしもの時はお願いしても大丈夫ですか?」
「ああ……うん……」
自分から申し出たことだというのに、なんだか煮え切らない返事である。まぁ、急に実家の店を手伝えと頼まれたら、普通は戸惑うのが一般人の反応か。何か彼女にもできることがないか、青年部の盛り上げ隊長を引き受けるついでに親父と相談してみよう。
「あ、そういえば永介君ん家で御馳走になるんだった。みんなも行かない?」
いや、なんで他人の基樹が得意気に釈迦戸家へ誘うのか? 他県の風土が開放的なのか、それとも基樹が厚かましい変人なのか。おそらく後者だ。今は午後の営業時間外とはいえ、大勢で行くのは迷惑になるだろう。
「自分が調理するんや。歓迎するで」
照屋の息子が了承するのであれば、ぜひお言葉に甘えよう。ちょうど運動後で腹も減っていたし、俺たちは喜んで招かれることになった。
釈迦戸の振る舞う手料理は、きっと夢の味がするのだろう。
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