18
電話がきた。
「はい、もしもし、牛牛亭でしゅ」
馬三が出た。
「馬三か。お前じゃ、あれだから、めぐちゃんか杉に代われ」
マスターからの電話だった。めぐみに電話を代わる。
「もしもし、お疲れ様です」
「おー、めぐちゃん、実は仕方なく、富山に帰らなくなったよー」
「えっ?、マスター、富山県出身でした?」
「おー、電話じゃ難だから、そっちに行くぜ、じゃあ!」
マスターは電話を切った。
「あの人が富山に帰るのは初めてだろうな。何せ、高校中退してすぐ、落語家、目指して上京して来たからな」
勝彦は電話の内容を聞いていた。
「えー。謎だらけの人なんや」
裏返った声のめぐみ。
「それから、弟子入りして前座時代の芸名が南瓜亭西瓜だからな。更に先輩を客の前で殴ってクビになったらしい」
勝彦の話しに釘付けとなるめぐみ。
「おー。来たぜ。おいらの身内なくたばったようだ。取り合えず、明日、羽田空港であるから。お前らも出ろよ!」
マスターが麦わら帽子、アロハシャツ、下駄姿で登場。
「飛行機で行くの?」
「おー。マイルも貯まるし、バケモンジェットだからよー」
「あんた、可愛いな」
「まあ、すぐ帰って来るからよー」
「そうなの。まあ、明日、行けばいいわけね」
呆れぎみの勝彦。
「頼むぜ。今日は店終いでいいからよ」
「取り合えず、マスター主催のイベントでしょうから、適当にやりましょう」
杉は音頭をとる。
「打ち上げ花火でも、上げればいいでしょう」
めぐみは的を得る。
「後はウチらが唄うなり、コントするなりでしょう」
何やかんやでやる気アップの牛牛亭一堂。
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