17

 ぞうきん荘に胸子は住み始めた。そのうち、岩志(いわし)も引き込むようになった。いつもプロレス技をかけ、岩志を泣かせていた。ぺニスを玩具替わりに遊んでいる。情けなく昇天しながらも、直ぐに回復する岩志。

「全く情けないね。今日も元気に学校、行ってきな」

ぺニスを触れながら、送り出した胸子。健気に登校する岩志。陰気な後ろ姿。

 胸子は身支度を整え、出勤。実家の部屋とは劣るスペックで、汚い部屋であったが、巷で話題の片付け術の本を参考に、驚くほどキレイにした。

 支度を整えて、自宅を出る事になった。猫が夏バテしている。その猫に寄る。胸子にすり寄る。

「あっ、いけない」

時計を見たら、午前八字四十分。出勤時間の午前九時までに間に合う距離であったが、牛牛亭へ早歩きで向かう。

 数分して牛牛亭にしようと仕掛けた。スーツ姿の男が店前で待ち構えていた。

「先生!」

男は胸子の退学した高校の学級副担任、知和和(ちわわ)だった。

「おー、久々、元気?」

「別に普通でしょう」

どこか空元気な胸子。

「えー、何でセクハラとか?」

「違う!しかし、仕組まれたような変な話が、教育委員会にいき、解雇されたよ」

「まあ、いいじゃん。どうせ、バイトみたいなポジションだったし」

「まあ、そうだけど。それで雇って貰えないか、伺ったのだよ」

身を小さくする知和和。

「わかった。まあ、店長なら許可してくれるから。店内で待っていて❗」

「ありがとう」

そう言って胸子は鍵を開けて、牛牛亭で知和和を待機させた。

 カウンターで待つ知和和。仕込みの準備をする胸子。数分して、めぐみが出勤する。

「おはよう」

髪を染めてイメチェンをしてきた。そしてぎこちなく、胸子のおっぱいをタッチした。

「。。。」

反応に困る胸子。

「お邪魔しています。朝からすいません」

知和和はめぐみに挨拶する。

「店長、あのー、この人を雇って貰えないでしょうか?」

胸子は切り出す。

「いいよ!どうせ、マスターも一日、一時間のシフトを十人雇おうが、一日八時間のシフトを雇うのも同じというだろうし」

(何か後者の方が効率はいいと思うが)

言葉に出せない胸子。

「ありがとうございます。この人をよろしくお願いいたします!」

胸子はめぐみに礼を言う。

「ありがとうございます!よろしくお願いいたします!」

知和和も続いた。

「但し、最初は一日一時間シフトでお願いします!」

「では時間も勿体ないから、早速、シフトをこなしてもらいましょう!」

エプロンを渡すめぐみ。エプロンを素早く着用する知和和。

 胸子は知和和を横目に安堵していた。年上ながら、どこか頼りないところが気になる。

「じゃあ、今日は暇だと思うので、ボーとしていて下さい。というのは冗談で、店外をそうじして下さい」

「わかりました」

店先へ出て、そうじを始めた知和和。彼は講師以外の仕事をするのが初めてだった。

「あっ、先生!」

突然、元教え子の男子高校生が、知和和のぺニスをタッチして来た。

「何しているの?」

「バイトしている。学校クビになったから」

「平気だよ!僕の相手のバイトもあるし。まあ、ジャー」

彼は高円寺駅に向かって行った。

「おー」

 ある程度、店外のそうじが終わると、めぐみの指示を仰ぐ知和和。

「この後、予定あります?」

「特に何もありません」

不思議がる知和和。

「では私、眠たいのでシフト、私の分も出て下さい❗私、月給制やから、出たら損なので」

勝手に寝室に行くめぐみ。

「。。。」

キョトンとする知和和。

「いいよ。店長、眠り姫だから」

知和和の肩を叩く胸子。

(ウィーン)

ドアの開閉音。

「胸子!」

胸子のレズっ子な友達。早速、胸を触り出した。

「この!」

胸子は彼女の頭を叩いた。

「痛いっ!」

「自分が悪いのでしょう!」

じゃれあう二人。

「仲いいなっ」

知和和は微笑ましく見ている。

「先生、学校、クビになってここにいるの?」

レズっ子は聞く。

「まあ、そうだ。食いぶちがないから」 

「ふーん!情けないね」

「こら!」

レズっ子の頭を叩く胸子。

「いやー、まあ、確かに」

納得する知和和。

「先生、AV男優やれば」

レズっ子は勝手な事を言う。

「えっ?」

「先生なら、精力ありそうだし。学校でオナニーしているという噂もあったし」

「教職になってからはないぞ!」

いじられまくる知和和。

「胸子いないと寂しいよ!」

レズっ子はまた、胸子のおっぱいをモミモミした。

「そうなの?」

「何か私、避けられているみたいだし」

泣き付くレズっ子。

「それはおっぱいばかり揉むからでしょう!」

「えー、それが原因でない気がするけれど」

「えっ?あんたは変な子だけど」

「最近、A子、B子も私を避けているみたいだし」

レズっ子の頭を撫でる胸子。硬直したレズっ子。

「サービスよ。ミルクとシュガー、使いなさい❗」

胸子はレズっ子へコーヒーを差し出す。

「ありがとう」

「ごめん、あまり相手は出来ないけれど、気の済むまで、ボーっとしていなさい」

「。。。」

 しばらくボーッとしていた彼女。営業の邪魔となると思い、二階の寝室へ胸子はお姫様だっこで担ぎ上げた。普段なら、満面の笑みを浮かべるが、無表情であった。

 二階の寝室には、めぐみが寝巻きとなって眠っていた。起きる気配はない。レズっ子をめぐみの横に寝かせる。

「さあ、寝てなさい」

胸子は店に戻る。

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