第31話


『あら、早かったわね。遅くなるんじゃなかったの??』


「別にどーだっていいだろ!!」


『ふふっ、荒れてるわねぇー♪あ、そうだ。さっき回覧板で回ってきたんだけど…』


そう言って母さんは回覧板から1枚の紙を見せてきた。


「花火大会…今年からやるかもってやつね。」


『なぁんだ。知ってたの?…で♪良かったら"彼女"と行ってくれば?』


「行かねーよあんなやつと!」


『へへーん♪やっぱり女の子なんだ♪アンタも隅に置けないねぇ♪で、どんな子?』


またやられた。母さんは何かとこうやってカマをかけてくるのだ。

性格悪ぃー母親だ。


「だからそんなんじゃねーって!しかもアイツは別に俺の事なんてどーでもいいみたいだし。」


『そっかぁ…片想いなのね♪ワクワクしちゃうね♪我が子よ!思う存分青春しなさい♪』


ったくめんどくせー。ってか俺がアイツの事を?絶対そんな事ねーし!!


「てかまだやるかも分かんないんだろソレ。」


『町長さんは"やる"って張り切ってたわよ?あ、そうそう。そういえばアンタが出るって言ってたお祭りも同じ日だって。これ、町長さんから資料もらったのよ。』


そう言って机の上にあった何枚かの紙を俺の前に差し出すと、そこに印刷された"あの貝殻"の写真を指差した。


『これね、ただお祭りの儀式に出るだけじゃないみたいで、アンタがやる"渡し子"っていうのは、海岸でこの貝殻を探してブレスレット作んなきゃいけないんだって。時間もないからこの写真の半分くらいの長さでいいとは言ってたんだけどね。まぁ、ブレスレットにするのは私がやってあげるけど…』


「ねぇ…これ作るのって、その"渡し子"やる人だけ?」


『そうみたいだけど?』


じゃぁ…海美は俺の為に貝殻を集めてくれてるって事?少なくとも俺が"渡し子"やるって言ってからはそうだ。…だから貝殻を俺に渡したってこと?


「ごめん!海行ってくる!!」


『…何か知らないけど青春真っ只中の若者は忙しいわね♪』


俺は再び海へと走った。自分の感情に流されて悪いことしちゃったな…やっぱりバカだ俺。


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