第30話

そう言って俺は"今しかない!"と勇気を振り絞り本題を切り出した。


「この島の絶景ポイントみたいなの知らない??あの…写真撮り行きたいんだけど。」



よし!言えたっ…!別に俺は"しょーがなく"だもんな!海美にこの島を案内して…

『自分でいろいろ歩いて探してみるといいよ。この島は全部素敵だから。』


え?"自分"で?!…ちくしょー、言い方間違えたかなぁ…逆にそう言われてから"案内して"なんて言いづらいし、俺のバカ!!バカ!!


「そ、そうだね…あっ、けど俺ここの島とか全然よくわかんねーしどーしよっかなー!!ははは…」


『この島はね、山に入る道以外は島の海沿いにぐるっと道路が走ってるだけなの。だから土地勘が無くても大丈夫だよっ。』


そっか…


「へぇー…そーなんだ…」


別にいいよ、自分で探すから。

…やっぱりよくないかも。


とりあえず一回話題変えとくか。


「そ、そういえばさぁ、赤嶺さんっていっつもここに居るけど家近いの?」


海美は、手のひらに1つだけ乗った貝殻を指でつまみあげ、じっと見つめながら答える。

『この海の反対側だよ。ココは貝殻を拾うために来てるだけ。私の家の前じゃこの貝殻拾えないんだ。』


そっかー、それでわざわざココに来てるんだー。あはははは…

ちょ待てよ、てことは…


「じゃぁさぁ…貝殻集め終わったらココには来ないの??」


『だって来る理由がないでしょ?』


その一言に、何故か怒りに似た感情が湧き上がってきた。


そーかよ…俺だけかよ…

「ごめん、俺行くわ。」

俺はその場を立ち去る。


『瀧山くん?』


その声に振り向くこともなく俺は家へと戻った。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る