第20話
そんな俺を見てお爺さんが答える。
『その写真かい?そりゃ私だよ。もう60年も前になるかな。』
「あの…じゃなくてこのペンダント…」
そう言いつつシャツの中からペンダントを取り出す。
そのペンダントを見たお爺さんは眼鏡を少し下げ身を乗り出す。
『おぉ…そりゃよう似とるなぁ。ちょっと見してくれるけ?』
俺がペンダントを渡すと、お爺さんは水晶の部分を色々な角度から見たり、陽の光にかざしてみたりしている。
しばらくそんな事をしてから2回ほど頷くと『ほぅ…こりゃ"ウチ"のだな。どこでこれを?』
そう言ってお爺さんはペンダントを手渡してきた。
「貰ったんじゃなくて、海で拾ったんです、家の前の。」
『そうかぁ…海でかぁ…』
それだけ言うとお爺さんは遠くの方を見つめて"フリーズ"してしまった。
………
……え?
俺は直感で"お爺さんが天に召されかけている"と思い「お爺さん!!?」と叫ぶ。
するとその声に魂が戻ったようで、視線がゆっくりと俺に向いた。
『おっ…いやぁすいませんね。この歳になるとよくあるんですよ。ははは…』
マジか…このお爺ちゃんそろそろやべぇだろ…
『あの、先程"ウチの"って仰いましたが、もしこの子が拾ったものが町長さんの物でしたらすぐお返しします。』
母さんが申し訳無さそうに勝手な事を言い出した。
えっ…このペンダントを?!
俺だって"元の持ち主"に返してうまく治まるならそれがいいんだけどアイツに肌身離さず持っててって言われたし…
『いやいや…たしかに私が作ったモンですが、持ち主は違うんですよ。その"海石"の磨き方?そのやり方ぁこの島特有でね。まぁ1年に1つしか作らんし、私しか作れるもんも居やせんで、ここのもんかどうかは勿論、いつ作ったのかさえ一目見りゃ分かるんです。』
するとお爺さんは俺の目を見て真剣な表情でこう言ったのだ。
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