第1話 ツイてない男

 男の1日は、湯を沸かすところから始まる。

 カチッ カチッ

「チッ。ガス切れかよ」

 梅雨も開けた7月。外は台風で、とても外に出られるような状態ではない。折角の日曜なのに、なんてツイてない男なのだろう。男はため息をつきながら、自分の運のなさに落胆した。

 小学生の頃、遠足の日は雨が必ず降り、ついたあだ名はアメフラシ。

 中学生の時は、修学旅行中にコワモテの男たちに2万円もする誰が見てもダサいと思うようなTシャツを買わされ、親に大激怒された。

 高校の時は、当時好きだった女の子の恋愛相談に乗り、見事大親友だった奴と付き合わせた。

「はぁ……」

 もう一度、大きなため息をつき、男は二度寝を決行した。

 朝のコーヒーが飲めないのなら、俺にとってそれはもはや朝ではないのだ。

 なにやらクールぶった言い訳を心の中で呟き、夢の中へと身を委ねた。



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ガラス玉 こうの かける @shou1020

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