EP8 幼馴染

「また明日会おうな。みーちゃん。」

恥ずかしい…。

「うんっ!」

みーちゃんは嬉しそうに返事をする。

「あ、メアド交換しよ?」

「いいよ」

みーちゃんとメアドを交換した。

「じゃあね。」

「じゃぁねー!煌姫くん!」

時間を見た。

もう夜の10時になっている。

眠くなってきた。

「早く戻って眠ろう…」


結構遅くなってしまったので、俺は恐る恐る部屋のドアを開けた。

「た、ただいま…」

すると―

「おかえり。にぃ。どこいってたの?遅いから私、心配したんだよ?ねぇ、どこに行ってたの?まさか…女と遊んでたの?ねぇ?にぃ。答えて?」

ははは…と笑っているが―

「怖い怖い!目が●んでる!顔が笑ってない!」

「にぃ。答えて?」

「海の堤防に座ってたら、ちょっとうたた寝しただけだ」

「堤防…?まさか…にぃ…そこから飛び降りようなんて考えてないよね?●ぬんなら、私の隣で●んで?ちゃんと私が可愛がるから。誰にも渡さないから。ねぇ?にぃ。」

あ、だめだ。海音の病みスイッチ完全にONしてる…。

「海音。」

「ん?なぁに?煌兄てるにぃ。」

「俺のことが信じれないのか?」

「――――」

「俺を信用してないからそういうことを言うのか?」

「ち、ちがっ…」

「違う?●ぬなら私の隣?ふざけるな。」

「―ぁ、ぅ…」

こうするしか海音は止められない。

「俺、明日ちょっと用事あるから。それじゃ、おやすみ。もう遅いから海音も寝ろ」

「……はぃ…」


―翌日―


「お、おはよ…にぃ…」

「おはよ」

「な、何時に出るの…?」

「9時」

「……。」

やはり少し言い過ぎただろうか…?

いや、でも言い出したのは海音だ。

確かに、俺は嘘をついた。

堤防でうたた寝したことと、幼馴染にあったこと。

悪いとは思う。

でも、海音も悪いと思う。

そんなこんな考えていたら、約束の9時になっていた。


〜〜〜〜


「お待たせ。」

「もぉー!遅い!3分遅刻!」

「ごめんって」

「煌姫くんだから許す」

え……?

「そういえば、『みーちゃん』で通してるけど…私の名前、覚えてる?」

「幼馴染の名前を忘れるバカがどこにいるんだよ」

俺は照れくさそうに笑ってから―

桃乃とうの海幸みゆき、だろ?」

「ちゃんと覚えててくれたんだね!私嬉しいっ!」

笑った。可愛い。

さて。改めて紹介しよう。

桃乃 海幸。俺と同い年だ。

小さい頃からの呼び名で『みーちゃん』と呼んでいる。

小、中学校は同じだったが高校から別々になった。

「それにしても、見ない間に大きくなったな。みーちゃん。」

すると――

「煌姫くんのえっち」

え。俺、そういうことを言いたいわけじゃないのだが。

「違うよ。みーちゃん。身長だよ。」

「ふーん?」

疑いの目だ。

「まぁ、煌姫くんだからいいや」

え。俺ならいいの…?

それって――――

「あ、そうそう。ゆらくん元気にしてる?」

「あぁ、あいつなら元気にしてるよ。」

「そっか。」

「おう」

ゆらくん。

茶揺ちゃゆらぎ癒希ゆきのことだ。

俺の幼馴染であり、親友でもある。

「ゆらくん大丈夫かなぁ…」

「あいつなら高校でめっちゃモテモテだぞ。」

「えっ」

「えっ?」

癒希の特徴は、なんと言っても

もちろん、男子だがな。

美青年。髪の毛長いしサラサラしてるし。

声も変声期が来てないのか、めっちゃ高い。

手先は器用だし。

裁縫、料理…などなど。

とにかくやばい。

「ふーん…モテモテなんだぁ…ふ〜ん」

え。何この反応。

まさか…みーちゃん…癒希のことが――

「どうでもいいやー」

――ガクッ!

どうでもいいのかよっ!

「まぁ、こんな雑談ばっかしてないで、目的地に行こ?」

「そうだな。どこに行くんだ?」

「内緒〜♪」

くっ…

姉や妹たちに負けないぐらい可愛いじゃないかぁ!!


そして。歩くこと約30分。

「着いたよ〜」

「えっ…ここって…」

「旧校舎だよ〜」

「えっ…旧校舎って…なくなったのか…?」

「う、うん。煌姫くんは知らないもんね。」

「あぁ。今初めて知ったよ」

旧校舎。俺が元々通っていた小学校だった。

まさか―閉校になっていたとは…

「ねぇねぇ、煌姫くん」

「ん?」

「なんでもないっ!ふふっ♪」

え。なにそれ。なんか可愛いから許す。


一方その頃、妹の海音は―――――――


「にぃ?帰るの遅くない?さっさと帰ってきてよ。ねぇ。にぃ。にぃ。にぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃー!!!」

にぃと連呼しながらサンドバッグを殴っていたそうです。


「ハァーックション!!!!」

「ふぇっ!?」

俺のくしゃみで間抜けな声が聞こえた。

「だ、大丈夫…?」

「ああ。多分誰かが俺の噂でもしてるんだろ。」

「なるほどほどなる〜」

「お。そろそろ昼だな。ご飯、どこで食べる?」

「んー…。煌姫くんにお任せ!」

「じゃあ、駅前のうどん屋に行こ」

「行こー!」


ガラガラガラ―――――

「いらっしゃいませ…って、煌姫君!?」

「はい!俺はいつものください!みーちゃんは?」

「んー…天うどん!」

「あいよー」


俺たちは空いてる席にに座って、5分も待たないうちに――

「わかめうどんと天うどん。おまたせ〜」

「いやいや。婆さん手際いいから。そんな待ってないよ」

「嬉しぃねぇ。ごゆっくり〜」

「それじゃ、いただきます!」

「いただきます〜」

「どう?みーちゃん。おいし?」

「うん!おいしい!」

「よかった」


俺もみーちゃんも、あっという間に完食。


「どうする?みーちゃん。」

「なんもすることないねー」

「ないの!?」

思わず大声でつっこんでしまった。

「じゃあ―私の家に…来る?」

え―――??

じょ、じょしのいえにいく?

「じゃ、じゃあ、お邪魔しようかなぁ…」

「………ん」


駅近くのうどん屋から歩いて15分。

みーちゃんの家に到着した。

何も変わってない気がする。

「ただいま〜」

「お、お邪魔します…」

すると――

「あら。おかえり、海幸。って、そこにいる男の子は?だぁれ?」

「お、お母さん、覚えてないの!?」

「んー…どこかで見たことあるような…」

「煌姫くんだよ!冷那月煌姫くん!」

「あっ…あぁ!思い出した!あの旅館の?」

「そう!」

「いらっしゃい。冷那月くん。ゆっくりしてってね」

「あ、はい。お邪魔します…」

「煌姫くん。私の部屋、覚えてる?」

「う、うん。」

「先行ってて」

「ワカッタ」

って、なに動揺してるんだよ俺はっ!?

階段を上って、部屋の前に立った。

少し躊躇して、恐る恐る部屋のドアを開けた。


…………。


いかにも女子って感じの部屋。


「ちょっ!?何言ってるの母さん!?」

下でみーちゃんの大声が聞こえた。

なに話してんだよ。

気になるなぁー


「お、お待たせ。」

「う、うん」

「聞こえた…?」

「えっ?なにが?」

そう。聞こえなかったフリ。

「ならよかった」

「おう」

「これ…お茶…」

「あ、ありがと」

なんか…緊張する…

昔はよく遊んでたんだろうなぁ…

「ね、ねぇ…昔の卒アルあるんだけど…見る?」

「ん?お、おう!見る見る!」

「ちょっと待ってて………よいしょっ」

「あ〜こんなんだったなぁ〜懐かしい」

「ほら!これ、中学生の煌姫くん!全然変わんないねぇ〜」

「それゆーたら、みーちゃんだって変わんないよ」

「もー。煌姫くんったら!」

「あはは、ごめんごめん」

あれ…?これ…なんか、恋人同士の会話じゃね…?

気のせいか…。


まぁ、そんな感じの話が結構続いて…

気づけばもう夕方に。


「じゃあ、またね。みーちゃん」

「うん!じゃあね!」


そして―

みーちゃんと過ごした1日が終わった。


この後、妹の海音に説教されました…。

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