転生しても幸せです

第1話目が覚めて

「ここはどこだ？」

目が覚めて俺が一番最初に言った言葉はこれだった。

俺の周りには鬱蒼と草木が生い茂っている。

(……まずは落ち着こう。昨日の記憶を思い出せ)

昨日のことを振り返ってみる。

いつも通り仕事からの帰宅中、目の前に全身真っ黒な人間が現れたことは覚えている。

確かその後、腹部に強い痛みを感じた気がするが…

そこまで考え、自分の腹を見てみる。

傷一つすらない綺麗な肌だった。ただ問題があるとしたらぽっこりとお腹がでている、いわゆる幼児体型だってことだけだ。

…というか、本当に身体が若返っちゃってんですけど!?

俺は、神楽 紀央 (カグラ カナメ)。れっきとした20歳の成人女性だ。

今、男じゃないのかよ。と思った奴は出直してきやがれ。

俺は、乙女趣味ではなく、どっちかというと男よりの思考だったし、

同じ女が怖く、男子とつるむほうが楽しかったため言葉づかいが悪くなっただけだ。

好きになるのは勿論異性だったし、決してオナベではない。

自分の自己紹介が終わった所で、もう一度言わせてもらう。

「ここはどこなんだよー！？」

悲しいことに俺の声はただただ虚しく響くだけだった。

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そうして数時間が経っただろうか、

人の気配すらなく、そろそろ移動しなければやばいんじゃないのかと考え始めていたときだ。

……ガサッ

俺の後ろの方にある茂みから音がした。

恐る恐る振り返ってみると、涎を垂らした真っ黒な獣が俺のほうを血走った眼で見つめていた。

(あ、終わったわ)

俺はあまりの恐怖で意識を失った。