12

テスト中、真夏の机に突っ伏して寝てたら担任とヤッてる夢を見た。


窓際の席だから、机は熱くなってるし汗はすごいしテストはわかんなかった。


これもまた中学校の頃だけど、智ちゃんとダブルデートした。


智ちゃんはすごくしょうもない先輩と付き合ってて、私はすごくしょうもないその友達と付き合ってた。

ショッピングモールでバカみたいにアイスとか食べて服とか見て、プリクラ撮ってブログにあげて、その帰り公園で花火をした。

「きい」

私の彼氏っていう設定の雄が私の名前を呼ぶと同時に頭を触る。

「火つけてあげようか」

「自分でつけれる。いい」

智ちゃんは私の視界の中で一番しょうもない男と楽しそうな顔して夢中だった。花火を振り回して大爆笑キャッキャしていた。それを私の彼氏は羨ましそうに見てた。

「線香花火やる?」

「なんで?」

「すきだから」

「私すぐ落ちるよ。それでもいいの」

「やってみなきゃわかんねえじゃん」

「ええ?わかるよー」

「じゃあ勝負」

完全に二人づつで分かれているこの会場で、私は智ちゃんを観察しながら彼氏と線香花火してた。智ちゃんは楽しいのかな。なんでこんな私は心ここにあらずなんだろう。

彼氏が火をつけたから、線香花火が光り続ける。小さくてかわいい、ことすらどうでもいい。

「きれいだね」

そのセリフが一番どうでもいい。

「うん」


その日は解散して、智ちゃんの家に泊まった。


智ちゃんは風呂上がりの肌に化粧水を染み込ませて女の子していた。

「楽しかったね」

って鏡越しに私を見て言うから「うん」って嘘ついた。

「きいの彼氏面白い人だね」

「そうかな」

「いっぱい喋る人だなあって」

「そう?」

「え?」

「私あの人のこと面白いとか思ったことないや」

「…」

智ちゃんは乳液のボトルのふたを開ける。部屋にはテレビの音がかすかに響き渡っていて、どこを見渡しても派手でごちゃごちゃごちゃしていてそれが私にとっては落ち着いた。

「え、じゃあなんで。どこがすきなの?」

智ちゃんは私に振り返ることもせず、また鏡越しで私を見た。

「しらん」

「あら」

「別れようかな」

「え〜?」

「別れてやろうかな。今」

「きいはなかなか人にぞっこんにならないねえ」

「別にいいの。男なんて」

「かっこい〜」

「思ってないでしょ」

「ふ」

結局、その日中に別れた。智ちゃんはそれから1年くらい付き合っていて、クソみたいなクソブログを1年間書き続けた。




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