07
大和くんは、新山とは似てなかった。
「きいちゃんは、将来どんなふうになりたいの」
大和くんが私を見つめる。
「私はこれでもう将来叶ってるかな。特に」
「そっか」
「大和くんは?」
「俺もそんな感じ」
「私智ちゃんみたいに強欲じゃないから」
閉店間際。二人きりになってしまったので、しばらく智ちゃんの話を向こうからしてこないので触れなかったけど、久しぶりに仕掛けてみた。
「…智は強欲なの?」
「強欲というか。野望が実は多い、きらいじゃない」
こっちも見ずにタバコに火をつける大和くん。
笑うとこなんだけど。
今日の大和くんは、お客様が皆居なくなってから来店した。つまり真夜中。
こんな時間にどこかに飲みに行って
「大丈夫なの?」
「なにが?」
「智ちゃん飲みに出すぎてたら怒るんじゃないの」
「大丈夫だよ」
大和くんは、私の目を見て言った。
「実はうまくいってないとか」
あの時あんなにラブラブだったのに?
「よくわかったね」
大和くんの睫毛が、よく見えた。大和くんは、智ちゃんと違って素直だ。
「終わったら一瞬付き合ってくれないかな」
「…」
「ちょっとだけでいいんだけど」
大和くんは、智ちゃんが大好きなのかな。
「うん」
朝方だぞてめえ。
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