05

小学校の頃、二人でよくタイムカプセルもどきみたいなものを埋めまくった。


あれはガキにとっちゃ時間をある程度置けば何度でも飽きない丁度いい遊びで

未来の自分にお手紙書いたり。大事なものってゆっておもちゃいれたり。


もうどこに埋めたのかも忘れちゃったけど。確か一つは実家の裏に埋めた。細かい場所なんて忘れてしまったけれど。

小学校の頃

「私夢ありすぎて困るなあ」

ってぼやいてた智ちゃんは、今となっては美容室で働いていた。

私は「ともちゃんだいすき」とか書いて、未来の私なんかに興味なかった。

そしてバーでフリーター。

「智ちゃんはなんて書いたの?」

「お嫁さんとケーキ屋さんと本屋さんと女優さんとアイドルと」

「一個までじゃないの?」

「あと歌手」

「私一個しか書いてない」

「なんて書いたの」

「智ちゃんと絶好しませんようにって」

「じゃあそれも書こう私も」

「べつにいいよ真似しなくて」

「あと歌手も」

「さっき書いてたよ」

そんな私達も21歳になった。


今日は一人で店番だ。彼氏が出来てから智ちゃんはあんまり店に来ないのが少し寂しい。

外は雨が降っていて、雨天平日お決まりの暇が確定していた。私は何かになりたい訳じゃなくて、ただずっと穏やかに日々が進んでいくのがいい感じにつまらないのが誇らしかった。


智ちゃんは、常に何かになりたそうだった。


バーのドアに金属が当たる音が


チーンちんちんちん


「あ、ども」

大和くんだ。

「え、あ、いらっしゃいませ」

後ろに視線を送ったけど、智ちゃんは居なかった。





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