a-2
「…きて、起きて下さい」
できうる限りの小声なのか、囁くような声量と、ぴたりと張り付くような人の体があった。
「
「ちっ、違いっ、そんっ………!」
「寝させてくれ。あんたと違って俺らは交代で夜番もするんだ。眠らにゃ
「お願いです、話を聞いてください、あなたにも関わりのあることなんです! だから…ってコラ、寝るなっ! 起きろ! 起きろーっ!!」
…夜闇に絶叫が響き渡り、ランはようやく覚醒に至った。
そしてそれは、逃亡劇の始まりでもあった。
「ほら逃げて!」
「はあ? なんで」
「あんたに襲われたって訴えるわよっ?!
「んな無茶な!」
「ほら皆起きたわよっ」
かくしてランは、張り付いて離れない疫病神の具現を抱え、隣で寝ていた相棒を叩き起こし、逃走する羽目になった。
畜生愛されてる、と呟くが、普通、疫病神なんぞに好かれたいと思う者は皆無だ。
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