第37話 ねえ、出かけよう!(*^。^*)
わたしの神経症がひどかった頃、嫁も具合が悪くなることが多々あった。
嫁は、わたしがあまり働けないことで自分を責めていることを知っていたのだと思う。わたしが気分転換できるように、いつも最善を考えてくれた。
ある日、病み上がりの嫁がサンドイッチを作っていた。
「ねえ、出かけよう!」
わたしたちはある公園に行った。
以前から何故こんなところにあるの?と思っていた小さな公園である。
いつも人がいない、でも何故か展望台がある。
しかし、その日の公園はいつもと違った。
つつじの花が満開だったのである。
わたしたちはサンドイッチを食べ、はっさくでキャッチボールをした。
落としたら食べられなくなるという、リスキーなキャッチボールだった。
楽しかった。
「ねえ、展望台にのぼろうよ。」
「ごめん、のぼれないの。」
「途中までは?」
「無理、一人でのぼってきて、それで上から手を振ってね。」
病み上がりの嫁は、階段をあがることができなかったのだ。
こんなに動けないのに、美味しいサンドイッチを作ってくれて、キャッチボールまでしてくれた。
ありがたい。
展望台の上から手を振ると、嫁も手を振った。
満開のつつじの中に嫁がいる。
つつじが本当にきれいだった。
同じくらい、嫁の心もきれいだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます