第37話 ねえ、出かけよう!(*^。^*)

 わたしの神経症がひどかった頃、嫁も具合が悪くなることが多々あった。

 嫁は、わたしがあまり働けないことで自分を責めていることを知っていたのだと思う。わたしが気分転換できるように、いつも最善を考えてくれた。

 

 ある日、病み上がりの嫁がサンドイッチを作っていた。

 「ねえ、出かけよう!」


 わたしたちはある公園に行った。

 以前から何故こんなところにあるの?と思っていた小さな公園である。

 いつも人がいない、でも何故か展望台がある。


 しかし、その日の公園はいつもと違った。

 つつじの花が満開だったのである。


 わたしたちはサンドイッチを食べ、はっさくでキャッチボールをした。

 落としたら食べられなくなるという、リスキーなキャッチボールだった。

 楽しかった。


 「ねえ、展望台にのぼろうよ。」

 「ごめん、のぼれないの。」

 

 「途中までは?」

 「無理、一人でのぼってきて、それで上から手を振ってね。」


 病み上がりの嫁は、階段をあがることができなかったのだ。


 こんなに動けないのに、美味しいサンドイッチを作ってくれて、キャッチボールまでしてくれた。

 ありがたい。


 展望台の上から手を振ると、嫁も手を振った。


 満開のつつじの中に嫁がいる。

 つつじが本当にきれいだった。

 同じくらい、嫁の心もきれいだった。

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