第21話 ロボットカエル

 この季節、我が家の玄関のドアにはアマガエルが何匹か張り付いている。


 嫁がドアを開けた時、ドアの上の方にいたアマガエルが驚いて、ぴょーんと飛び降りたらしい。親指ほどの大きさのアマガエルにとっては大ジャンプ! 衝撃で両手両足を広げて気絶したようだ。


 それを見た嫁は

 「あれー、君は死んでるのか? 生きてるのか?」

 そう話しかけたそうだ。


 すると、カエル君は、少しずつ手足がピクピク動き出して、手と足がまるでロボットのようにウイーンと伸びて歩き出したらしい。それを見た嫁は、


 「ねぇ、カエルがさぁ、なんだか死んでるかと思ったらさぁ、ピクピク動き出してさぁ、ロボットみたいに手足が伸びて動きだしたんだよぉ。あんなの初めてみたよぉ~」


 「へー」と、私は返事だけしてトイレに入った。

 トイレから出ると、嫁が待っていたかのように話を続ける。

 

 「本当だよ、カエルがさーこうやってさぁ~」


 今度は嫁が床にうつ伏せになり、両手両足を開いて、カエルがロボットのように復活するところを演じて見せる。私からみると、嫁は随分大きなカエルだ。


 なんてことのないたわいもない会話

 内容はアマガエルなのである。


 でも……。こんなたわいもない会話ができる日々が幸せである。

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