第59話 『ねんどやま』

 やましんの生家、(といっても、実際に生まれたのは病院で、現在は、名前は同じで、別法人になっている)のそばには、ねんどやま、と、通称で呼ばれていた小さな丘がありました。いまは、もう、ありません。


 ビルが建っておりますので。


 関東ローム層、赤土、の地肌が丸出しになっていて、ちょっと、濡れると、ツルツルになります。


 遠くには、お天気が良ければ、富士山が見えています。


 近所の子供たちには、格好の遊び場でした。


 やましんは、がけを滑り降りるのは苦手で、怖かったのですが、なにかしら、遊んでおりました。


 ある日、年下のBくんと、水鉄砲で遊んでいたのですが、お水を使いすぎたやましんは、先に水鉄砲がからになりました。


 そこで、悪魔のささやきを聞いたやましんは。


 『ちょっと、貸して』


 と、言って、彼の水鉄砲をとりあげ、じゅわっ、じゅわっ、と、からにしてしまったのです。


 『これで、いっしょだね。』


 と、にこやかに言ったのですが、相手は、泣きながら帰ってしまいました。


 それ以来、その子と遊んだことは、たぶん、ありません。


 ごめんなさい。


 やましん、悪い子だ。


 いまは、紙パンツの、おじ(い)さんです。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


        くたばれ‼️ やましん


 

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