第14話 『自動券売機』
ごぶさたさまでございました。
さて、このお話は、また、いささか他人様が絡むので、また内容的にも、時や場所は、差し控えさせていただくとしまして・・・
とある、その地域では、比較的大きな駅でのこと。
でも、大分、昔です。
まだ、身体も細身で、若さの名残が相当あるやましんは、勝手に、ひとりで孤独な『たび』をしておりました。
やましんは、大体いつも自分から孤独で、孤独でなかった時代は、どうも、思いつかない位ですからね。
気があまりに小さくて、仕事では相当無理をしてはおりましたが、お外で、他人様とお話するようなことは、昔から、めったにいたしませんでした。
で、自動券売機できっぷを買おうと、とりあえず様子をながめていたのです。
まず、ひとりの、ちょっと高齢の女性の方が、いくらかお金を入れました。
ところが、お金が足りなかったようで、ごそごそっと、カバンなどを漁っていらっしゃいました。
人が並んではいなかったのです。
そこで、別の若い女性の方が、ささっとやってきて、切符を買おうとしてお金を入れたのですが、料金に達しない内に、ランプがピピッと点灯しました。
そこでその方は、かなり不思議そうにしながらも、そのまま切符を買って消えました。
残された方は、やがてお金を見つけ出し、これまた不思議そうに、なぜまた最初から、お金を入れなおさなければならないのか、合点がゆかなかったのです。
結局・・・・・・
一番の悪者は、見ていたのに言い出せなかった、やましんなのですね。
大昔の事ではありますが、双方の方に、お詫び申し上げます。
やましんが、一言いえば、こうした行き違いは起こらなかったのですから。
ただ、更にそのちょっとだけ昔の、有人の切符売り場であれば、こうしたことは起こらない出来事ですけれども。
当時は、まだ、駅の自動券売機の要領が良く分からなくて、立ち往生する年配の方が、けっこういらっしゃったものなのです。
それから、また電車に乗って、やましんは、もう暗くなる中を、さらに孤独に彷徨ったのです。
あとのことは、あまり覚えておりませんけれど。
でもまあ、なんとなく、苦い思いの『たび』になりました。
くたばれ、やましん!
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