第4話 ベランダ2
翌日、いつもの時間に斎藤がベランダに出てくる時間を見計らって麻里は一服を始める。
甘いバニラの香りがベランダ一面に漂う。
この匂いを嗅ぐといつも思い浮かぶのはダル気にしている表情の斎藤だった。
隣で窓を開ける音が聞こえるとカチカチといつものようにライターに火をつける音が聞こえてくる。隣を覗くといつものように気だるそうに疲れた表情の斎藤が煙草を吹かしていた。
「お疲れっす」
「お疲れ。昨日は唐揚げ、ありがとな」
「別に礼を言われる程のことじゃないです。たまたま作り過ぎただけです」
「麻里は良い嫁さんになりそうだな」
「バカじゃないっすか」
「またセクハラって言われちまうな」
「…セクハラっすよ」
速まる鼓動に火照る顔
寒ささえ忘れてしまうこの想い
どうか、あの人に気付かれないように
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