第2話 コンビニ

 自宅からほど近い最寄りの駅前にあるコンビニで真里はアルバイトとして働いていた。

 無愛想ながらも働いて一年半も立っているせいか最近は頼られごとが多く、今日は特に頼まれることが多い気がした。


“高梨さん、郵便物の対応ってどうすればいいのかしら”

“高梨さん、発注お願いします”

“高梨さん、荷物の入れ忘れ届けて欲しいそうなんですが”


 真里は今日はやけに疲れた気がしていつにも増して無愛想な顔をしていた。

 はぁ…タバコ吸いたい。


「無愛想な店員さんだな」


 その一言に苛立ちを覚えながら顔を上げるといつものように髭の剃り残しが目立つ斎藤さんが唐揚げ弁当を持ってレジに並んでいた。


「斎藤っすか。お疲れっす」


「お疲れさん。今日も頑張ってるな。

 あ、あといつもの煙草よろしく」


「唐揚げ弁当ばっか食べてると将来困りますよ」


「将来どころか健康診断で最近困ってるけどな」


「食生活改善した方がいいっすよ」


 斎藤は苦笑いを浮かべながら店を出ると唐揚げ弁当を片手にスーツのポケットから取り出した煙草に火を付けて喫煙スペースで煙草を吸って去っていった。


 斎藤が仕事帰りに立ち寄るいつものコンビニ。真里が斎藤と出会ったコンビニ。

 真里は相変わらず無愛想な表情のままだが疲れが吹き飛んだような気がした。


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