第76話 男性陣は仲がいい
クラルテ国の城に戻ってまず最初に私を出迎えくれたのはルイだった。
「みゃうみゃー!!」
「ルイー!」
全速力で私の腕の中に飛んできた愛しいルイをぎゅうぎゅう抱き締めた。そしてこれでもかと言うくらい頬擦りをする。
癒し成分充電!今日はもう離さないからね!
久しぶりのルイを撫で回しているとアレクとシオンがやって来た。
「アザミ、お帰りなさい」
「……………………」
あぁぁ…にこやかなアレクの後ろでシオンが氷点下の笑顔を浮かべていらっしゃる……。
「…結局僕らはあまり役に立てませんでしたね、すみません」
アレクがしょんぼりと肩を落としながら告げた。
「しかし結果としては鬼の事も解決し、東の国と魔導一族の不可侵条約も締結することができた。それでよしとしよう」
「何で兄上が仕切るのですが、頑張ったのはアザミでしょう」
「あぁ、そうだな。シリウスに張り手を食らわせるとは思わなかった」
「あー…俺も。でも必死なアザミ様の一面見られたから役得だった。泣き顔を見られたしな」
「わ、忘れてください二人とも!」
私は恥ずかしくなって語り始めたクラウドとレオンを止める。
感情的になった姿なんて黒歴史だよ!!役得ってなによ!
「へぇ……」
「そんな事があったんですね」
ほら!アレクもシオンもドン引きしてるから!
「なら僕らも泣かせてあげましょうか?ねぇ、シオン」
「そうですね、泣きたくなるほどに可愛がってあげますよ」
ほら見ろ!アレクとシオンに変なスイッチ入ったじゃないか!二人とも目が笑ってないんだよおぉぉ!!
というか、お前らまで呼び捨てと愛称で読んでるのか!仲良しかよ!
私の心の叫びが届いたのがクラウドがストップをかけてくれ、その日は双子と共にクラルテ国に一泊することになった。
私は当たり前のように以前から使わせてもらっていた客室を宛がわれる。
クラウドとアレクが帰還祝いのささやかなパーティーを開いてくれることになり、私は侍女さん達に手伝ってもらいながらドレスアップしていた。
着せてもらったのは薄い緑色のドレス、あまり露出が多いものではなく、清楚な雰囲気で胸元には淡い桜色のバラがあしらわれている。袖やスカートの裾にあしらわれたレースは白だ。
侍女さん曰く、王子二人と双子が一時間ほど話し合って決めたらしい。
私に選ぶ権利はないのか…というかお前ら本当に仲良しだな!
髪はハーフアップにしてもらい、胸元のバラ飾りと同じ色のリボンをつける。
鏡を見れば誰だよ、と突っ込みをいれたくなるくらい雰囲気の変わった姿がそこにあった。
「ルイ、似合う?」
「みゃう!」
私のドレスアップを見守りながらクッキーを齧っていたルイに尋ねるとこくこくと頷いて嬉しそうにパタパタ跳ねる。
ルイの御墨付きなら大丈夫だろう、いざパーティー会場へ!
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