挿話 騎士-士月-
クラルテ国の騎士になって何年たったろう。
俺、士月・マーロン・セルゲイは東の国に向かわれたクラウド殿下達を見送りながら、ふと昔の事を思い出した。
幼い頃、親に捨てられた俺はアレクセイ殿下に拾われた。
恩義を感じ、アレクセイ殿下に遣えたいと言えば騎士としての教育や訓練を与えてくださった。
読み書きもできなかった俺は必死に努力をして、騎士になることができ今に至る。「伊月」とい仲間とも出会えた。
同じ「月」という字が入っているのは俺たち二人の名前をアレクセレイ殿下がつけてくださったからだ。
故に俺達はアレクセレイ殿下の親衛隊でもある。といっても伊月は俺が巻き込んだのだが。
「はぁ……いくら命令と言えどアレクセレイ様と長時間離れているのは………しんどい」
俺が呟くと伊月は顔をひきつらせる。
「士月は本当にアレクセレイ殿下が好きだよなぁ、ガチ勢ってやつ」
「当然だ、俺の人生全てはアレクセレイ様の為に!」
「うん、重い」
「アレクセレイ殿下の肖像画を寝室に飾りたいくらい俺は真剣にお仕えしているんだ!」
「止めて!お前俺と同室なんだから!」
「何をいう。アレクセレイ殿下親衛隊、副隊長とし名誉だろう?」
「うわ、こいつマジだ!」
あちゃーと頭を抱える伊月の横で、魔方陣の見つかった洞窟を見張りながら、俺はクラルテ国にいらっしゃるアレクセレイ殿下に思いを馳せるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます