第50話 再び
「うわぁ……綺麗…」
クラルテ国に入り、城下街を見て私は思わず感嘆の声をあげた。
建物は白を中心として水色、パステルグリーンで爽やかな色合いに染まっていて所々に水路や、花壇があり色鮮やかな花が街を彩っている。
国のメインストリートは広く、露店が立ち並び人で賑わっている。
何人かはすれ違う私達を見て驚いたような顔をしているが、仕方ないだろう。
今日は招待されて来たのでこそこそする必要も無い為、髪を隠すようなフードは被っていないのだから。
しかも隠してない髪の上には我が物顔でルイが鎮座してる。
最近、ここがルイの指定席になりつつあようだ。
頭が少し重いけど気にしない、可愛いルイが乗っているんだから愛の重みだ。
前に来たときはそれどころじゃなくて、夜だったし、すぐお城に案内されたら町を見る余裕なんてなかったからなぁ…
こんなに綺麗なら見ておけばよかったと少し後悔した。
「ようこそ、アザミ」
城門前までいくとアレクが出迎えてくれた。
少し顔を見ない間に少し顔付きが男性ぽくなった気がする。
「お久しぶりですアレク、御招待有難うございます」
礼を述べるとにっこりと微笑まれる。
微笑みの貴公子は健在のようです!
ほら、門番さんも頬赤らめてるよ!?性別関係無いのかな?
アレクは自然な動作で私の手を取ると、頭を下げ手の甲に口付ける。
…………おぉう!?
なに今の自然な流れ!
さすが王子様、所作が違う。
された方はなんか少し恥ずかしいけどね!
私が反応できずにアレクを見ていると見つめ返される。
うわぁぁ、恥ずかしいです!ご勘弁を!
あわあわしていると双子がぐいっと私と私とアレクの間に割って入る。
「無粋ですよ、護衛殿。私は彼女に挨拶しただけですから」
「そうでしたか、てっきりうちの族長様を誘惑しようとしているのかと思いましたよ」
ニコニコ笑いながら言葉を交わすアレクとレオン。シオンは無表情で私の手を取るとハンカチで、手の甲をごしごし擦っている。
「シオン…ちょっと、痛いです」
「ご辛抱を。摩擦熱で殺菌しておりますから」
何で!?
というか痛い、痛いです!シオンさん!
日頃の鬱憤とか込めてるの!?ごめん、ごめんなさいいいぃ!!
私の手が少し赤くなるまで擦られた。
……容赦ないです、痛いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます