第45話 王子vs双子

言葉だけだと丁寧に挨拶しているように取れなくもないが、言い方が何処と無く喧嘩を売っているように聞こえるのは気のせいではない。




ちょ、おま、言い方、無礼過ぎるでしょ!






敬語には敬語なのだが、相手を試すような言い方をしてる。レオンを止めようとすると私がシオンに止められた。


見上げるとフルフルと首を横に振っている。




止めるなってことかい!?






双子は私を王子達から隠すように立ちはだかる。




どいてくれ双子、まるで壁みたいだ…。


クラウド様とアレクに失礼だから!


せっかく条約締結できるのにダメになったらどうするの!






「護衛、ですか」


「すまない、護衛だとは思わず不法侵入者と勘違いしてしまった。詫びよう」


クラウドとアレクの声が低い気がする。私が今まで会話していた中で、彼らのこんなに低い声を聞いたことはない。






なんだろ、不穏な気配を感じるのに…


声を低くするとこの子達もイケボかよ!


これはいい、双子もイケボだから何も考えず声だけ聞いてればいろんな妄想ができそう……






イケボ祭りにうはうはしたいところだがそうはいかない。


「あ、あのっ…クラウド様、アレク、この度は条約締結に助力戴いたこと感謝します」


双子と王子達の間にずいっと体を割り込ませて、礼を述べる。条約を締結出来たの彼らが進言してくれたからでもある。




「構わない、我々がしたくてしたことだ」


「貴女の役に立てたのなら光栄です」




あれ、声のトーンが戻りましたよお二方。




「御二人に出会えてよかったと思います、条約の署名を終えたら私は村に帰ります。長々とお世話になりました」


「…アザミ殿が良ければまたいつでも来てくれ、なんならこのまま此所にいてくれても構わないのだが」


「そうですよ、アザミが居なくなってしまうと寂しいですし」


嬉しいことに気を使ってくれる王子達。


しかし、私が返事をする前に双子が答えた。




「アザミ様は族長としてとてもお忙しいので、クラルテ国に伺うことはそうそう無いと思いますけれど御気遣い感謝致します」


「そうですね、クラルテ国にも御迷惑でしょうし…ねぇ、アザミ様?」






ひっ!?


シオンさん氷点下の笑顔でこっちを見ないでください!


た、確かにこれ以上お世話になるのは悪いし…お祖父様にも会いたいし…






「は、はい…その村で私の家族が待っていますし…族長としての仕事もありますから…。でも、またきっと遊びに来ます」


「アザミ殿がそう言うのであれば。約束してくれ、また来ると」


「その時は僕が町をご案内しますよ」


「はい、楽しみにしていますね!」




………後ろの二人の殺気がなんか怖いけど、絶対気のせいだ!


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