第40話 謁見前夜

「なんだ、ルイ。嫉妬か?」


にんまりと笑いながらレオンが指先でルイにちょっかいを出す。


「ふみゃっ!」


「なんだ、やるか?」


「みゃーっ!」


ルイは小さな手でぺちんとレオンの手を叩いたようだ。


「はい、そこまでです」


私がストップをかけると、一匹と一人は大人しくなる。




「…レオンさん、せっかく迎えに来ていただいたのですが…明日まで待っていただけますか?」


「明日?なんでだ?」


首をかしげるレオンに東の国とクラルテ国が魔導一族にしたことや、それを踏まえてアルフレッド王と謁見する事等をかいつまんで説明する。




こういう時、アニメとか漫画だとかくかくしかじかで説明出来ちゃうからすごいよね…。


私も欲しい、かくかくしかじか機能。






「成る程、な…」


一通りの説明が終わるとレオンはポツリと呟いて頭をがしがしと掻いた。


「…アザミ様、その謁見。俺たちも同行するわ」


「みゃう」


当然だというようにルイも鳴いた。






……マジか。


護衛だから?


心強いけど、なんか申し訳ない気がする。






「もちろん、姿は消しておく。何かあったらすぐに対応できるようにな」


「……危険な真似はしないと、約束してくれますか?」


「それ、俺の台詞。アザミ様を守るのが俺等の大事な役割なわけ」


「貴方達を含めた一族を守るのは、族長としての私の役割ですよ」


「あー………」




目を見て告げると、言葉にならない声をあげてレオンは頭を抱える。


「わーった、シオンにも伝えておく」


「御理解していただけたようで何よりですわ」


にっこりと微笑んでみると肩を竦められた。




絶対、こいつ頑固だなとか言うこと聞かねぇなとか思われてそう。




「じゃ、明日またくる。アザミ様が謁見に行くときは見えなくてもちゃんと傍にいるからな」


「はい、信じてますわ」


そう告げるとレオンは私から離れて指をぱちんと鳴らした。途端に姿が消えてしまった。






指パッチンで消えたり現れたりできるとか。どんな手品ですか。


あ、魔法だった。


便利かよ。






姿の消えたレオンはシオンのところに戻るのだろう。




「ルイ、私たちも戻ろうか」


「みゅい」


頭の上に声をかけると、眠そうな声が返ってくる。


私も早く眠ろう、明日を無事に乗り越えるために。






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