第38話 ストレス軽減方?
アルフレッド王との謁見が決まり、その準備をするためクラウドは話を終えた後部屋を出ていった。
侍女さんの淹れてくれた紅茶を飲みながら、私とアレクは一息いれていた。
「アザミは…強いですね」
ポツリとアレクが呟く。
「強くて、責任感もあって…。族長と言うのは驚きましたけど」
「そんな事無いですよ…弱いです。弱いから、一人じゃたてないから…支えてくれる人たちを、助けたいんです。」
自己中心的で我が儘なんですよ、と笑って見せる。
するとアレクは私の傍まで距離を詰め、そっと腕を伸ばしぎゅっと抱き締めてきた。
…………………ぅあ!?
え、なにこれ、どういう状況!?
急なことに何がなんだか分からず硬直していると髪を撫でられた。何度も何度も。優しく髪を撫でられる。
「あの、アレク…?」
声をかけても何も帰ってこない。
突き放すことも出来ずそのままでいるとポツリと呟く声が聞こえた。
「…アザミは色んなものを抱えているんですね…。もし、重すぎたら言ってください」
「………アレクに言うと、どうなるんですか?」
「こうして抱き締めます」
アレクが体を離してにっこりと微笑む。
…………はい?
首をかしげるとアレクは悪戯っぽく笑った。
「ハグはストレスを軽減してくれるんですよ」
あ、それ聞いたことある。前世でだけど。
アレクなりに私の事を考えてくれたのかな?
それは、素直に嬉しい。
心配かけたのは申し訳ないけど、うん。
「ありがとうございます」
そういって笑うとまたぎゅっと抱き締められた。
確かにハグはストレスを軽減するらしい。帰ったら双子にもやってみよう。
◇◇
アレクも自室に戻り、夕食を終え侍女さんに手伝って貰って入浴も終えた私は庭園にいた。
アレクのハグは効果があったようで、私の心は思ったよりも落ち着いている。不安が消えた訳じゃないけど。
明日いざアルフレッド王に正式に謁見した時、きちんと話せるだろうか。
ここで、魔導一族の破滅フラグを折らないといけないんだから。
私がしっかりしないと。
目を閉じて夜の空気を思い切り吸い込んで吐き出していると、廊下から聞きなれた鳴き声がしてルイが戻ってきた。
「みゃうみゃ!」
「おかえりー!」
私の腕に飛び込んでくるルイを抱き締めて、そのままの勢いで庭園の中でくるくる回る。
「いつもありがとうね」
「うみゃっ!」
「……あれ?ルイ、返事もらえなかった?」
戻ってきたルイは手紙の返事も、何も持っていなかった。
おかしいな…、いつも必ず返事を貰ってきてくれるのに。
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