第32話 待遇

毎日毎日、魔導一族の歴史を調べる。


と言っても、私は一応国賓という扱いになっているらしくアレクかクラウドが一緒に居ないと書庫まで出歩けない。




事情を知ってるお城の人から見れば、私は危険人物でもある。


お城の中をふらつかれる訳にもいかないと言うこともあり、私に許された場所は最初に与えられた客室と部屋の向かい側にある小さな庭園だけだった。






まぁ、当然だよね…うん。


悲しいけど、迂闊なことして怪しまれるよりは全然いい。


けど、そろそろ飽きるというか……退屈というか。






クラウドもアレクも、忙しい王子様だ。


一緒に書庫に行ける時間は少ない、その時間でお城のかなり大きい書庫を調べるのは時間がかかっていた。


そして二人が居ない時は、私は庭園にしか行けないので時間が有り余ってしまうのだ。


こうして三ヶ月が過ぎようとしていた。






この前暇すぎて客室掃除してたら侍女さんにやんわり怒られたし…


「国賓なのですからその様なことは私どもにお任せください」と言われ、一度は借りれた掃除用具を没収されてしまった。


最初貸してくれたときもまさか掃除するとは思わず、物珍しさから借りたと思われていたらしい。






勿論時間はあるので紙とペンを用意してもらって、レオンとシオン、お祖父様と一族の皆に、魔導一族の歴史を確かめているという現状を報告した。


ルイが三日に一回ほど手紙を届けてくれるので何とか近況報告も出来ている。




このやり取りは国王陛下の許可を得ていた。


その代わり、内容を全て開示することを求められた。


やましいことは書いてないし、書かれていない。






私の救出計画も進んでいるらしく、その知らせは最初に送られてきた宝石ではなく、お菓子に魔力を込めたボイスレコーダーで届けられる。


私の魔力に反応するようで、回りからは実家から届けられた差し入れと思われてようだ。




一人になってから魔力を込めて再生するとただのお菓子に戻ってしまう。


なんとも魔法とは便利だ。


こんな応用までできるとは思わなかった。




今日は、王子様方来るのかな?






侍女さんが持ってきてくれた物語の本を読んでいた手を止めて顔をあげる。


既に昼は過ぎていた。


手紙を届けてもらっているためルイもいない。




今日は少しでも書庫を調べられるといいんだけど…




そう思っていると、通じたかのようなタイミングで来訪者がやって来た。

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