第22話 言葉がわかるんです
「えっと、これは……………そう、魔石の力です!」
「魔石…?」
確かクラルテ国では魔法の動力として使える魔石の採掘が行われていた。
それは王族から庶民まで使用できる魔法のエネルギーとして、クラルテ国では認知されている。
魔法に見えても魔石の力ですって言えば…誤魔化せる!
「…そうでしたか。ありがとうございます、この子を治していただいて」
「みゅっ」
私の説明に納得してくれたらしいアレクセレイ王子が礼を言うと、手当てしたコドモドラゴンも鳴いた。
他のコドモドラゴン達もわらわら寄ってきてみゅとかみゃーとか鳴いた。
「ふふっ…皆、貴女にお礼を言っていますよ」
「言葉がわかるんですか?」
ゲームの中では取り上げられなかったけれど、アレクセレイ王子はコドモドラゴンの言葉がわかるのだろうか。
「えぇ……まぁ」
アレクセレイ王子が気まずそうに目を伏せる、それと逆に私は目を輝かせた。
「すごい!こんな可愛い子達と話ができるなんて羨ましいです!」
「………羨ましい…?」
首をかしげるアレクセレイ王子に私はこくこくと頷く。
さすが乙女ゲームの攻略キャラ…動物と話せる力とか、小さいころ絵本で見て憧れてたんだよね!
小学生の頃に、うちの猫の言葉を理解しようと鳴き声を録音して解析してみようとかしてみたけど、全然わからなかった。
実際に話せる人が今、目の前にいるなんて…感動!
「素敵な才能ですわ、コドモドラゴンと話ができるなんて」
「……そう、ですか?」
「はいっ!コドモドラゴンと意思疏通ができたら連携技とか取れそうですよね」
コドモドラゴン組体操とか出来たら絶対に可愛い!
アレクセレイ王子は暫く私の顔を見ていたが、やがて口元に笑みを浮かべる。
「アザミは変な人ですね」
ナチュラルに馬鹿にされた。
何故そうなる、いくら王子と言えども初対面の女性に変とか…失礼ですよっ!
あ、私がコドモドラゴンで組体操とか考えてたのがバレたのかもしれない…この世界では組体操はないのかも。
「すみません…」
この世界の常識はわからないけど、とりあえず謝っておこう。謝るのは日本人の得意技です。
「いいえ、謝ることはありません。素敵だと思います」
どっちですか、と突っ込みをいれようとしたらアレクセレイ王子に手を取られ、ひざまずかれる。
……ふぉ!?ひざまずかれた!?
暗くてよく見えないけど!
「クラルテ国の第二王子の名にかけて。貴女を必ず無事に、ここから脱出させます」
名前をかけるほどに…!?
いや、王子様がひざまずくって相当だよ!?何故、今!?
うち護衛のツンデレシオンとは立場が違うんだよ!?
いや、シオンもイケメンだからひざまずかれたらちょっと視線のやり場に困るんだけどね
わたわたする私の耳にシオンの「誰がツンデレですか」という幻聴が聞こえた気がした。気のせいだ。
今頃双子は私の事を探してるかもしれない…んでもってシオンは絶対怒ってる。絶対零度の無表情が目に浮かぶ。
確実にお説教コースですね…うわぁ…
「あ、あの…アレクセレイ王子、私だけでは意味がありませんわ。この子たちも、アレクセレイ王子も皆で一緒に脱出しましょう?」
「そうですね、もっと明るいところで貴女の姿を拝見したいですし」
おぉっとこれは嫌なフラグが立った気がする…。
明るいところで見られたら駄目なやつ…!
ここから脱出出来たらルイを連れて速攻逃げよう。
私はアレクセレイ王子の微笑みを見ながらそう誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます