第18話 マスコットキャラ最強

名前がコドモドラゴンだから子供と言うわけではなく、子供のような見た目で、人の両腕で抱えられる大きさが成体である。


名前の由来は不明だが、この世界を構成する乙女ゲーム「ドラゴンと騎士」でヒロインを召喚し、サポートするマスコットキャラがこのコドモドラゴンだ。




そっと窓を開けてみると、コドモドラゴンはパタパタと背中の小さい羽で飛びながら部屋に入ってきた。


そしてぽすんとベッドの上に座ると、こちらをジーっと見つめてくる。






丸い、お腹ぽてぽしてる、お目めキラキラしてる!ぬいぐるみみたい、めっちゃ可愛い、抱っこしたいー!!






警戒されているのだろうか、とりあえず敵意は無いことを示すために笑顔を浮かべてみる。


すると、コドモドラゴンは挨拶するように手をぴこっと上げた。


恐る恐る手を差し出してみると、三本指の小さな手で握手された。






ぐぅあっ!ちっちゃいお手て!可愛いっ!たまらんです!


……仲良くしてくれる、ってことでいいのかな?




コドモドラゴンと戯れていると部屋のドアがノックされた。


「アザミ様、起きてるかー?開けるぞ?」


「あ、はい!」




反射的に返事をするとドアが開いて、レオンが顔を出した。コドモドラゴンの姿を見つけ硬直する。


コドモドラゴンもレオンの姿を見つめてこてんと首をかしげる。




くうぅっ!可愛い!


二頭身のぽてっとした生き物ってどうしてこんなに可愛いの!




「………コドモ、ドラゴン?」


「みゃう!」




鳴いた。




ゲームだと電子音が鳴き声になってたけど実際は猫みたいに鳴くんだ…はぁ可愛い!可愛いしか出てこない、私の語彙力はログアウトしたようです




前世で猫を飼ってた身としては、こういう愛嬌のある動物はかなり好きだ。


ついでに、もふもふしてるとありがたい…もふもふだったら絶対に顔を埋めて、そのもふもふを堪能したい…


もふもふは正義!!




「うぅわ、スゲー…本物?聖域にしかいないハズなのになんで此処にいるんだ?」


レオンはコドモドラゴンを脅かさないように、そっと部屋に入ってくるとまじまじと見つめる。




「アザミ様、この子何処で見つけたの?」


「窓の外にへばりついて居たのです。私にも、どうしてここにいるのか分からなくて…でも可愛くないですか?」


レオンに同意を求めて首をかしげると、コドモドラゴンも私の真似をして首をかしげる。


その動作が愛らしくてつい顔が緩んでしまう。




「あー……うん…これは可愛い…可愛いの相乗効果だろ」


レオンは片手を額に当ててぶつぶつ呟いている。コドモドラゴンの可愛さにやられたのだろう、恐るべしマスコットキャラ。




「アザミ様、このコドモドラゴン、どうすんだ?迷子だったら聖域に返さないと……悪いやつらに捕まったら間違いなく利用されるぜ?」




レオンの言うとおり、魔導一族同様に聖域に住む生き物も、東の国とクラルテ国から狙われていた。




しかし、聖域には両国の間で不可侵条約が結ばれている。


聖域はその土地に宿った神秘的な力で、この大陸を支えているのだ。


それゆえにその土地を侵略しようとしたりすると、力が乱れて大陸全体に地震や津波、洪水等の自然災害が及ぶ。




流石に自国だけでなく他の国、それどころか大陸全体に影響が出るとわかっていながら手は出せないよね…




人は聖域に手出し出来ない。


なので自然も手付かずのまま長いこと残っている、そのせいか不思議な生物も多く生活していてコドモドラゴンもそのうちだ。


もちろん聖域の生き物には捕獲禁止令がある。


しかし、悪人が聖域の生き物を捕まえて裏で売買してるという話もある。


そんな人に捕まってしまえば、利用される可能性が高い。




こんな可愛い子を悪い人の手には渡せないもんね!


ちゃんと聖域に返してあげないと。




とりあえずお祖父様に報告しに行くことにしたのだが、コドモドラゴンがパタパタと小さな羽を動かしながらついてきた。


それを見たお祖父様はもちろん、シオンまで目を丸くして驚いたのは言うまでもない

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