第10話 東(あずま)の国

「おおー…凄いな、東の国……」


驚きの声をあげたのはレオンだ。




東の国は、何というか和風の国だ。


国の人々は和服を着ている人が多いが、中には和ゴスっぽい服を着ている人もいる。




魔導一族は基本的に洋服の上からローブを着ている、だから和と洋の混ざった服はレオンにとって物珍しいのだろう。




着物なのに足元ブーツな人もいる…何でもありか!


いや、ゲームの世界だから突っ込んだら負けなんだよねきっと…そういうファッションなんだと思うことにしよう…


前世でも、ファッションの一部としてネットとかで見たことある気がするし……たぶん。




和洋が混在してるのは洋服だけで、建築物はザ・日本家屋だ。


日本史の教科書に乗るような、江戸の町並みをイメージしていただければいいと思う。






「確かに凄いですね、人が多くて賑やかで」




「アザミ様、折角だからなんか美味いの食べにいこうぜ」




レオンがそわそわしてる、落ち着け柴犬。


今日の目的は情報収集だ!


確かに……近くのお店から漂ってくる美味しそうな匂いはとても気になるけど…




あ、あれたい焼きのお店かな…?どら焼きもある!


飴細工のお店もあるじゃないか!!店頭に並んでるのは兎の飴細工かなぁ…可愛い!




「二人とも目的を見失わないで下さい。何のために危険を犯し、変装してまで東の国に来たと思っているんですか」




冷たいシオンの声に私とレオンはしょんぼりと肩を落とす。




おっしゃる通りです…申し訳ない。


反省し、頭の中を切り替える。








目的を確認しよう


1、まずはこの国の状況。


昔は魔導一族を捕まえようとしていたけれど、今はどうなのか。




2、クラルテ国との関係の確認。


国同士の交流はあるのかどうか。




3、攻略対象者がいれば様子を見ておきたい。


現時点で、魔導一族に害があるかどうかを確認したい…




けど、この大きな街で探すのはまず難しいだろうし3は可能な限りでいいだろう。




兎に角、この国の情報だけでもわかれば、私としては次の行動を考えることが出来るのでありがたい。




「まず、町の人に然り気無くこの国の現状を町の方々に聞いてみようと思います」




「………町の人間との接触は、最低限に押さえるべきかと。私達の素性がバレる可能性もあります」




「バレないようにするための変装です。言動には気を付けますわ」




大丈夫、私達の姿は今、魔導一族には見えないはず!


染色魔法で東の国に馴染めるように、髪を黒く染めているのだから。


ちなみに染色の魔法はシオンが掛けたものだ、効果は約半日ほど続くらしい…コスプレに使えそうとか思ってないよ?




東の国の人たちは髪色が黒、焦げ茶色が多いから違和感はない。




そして服装はクローゼットの洋服を少し手直しして旅人風にしてみた。


即身バレするようなローブは勿論着てない。




ちなみにレオンとシオンの服は自前の旅人服のようだ。


レオンに何処で買ったのかと聞いてみたら、一族の村を離れていた時に作ったものだと言われた。服まで作れる護衛…聞いたことない。




今朝のミナモ様の話と合わせると、レオンとシオンは暫く村を離れていて、お祖父様が私の護衛に任命したため戻ってきた、と言うことらしい。




なんか、ごめん、振り回して…。


でも破滅フラグを回避するためだから!


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