第4話 双子
お祖父様の言葉に、思わずドアの傍に控えている青年を見る。
視線が合うとばっちり反らされた。
おふ、嫌われてる!
「就任式で顔を合わせたくらいで、挨拶はまだだったか。彼はシオン、魔法の応用や実用の知識に長けている」
ん?就任式で顔を合わせただけなら、ボロが出る心配しなくていいのかな?
でも、それならなんでここまで嫌われるんだろ…初対面で何したのアザミ様!
お祖父様の紹介を受けると、シオンは床に膝をついて身を屈ませる。
おおぉふ、ひざまずかれた!?イケメンに!何故か嫌われてるけど!
「シオンと申します、兄のレオン共々宜しくお願い致します」
挨拶を終えると、スッと立ち上がりドアの傍に戻ってしまう。
それを見ていたお祖父様が苦笑する。
「シオンは少々人見知りだが、いい子だぞ。仲良くしてやってくれ」
人見知り!?これ嫌われてるやつです、お祖父様!…なんて言えないので、そうなんですねと同意することで誤魔化す。
「もう一人が、シオンの兄でレオンと言う。今は就任式の片付けに駆り出されていてな……シオン、手が空いたら挨拶に来るように伝えておいてくれないか?」
お祖父様が頼むと、シオンは目を細めて微笑み分かりましたと了承する。
ヤバイ、笑うとさらにイケメンだし可愛いしイケボだし萌える!
こんな笑顔見られるなんてお祖父様狡い、と言うか本当に何したのよアザミ様!!
「それともうひとつ。もし、族長と言う立場で何か困ったことがあれば私を頼ってくれないか…今更かもしれないがアザミをサポートさせておくれ」
おっと、危ない。イケメンの笑顔でお祖父様の話を聞き逃すところだった。恐るべし顔面偏差値の高さ。
「はい、その時はお力を御貸しいただければ助かりますわお祖父様」
笑顔でそう返せば、お祖父様は嬉しそうに頷いた。
◇◇
それから少しだけ雑談をして、先ほどまでいた自分の部屋へと戻る。
いつの間にか日は沈み、廊下には明かりが点っていた。
電球じゃなく、発行する球体がふわふわと天井付近に浮いている。
明るさで言えば40Wの電球位だろうか
これも魔法のひとつなのだとしたら、魔法ってやつはすごい。
そして、何故かシオンがついてくる。
護衛だから?部屋までお守りします、的な?
「あの……シオン、さん。今日はもう部屋で休みますから」
「そうですか、では私は下がらせていただきます。アザミ様、失礼致します」
食い気味に言葉を被せてくると、シオンは私に一礼し背を向けてさっさと行ってしまった。
あー…私が言い出すのを待ってたのかな?
一族の破滅フラグを防ぐためにも、まず身近な人から協力を得られるようにしたいんだけど……前途多難ですね、こりゃ。
私は小さくため息をつくと部屋の中へと入り、ベッドに腰掛けてそのままぱたりと横になる。
どうしたらうまくやっていけるのか、全然分からないけど…とにかく、もう、やるしかない。
気合いを入れるように手のひらを固く握りしめているとコンコンとドアがノックされた。
誰だろう…?
返事を返せばドアが開いてたんぽぽが顔を出した。
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