第19話 少女マリカ

「退屈ぅ~~~~~~」

「どっかでみたことあるぞこの流れ・・・」

「Hなことする?」


  めっちゃ睨んでる。パパ上様がめっちゃ睨んでるんですけど!


「何で俺なんだよ、パパ上様に構ってもらえよ」

「え~お父さんとぉ・・・」


  何度か部長とお出かけしてるところを目撃したが、楽しくなかった

 のだろう。最近では俺に付きまとうようになった。


「働かなくてよくなってラッキーとか思ってたけど、退屈」

「今からでも遅くない復職したら?」

「い~~やぁ~~~」


「セクハラ上司でもいたか?」

「それもある」

「お局様がいたとか?」


「いた」

「いい男はいなかったの?」

「そんなの居たら鷹山とかと付き合ってないし」


「峰山さんはいいよね、年柄年中女の子といちゃこらしちゃってさ。

 正にハーレム状態じゃん」


  常に神経すり減らしてますがね!


「じゃあ、どっか行く?」

「飽きた」

「何かする?」


「セックス!」

「死ねよお前」


  部長! 冗談ですって! だから剣を抜こうとするのやめれ!


「そういや、こないだ居たアストリアって人イケメンじゃん?」

「お前、家事もまともにできないのに嫁に行ったらどーすんの? ここは

 バリバリの封建社会なんだからな」


「・・・・・・パパが全部してくれるもん・・・」

「ここにいる内はな!」


「今までどうしてたん?」

「お母さんに任せっきり」


  甘やかしすぎじゃね? そう思って部長に視線を移すとさっとプイ

 と知らんふり。うわぁ・・・そんなんだから嫁さんに逃げられるん

 だよ・・・。奥さんもキレるわ!


「と言うかみんなとどう言う関係なの?」

「悟は私の最愛の人よ。手を出したら殺すわよ?」


  ドスの聞いた声でクレアがマリカを脅す。


「ここは女神である私のお屋敷なんですけど! 何か勝手に居座られち

 ゃって!」


  サーセン!


「結ばれないと・・・死ぬんです。そう言う運命らしいです。命が掛

 かってますので必死です!」


  人間いつか死ぬんだから、俺はてっきりそう言う意味だと思ったが。

 ミレイアって時々とんでもない嘘つくし。リザリー男って言ってたぞ!


「私ですか?私は・・・レベル1になっちゃって・・・このまま元の世

 界に戻っても期待されて辛いので。せめてレベル99になるまではお世話に」


「私も同様にレベルが1にリセットされてしまったからな。それに、勇

 者悟にも正直、興味はあった」


「もしかして、全員と結婚するの?」

「可愛い、お嫁さんは確かに欲しかったんだが・・・」

「ここにいるよ!?」


「冗談はよせ」


  部長! だから剣を抜こうとするなって! 娘さんに手を出す気は

 さらさらないから!


「いいじゃん、どうせなし崩し的に皆に手を出しちゃうんっでしょ!

 一人くらい増えても変わんないよ!」

「お前、俺をなんだと思ってるの?」

「クズのハーレム男? お金持ってるから一生楽して暮らせそう♪」


  どうしてこうなった!


  クレアはしょうがないんだよ。しないと俺が殺される。今大人しい

 のはそう言うのがあるからなんだよ! 別にセックスしたいからとか

 そう言うのじゃねーし! ちょっと・・・言い訳としては苦しいか・・・。


「部長、助けて下さいよ、自分の娘くらい面倒みてよ~」

「マリカ、お父さんは結婚なんて認めんからな!」

「じゃあ、愛人でいいや」


「何言ってんの!?」

「マリカ、峰山が困ってるじゃ無いか、止めなさい」

「だってパパとじゃHできないじゃん!」


「それは・・・そうなんだが・・・」


  いや、そこは我慢しなさい! だろ! 結局、嫌がるマリカを外に

 連れ出して、皆でねずみーらんどへ行ってきたわけだが・・・。


「疲れた・・・歳を感じる・・・」

「25で歳とか言ってたら、これからどうするんだよ」

「うー」

 

「そうだ! セシリアたまぁ! 私も若返らせてよ!」

「6歳くらいに戻して貰え」

「はぁあぁぁぁぁ!? なによそれ!」


「いいな、それ。小さかった頃を思い出す」

「15~16歳でいいの~!」


「う~ん・・・あれは世界を救うための戦士にだけ施してた特例措置で

 あって、普通の人にやってたらきりがないわよ」

「む~」


「分かったわ、いいわよ」


  あっさり了承した。こいつよからぬ事を企んでるな!


「ちょっと! 何よコレ!」

「若々しくて可愛いじゃ無い」


  やっぱりな!


「お望み通り16マイナス10歳よ。処女膜も戻しておいてあげたわ!」

「嬉しくない! 嬉しくない!」

「ふふ、人様の男に手を出してただですむとでも?」


  怒ってた、かな~り怒ってた! まぁ、散々わがまま放題したつけだ。

 しばらくは大人しくしてるんだな。


「う~~~」

「マリカ、だっこしてあげよう」

「いらないわよー」


  良かったな! これでパパと一緒におねんねできるな!


  多少懲りると思っていたが・・・なぜか俺の膝の上に乗って来やがる!


「サイズ的に丁度良いでしょ~」

「パパんところいきなさいよ」

「飽きたし、毎日一緒に寝てるからいいよ」


  飽きたって・・・パパが悲しんでるじゃ無いか!


「6歳児ってほんと体がつるっつるでプニプニしてるわ~」

「だろうな」

「さすがに、あそこを弄ると痛かったけど」


  突っ込まないぞ!


「おにぃ~ちゃん、マリカと遊んで~」

「おいしゃさんごっこでもするんか?」

「うわ、最低」


「そんなぺったんこみても欲情なんてするか!」

「むー」


「まりかちゃん、自分と遊ぶっすよ」

「むー」


  俺が構わないので渋々井岡に連れて行かれたマリカ。


「6歳児が麻雀するんじゃねぇ!」

「だってこれくらいしかする事ないじゃないっすか」

「部長も一緒に何やってんの!」


「マリカのためならパパ張り切っちゃうぞ!」

「バルバトスのおっさんもいつ来た!?」

「先ほど井岡殿に呼ばれてなぁ」


  もういいや、俺は黙々とゲームでもするか・・・。


「おにーちゃん。一緒にお風呂は居ろ~」

「パパ上と入れよ~」


「え~私のスジ○ン見せるからお前のち○こみせろよ!」

「うるさいわ!」


「ち○こ! ち○こ!」

「お下品だから連呼するんじゃありません!」


  俺は、マリカのしつこさに負け、井岡と部長を伴って大浴場に。


「小さいな!」

「うるさいわ!」

「パパ――悟さん粗○んだよ!」


「ははーそうだねー」

「もう二人とも出てけよ!」

「まぁ・・・いいじゃないっすか、とっとと入りましょ~」


「どう? セクシーでしょー!」

「もういいわ!」


  幼児にセクシーポーズ取られたからって勃つかよ!


「こうやってお風呂に一緒には居ると小さい頃を思い出すな」

「嘘つけ、家に帰ってこなかったじゃん!」


  いたたたたたたたたたた!


  仕事人間だった部長は延々と仕事漬けだった。だから子供は奥さん

 に任せっぱなしでまともなコミュニケーションがとれてなかったと

 思われる。だから逃げられるんだよ。


「でも、これからはずっと一緒にいられるからね~」

「いや、さすがに毎日顔見るのはうぜーよ! ハゲ!」


  辛辣! パパ上ピンチ!


「それはそうだな、例え見た目が戻っても過ぎ去った時間は戻って来る

 ことはない。済まなかったな。マリカ」

「私が居て欲しいときにどうしていてくれなかったのさ!」

「ほんと、すまなかった・・・」


「でもさーパパって若いときはほんとハンサムだったんだねー」

「ああ、女の子にモテモテだったぞ!」

「今は?」


「・・・・・・」


  やめてあげて!


「こんな、おっさんがもてるわけねーか」

「マリカ、パパ傷ついちゃう!」

「しょうがねーな~。マリカが遊んでやるよ!」


「マリカ!」

「ちょ!髭じょりじょりやめれ!」

「なんだ? 昔好きだったじゃ無いか!」


「うそつけ! おもいっきり嫌がってたし!」


  だから嫌がられるんだよ! おっさん!


  過ぎ去った時間は戻らないが、それを埋めようと努力すれば埋めら

 れるかもしれない。あの親子の姿を見て、少しだけ、そう思った。

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