第15話 日本旅行 後編

  朝食はバイキングだ。今日は早めに出て他県の有名な海水浴場へと

 向かう予定だ。気づいたら日本は夏真っ盛り、俺の顔も真っ青な酷暑

 だった。通りで暑いわけだ。


  女の子達がどんな水着を着てくるか正直楽しみではある。クレアの

 水着は一緒に買いに行ったのもあってどう言う奴かは知っている。

 俺のリクエスト通りセパレートタイプのちょっとハイレグ気味の奴だ。


  スタイルもいいので試着のときも凄くセクシーだった。リザリーに

 しても、セシリアにしても、ロザリアにしても井岡にしてもみんな可

 愛い。もっとも、井岡は、今おっさんに戻ってるが。


  幼女の水着姿とかぶっちゃけどうでもいいので、残念でも何でもない。


  ヤンデレクレアは、とにかく俺が他の女の子と接触することすら

 嫌がる。何度刃物を突きつけられたか。この癖直させないとダメだな。


  電車を乗り継ぎ、今日宿泊するホテルに荷物を置いた後、海水浴場へ。

 ホテル内で着替え終わり海パンにTシャツというラフな格好だ。女性

 陣も上にシャツを羽織りホットパンツやミニスカート、フレアスカート

 等おもいおもいの装いでレンタカーに向かう。駅近くでレンタカーを

 借りていてホテルまでレンタカーで移動していた。


  俺、部長、ヒロミちゃん、井岡、ミックは皆車の免許を持っている。

 全員が乗れる大型のワゴンタイプの車だ。行きはミック、帰りは俺が

 運転する予定だ。車は持っておらず基本社用車しか運転してはなかった。


  ゴールド免許なのでしばらくは更新はいらないがミックや井岡、

 ヒロミちゃんはちゃんと免許更新をしているという。日本に来たとき

 レンタカーを借りるにもないと不便だからと言う理由で。


  俺も確かに身分証明証の代わりとして常に持ち歩いているな。

 現住所は実家に移した。といは言うもののネットも何もないので特に

 住所がどうのこうのってないんだけどな。


  ミックは一戸建てを所有していて、車はこちらに来る前に引き払った

 そうだ。数ヶ月か1度程度、管理の為に戻るらしい。日本に仕事でやって

 来る際、宿泊場所があると何かと便利なのだとか。何百万と口座内に

 現金があるのでしばらくは光熱費だとかの引き落としの心配はいらない

 のだと。


  こっちに来る際なけなしの円を俺は少し下ろしておいた。幾分か財

 宝やら金を換金して口座に入れといた方がいいかもなぁ。面倒だから

 つい、放置しがちになるが。アレルカンティアで生活しているので、

 基本あちらで一通り揃ってしまうので。必要最低限のものは。


  レンタカーに揺られ昼過ぎに海水浴場に到着すると人、人、人で

 ごった返していた。海水浴とか何十年ぶりだろう。日光よけのパラソル

 とマット、浮き輪をレンタルして場所を確保しにいく。


  クーラーボックスには来る途中コンビニで買った氷と飲み物が

 入っている。昼食もそこで購入して食べて来ている。それにしても

 うだるような暑さだな。


  空いている場所にパラソルを立て、荷物を置いて上着を脱ぐ。

 雪緒ちゃんはまだ歩き始めたばかりなので基本はヒロミちゃんが面倒

 をみている。ヒロミちゃんはワンピースタイプの水着だ。人妻という

 のを意識してかあまり派手なのはチョイスしなかったのだと。


「部長は泳がないんですか?」

「私はいい。ここでヒロミちゃんと一緒に荷物番でもしてるさ」

「正直、俺も泳ぐのはちょっとって思ってるんですけど」


「行ってやれ、みんなお前のこと待ってるぞ」

「ちょっと、一泳ぎしてきます。この暑さで海に浸からないのはさすがに

 きつい・・・」


  井岡、ロザリア、リザリーは先に海辺でビーチバレーを始めていた

 とは言っても人だらけで周りに迷惑が掛からないように縮こまってだが。


  ロザリアはワンピースながらもおなかと背中が大きく開いた水着だ。

 リザリーは赤いセパレートタイプのをチョイスしていた。普通の奴なの

 だが、彼女はプロポーションもルックスも良い。だからよく目立つ。


  井岡がいなけりゃ即声を掛けられそうな勢いだ。


  アンネローゼ様はレンタルのビーチベッドにもたれかかっている。

 さすがにこの暑さなので上着を脱いで水着姿だ。その横にはアストリア。

 こんな所に来てまで警備せんでも・・・。


  バルバトスは部長とビールを飲み始めていた。姫様の事はアストリア

 にでも任せておけばいいと思ってるのだろう。おっさん完全に遊びモード

 だな。


  クレアとセシリアは井岡達に紛れてビーチバレーをやっている。

 最初は各々で一人で泳いでいたが、寂しくなって合流したようだ。


  セシリアはブルーのビキニだ。上下共に簡素なフリルがあしらわれて

 いる。みんなやっぱいいスタイルしてるなー。毎日こんな美少女達と

 一緒に生活できる幸せを今、噛みしめているところだ。


  コンビニで日焼け止めを購入して塗るように言ってはおいたが、

 あいつらちゃんと塗ったのかな? 今アストリアがアンネローゼ様に

 塗っている。ガチガチに緊張しながら。羨ましい奴。


「いけません! 姫様! ご無体を!」

「いいではないか・・・ふふふ・・・」


  エロい手つきで今度はお返しとばかりにアストリアにサンオイルを

 塗布するアンネローゼ。悪戯な笑みでアストリアの乳首をいじくる

 辺りに悪意を感じる。人が見ている中であれはちょっと可愛そうだ。

 人によってはうらやまし、けしからん状況だが、アストリアの性格と

 護衛という役割を鑑みると、単に遊ばれているのだ。


  あんな、エロいおっぱい背中から押しつけられて塗られた日には

 おっきするの堪えるのも大変だろう。


「アンネローゼ様も何か飲まれますかな?」


  さすがに見かねたのか父親のバルバトスが助け船を出す。


「アルコールを貰おう。甘い奴を」

「かしこまりました」


  コンビニで買ったチューハイをアンネローゼに手渡すバルバトス。

 いちいち仕草がエロいな。アンネローゼ様は。そんな光景を見届け

 俺は一人遊泳に向かった。


  この糞厚い中だと海水が冷たくて気持ちいい。子供時分だと海水が

 温くて全然気持ちよくない事もあったが。その時その時によって水温

 も違う。プールは基本温めに調整されていて水温が高くないときは

 泳げない事となっている。25℃以上とかの時もあるからな。


  それに比べ海水は調整されてないので非常に冷たい事が多い。

 稀に生ぬるいなんてことも体験するが、プールよりは温度が低いことが

 多いのだ。久々に泳いでいるが、一分も経たないうちに止めた。


  さすがに運動不足を感じる。あっちでも若いのをいいことに毎日毎日

 ゴロゴロしてる事が多いからな。元の体に戻ったら余計あかん!


  俺も井岡達に合流し、ビーチバレーに混ざる。ビーチボールをトス

 する度に女の子達のおっぱいが、ぶるんぶるんするもんだからたまらん。

 おっぱいが、お尻がぷるんぷるん揺れる。いかんいかん、おっきする!

 おっきしちゃうううううう!


「悟さんのエッチ・・・」


  背後に冷たい気配が・・・。そしてその豊満で柔らかい胸を押しつ

 けて来るのは、クレアだ。


「おい! バカ! やめろ! 人に見られてるだろ! 恥ずかしい!」


  マイサンがそそり立っちゃうところ他人に見られるのは勘弁!


「悟さん・・・見てるだけでいーの?」


  今度はセシリアが抱きついて来る。前から後ろから挟まれる俺。

 やばい! まじでやばい! たっちゃう! たっちゃうからやめれ!


「そんなに先輩の事好きなら乱交でもなんでもしちゃえばいいのに・・・」

「井岡さんって・・・そう言う人だったんですね・・・」

「さいてーです・・・」

 

  バカの井岡はこういうことを平然と言いやがるからな。これで女の子

 にもてるんだから意味不明。こいつは結構マメな奴だからそういう所が

 受けてるんだろうけど。


「だから嫌がるからああやっておもちゃにされるんであって堂々と胸を

 揉みしだいちゃえばいいんだよ、したら逃げるから」

「二人ともやめなさい」


  多分だけど、こいつらはおっぱい揉んだところで逃げるような奴じゃ

 無いと思うぞ、現場で発情しそうだわ!


  何とか振りほどいて俺はビーチパラソルの日陰に入る。


「ソフトクリーム買ってくるよ、何人か来てくれ」


  俺と、井岡、ロザリア、リザリー、ミック、アストリアの5人で

 向かう、注文後会計を済ませてソフトクリームが出来るのを待つ。

 まず、俺と井岡、アストリア、ミックがソフトクリームを受け取り、

 待機場所に戻る。すぐ戻らないと溶けるからな。


  すると、


「ねぇ、おねぇさん達二人?」


  ロザリアとリザリーがナンパされていた。アレルカンティア言語と

 外人さんお得意の『ニホンゴワカリマセーン』で逃げ去ろうとして

 いたが、


  若い男の一人がリザリーの手を掴んだ。


「いいじゃん、ちょっと遊ぼうよ~言葉なんか分からなくても愛さえ

 あればわかり合えるって~」


「うちの連れに何か?」

「なんだ、おっさん!」

「おい、貴様ら何をやっている!」


  アストリアもやってきて一瞬睨み合いになったが、


「他、いこうぜ。すんませーん、これは失礼」


  もう一人の男は早々に諦めたのでもう一人の男は未練がましさを

 みせつつも、


「これ、俺の番号だから」


  そう言って紙切れを渡して去って行った。


「ロザリア様、リザリー様大丈夫ですか?」

「大丈夫よ」

「ちょっと手を掴まれただけ、一瞬ちょっと赤くなったけど平気」


「ガラの悪い連中もいるものですね」

「まだ、あれはそれでも分別のある方だと思うけどね」


  どこにでもああいうのはいるよな、アレルカンティアでもちょく

 ちょく目にすることはある。


「それでこれは?」


  不思議そうに紙切れを眺めるリザリー。


「ああ、それは携帯の番号じゃない。遊んで欲しいなら連絡くれって」

「用はありませんね」

「デスヨネ」


  海水浴場の中には男のみのグループと女の子のみのグループで来て

 いる場合もある。そう言う場合は大抵出会い目的だったりもするのだが。

 そうそう居るわけも無く、さっきの感じだと手当たり次第に声を掛けて

 いるのだろうなと。


  ナンパなんてものは下手な鉄砲打ち数打ちゃあたる的な精神でやらない

 となかなか口説けないのだ。だからああいうやや強引な手法に出る輩も

 でてきたりもする。下心満載で。


  結局ソフトクリームが溶けたので買い直しになったが。


  後日はレジャーランドをめぐったり、プールへ行ったりして有意義な

 時間を過ごせたと思う。全然気が進まない中社員と行く社員旅行とは違い

 気の合う仲間達との旅行だ。たまにはこういうのも良いな。


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