かわいい女子高生が電車で『君主論』読んでるのかわいい - 2
駅、駅、コーヒーショップ、開いてないウナギ屋、満席の味噌カツ屋、入りづらい手羽先屋、道、道、車。
小雨が降り始めた先に、路面電車の駅。
実の所、路面電車駅の自体は、道沿いに幾つか見掛けてはいた。
路面電車自体は、私にとって特に珍しい物でもない。都電荒川線の沿線に数件の取引先があり、雨の日は気紛れに利用することもあった。
乗り込んだ路面電車の向かいの席に、何となく目を留める。
座っているのは、普通の女子高生だ。胡散臭い黒髪ではなく、ステロタイプなギャル系でもない、普通の女子高生。雰囲気がかわいい。
それが、文庫本に目を落としている。かわいい。膝に載せた通学鞄の上に広げているので、書名は見えない。
ページをめくる手が長袖に隠れているのがかわいい。
不意に指を挟んで本を閉じる――ああ、スマホに通知があったのかな、本に指を挟んだままの左手でスマホを支え、角度が変わって、本の表紙が見える。
『君主論』。マキャベリだっけ。何故女子高生が『君主論』読むの。実家が君主なの? 意味わかんない。かわいい。
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