かわいい女子高生が電車で『君主論』読んでるのかわいい - 3
かわいい女子高生が路面電車で『君主論』読んでるのかわいい。
えっ、すごいかわいい。なんで?
かわいい女子高生がかわいいなんて――あれ、当たり前だな――かわいい女子高生はかわいいし、かわいい猫もかわいい。かわいい猫が路面電車で『君主論』読んでても、普通にかわいいな。かわいいマクガフィンかわいい。
いやでも、かわいい猫が電車に乗ってるのはかわいいけど、かわいい猫が『君主論』読んでたら、「えっ、字、読めるの!?」ってなるな。その前に「えっ、本、持てるの!?」ってなる。
やっぱりかわいい女子高生だからかわいいんだろうな。かわいい独裁者が『君主論』読んでたら怖いもんな。響きが。だって独裁者だし。
かわいい女子高生は、真面目な顔でページをめくる。文字を追うのに、小さく首も動かす。かわいい。
窓外の雨が強くなる。
かわいい女子高生は『君主論』に栞を挟んで畳み、電車を降りて行った。傘を持っていないのかな。服の内側に『君主論』をかばって、走り出す。
かわいかった。
私は次の駅で降りて、逆方向のホームに移り、帰りの電車を待ってJR駅に戻り、そのまま帰途についた。
その頃には雨は止んでいて、太陽が照り付けていた。
そういえば、夏だったんだな。今。
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