Chapter 3 ~学級委員長・礎清歌~ 黄昏の教室
「あらすじを語ろうかしら」
「勝手にしろ 」
「…やっぱり辞めるわ、規制されそうだし」
「お前が自主規制するほどのレベルなのか!?前回にいったいどんな過激な表現が含まれていたと言うんだ!?そこまでいかがわしい内容じゃなかっただろ!」
品行方正で文武両道の学級委員長、礎清歌に夜這いをかけるべく、彼女の家まで来た童貞
そして現在、玄関の前。
「それじゃ…行くか!」
…あれ?
「行くか!」
………あれ?
「何してんのよ、さっさと行きなさいよ」
中に…入れない…。
インキュバスは夢の中に現れる悪魔である為、物理的な障害物は透過することが出来る能力を持っている。
ただし、人間ベースのサキュバスとインキュバスは自身を興奮状態に置くことによって体質を変化させるため、
興奮が冷めるにつれて徐々に悪魔としての能力が弱くなっていくのだ。
「アンタ、角も羽根も尻尾も全部元に戻ってるじゃない、ホント情けないわねぇ…ほら、ちょっと耳貸しなさいよ」
「え…うわっ、ちょっ…」
「×××…」
おい…こんな時に何言ってんだお前…
「×××…、×××…」
待て、やめろ、それ以上されたら…
「×××…?」
…え?今お前、何て言った?
「ぺろり」
うわっ!コ…コイツ、耳を!
なんて奴だ、耳元で囁きながら耳を舐めるなんて!やめろ!腰に手を回すな!
やめ…あっ…うっ!
「危なかったぁ、もう少しで逝かせちゃうところだったわ、本番前に萎えられたら元も子もないし」
まぁ…興奮はしたけど…。
アウトだろ、さっきの。
「さて、今度こそ行けるわよね?」
「……。」
玄関の扉に触れる。ドアの向こう側が透けて、家の中が見える。よし、行ける。
「…行けるぜ」
「それじゃあ、早く行きましょ、時間も押してることだし」
そして、委員長の部屋へとたどり着いた。
「うわぁ…綺麗な寝顔してる…」
「どうだか、今頃××の夢でも見てる頃かも知れないわよ?」
「内容なんて何でもいい、どうせ夢の中であれこれするんだからな」
「アンタに果たしてそんな度胸があるのか見物だけどねぇ」
反論できない…。
「まぁせいぜい童貞捨てて、男になりなさいな。この腐れ××委員長ならアンタの童貞の一つや二つくらい難なく貰ってくれるわよ」
「さっきから言ってるけどな、委員長のこと腐れ××って呼ぶのやめろ。お前は知らないだろうがな、委員長は貞淑・清楚そのものだ」
「アンタこそよく知らないんじゃない?私は色んな人間とその夢を見てきたのよ?中には大企業の社員もいたし、受験勉強に疲れた学生もいたわ。
人間の見る「夢」はね、心の逃避行でもあるのよ。それは、自分も知らない自分が最も強く出るものなのよ?特にストレスを溜め込みやすい人間は、知らず知らずの内に欲求不満になっていることなんてざらにあるんだから。」
そっか…忘れてた。普段はあんなんだけど、コイツは
童貞の俺とは____違う。
「分かった、言われてみれば俺も委員長のこと全部知ってる訳じゃないしな。むしろ知らない事の方が多い…。お前の言うとおりかも知れない。」
「分かったら、とっとと行きなさいよ」
「…ああ。」
夢の中に入る為には、対象となる相手に直接触れる必要がある。直接、地肌にだ。服の上から触れたりしても、夢の中には入れない。
委員長の
精神を集中させ、目を閉じる。
そして大きく深呼吸。
…ホントはコレ、興奮が鎮まるからあまり良くねぇんだけどな。
慣れてないから仕方ないが。
徐々に体が委員長に
そして__夢の中へと入り込む。
「…行ったか。せいぜい見物くらいはさせて貰おうかしらね」
____閉じていた目を開ける。
見えるのは、黒板。椅子。机。
窓から差し込む西日。ひぐらしの鳴き声。
ここは…教室…?
俺も制服になってるし。
学校の夢を見ているのか…。
これではっきりした。委員長は委員長だ。
寝ても覚めても真面目そのものじゃねぇか。
勘違いも
欲求不満なんてとんでもない。
あんなに貞淑で身持ちの堅い委員長を誘惑するなんて自殺行為だ。帰ろう…。
「床入くん?」
なっ…最悪のタイミングだ…。
「…委員長」
「何で床入くんがここにいるのかしら…?」
まずい。委員長にこれが夢だとバレるのは後々面倒だ。適当にごまかして逃げよう…。
「…何でもいいだろ?」
「まぁ別にいいわ、それより週番の仕事はやってくれた?」
ここ本当に夢の中か?現実じゃねぇの?
夢の中で週番の仕事なんかしねぇよ、普通。
「…そりゃ、もちろん」
「そう、よかった」
会話が繋がらない…。
基本的に口数は少ないんだよなぁ、委員長は…。
「それじゃ、俺、行くから…」
「待って」
「何か言い忘れたことでも…ってッ!?」
待つのはお前だ!
品行方正・文武両道・秀麗寡黙・成績優秀・才色兼備・真面目・貞淑・清楚を謳う稀代の美少女学級委員長、礎清歌!
何故…何故…制服の下に何もつけてないんだ!?
「い…委員長…!」
「…どうかしら?」
こ…この場合…何て答えるのが正解なんだ!?誉めるべきか!?どう誉める!?
畜生!童貞には思いつかねぇ!
「上だけじゃ…足りないのかしら…?」
ま…まさか…下もはいてないんじゃ…!?
「わ…分かった!分かったからスカートにかけた手を離してくれ委員長!あと制服のボタンも留めてくれ!」
これじゃどっちが夜這いかけに来たのか分からねぇよ…
「…どうかしら?」
「え?」
「私のカラダ、どうなの?」
何だその質問は!?展開が早すぎる!
…返答の内容によっては抹殺されかねない。
慎重に言葉を選んで、当たり障りのないように…。
「綺麗なのね?」
自分で言いやがったよ…
口裂け女でもまだ返答の余地があるぞ?
「…ああ、綺麗だよ」
「そう、良かった。それじゃあもうちょっと見てもらおうかしら」
委員長はそう言って、スカートに手をかける。
「待て待て待て!何を考えてるんだ!?さっきから変だぞ委員長!何でいきなり脱ぎ出したりするんだ!?」
「…何か問題でもあるの?」
「大ありだ!良識確かな委員長なら考えなくても分かるだろ!?こんなの委員長のキャラじゃねぇよ!」
「…やっぱり駄目ね。私を壊すには、これぐらいじゃ足りないわ」
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