Chapter 2 ~学級委員長・礎清歌~丑三つ時にて
狙い目は欲求不満な人間。その為、日頃から観察をしておき、精気を奪えそうな人物をマークしておくのだ。
というかまず、そもそも「夢」とは何かを説明しなくてはならない。
心理学や生物学における「夢」の定義はどうだか知らないが、悪魔の言う「夢」とは基本的に
原則的に、より多くの精気を奪った悪魔の方が夢の中での力が強く、奪える精気の量も多い。
「長々と語っちゃって。一人も堕落させてないどころか未だに童貞の癖に」
「…今のモノローグ聞こえてたのかよ」
「何言ってんのよ、アンタの声でナレーションが入っていたじゃない」
「ナレーションなんて入ってねぇよ!アニメじゃねぇんだから!」
「私を担当する声優さんは釘×××さんがいいわ」
「高望みし過ぎだ!」
「かっ…勘違いしないでよね!別に…アンタの為じゃ…ないんだから…」
「くぎゅうううううう!」
「冗談はさておき。今日のターゲットはさっきの腐れ××委員長でいいのかしら?」
「おい、腐れ××とか言うな、委員長はそんな淫乱じゃない」
「何言ってんのよ、さっきも言ったでしょう?ああいう真面目ぶってるコほど、ストレス貯めやすくて、欲求不満になりやすいの!
絶対こっそり一人で××してるか名前も知らないような男と××してるに決まってるわよ!」
「やめろ!それ以上言うな!」
「うるさいうるさい!おっぱいの大きい女なんてみんなそんなモンなのよ!」
偏見だった。
「お前…それ嫉妬だろ」
「……。」
「自分の胸が小さいからだろ」
「……。」
「サキュバスの癖に貧乳だからだろ」
「……。」
「それはただの巨乳への嫉妬じゃ…」
「うるさいうるさい!小さくないもん!」
「でもお前、委員長から『いやらしい匂いがする』って言った時に胸の事言ってたよな?少なからず意識してたんだろ?」
「それとこれとは関係ないわよ!それに揉んだら大きくなるっていうもん!」
「それは童貞の言うことだ」
嫉妬だった。
「うぇぇ…今に大きくなるもん…ひぐっ…」
泣かせてしまった。
…流石にちょっと罪悪感があるな。
「ひっ…ひぐっ…ひっ…ひっ…」
うわぁ…しゃくりあげて泣いてるじゃん。
これは謝らないといけない空気だな…。
「分かったよ、悪かったから、謝るから」
「…私のコト、マッターホルンって言った」
「そんな事一言も言ってねぇよ!お前、世界有数の霊峰レベルで絶壁じゃないだろ!?」
「ううっ…霊峰レベルじゃないけどやっぱり絶壁なんだぁ…」
揚げ足取りやがって、面倒臭い奴だ。
「はいはいすいませんでした、どうしたらお許しいただけるのですかお嬢様?」
「…私のコト巨乳って言ったら許してあげる」
そんなに巨乳になりたいのか、コイツは。
「ルージュサンハキョニュウデース」
「あからさまなカタコトで許してもらえると思ってるわけぇ?もっと感情込めなさいよ」
「ルージュさんは巨乳です」
「まだ感情が足りないわ」
「……ルージュさんは巨乳ですッ!!」
おまわりさんが聞いていたら事情聴取をされそうな宣言を強要されたうえに叫ばされた。被害者なんだか加害者なんだか分かりゃしない。
「おーほほほほっ!そうよ、私は巨乳よ!
男共の理想の胸よ!崇め奉りなさいっ!」
ちくしょう!面倒臭い奴だ!
「…誰が虚乳なんて崇め奉ったりするかよ」
「虚乳ですって!?虚ろな乳と書いて虚乳ですって!?オトメの胸を侮辱したわね!?」
「うるせぇ!いい加減にしろよお前!胸の話はもう終わっただろ!だいたい、何がオトメだ!乙女はムダ毛剃るの面倒臭いとか下着は一週間使い回してるなんて死んでも言わねぇよ!」
「乙女なんてみんなそんなモンよ」
「そんなわけあるか!お前本当に女子か!?」
「早く腐れ××委員長の所に行きましょ?夜が明けちゃうわ」
「誰のせいだと思ってんだぁぁぁぁ!!」
人々が寝静まり、明かりの消えた夜の町に、俺の怒号が響き渡った。
深夜二時。真面目な委員長の事だ、きっととっくに寝ているはずである。
これから委員長の夢の中に入り込んであんなことやこんなことをしようというのだ。
分かっていても、やっぱり緊張する。
__窓から差し込む月の光。
薄暗く、少女の香りが漂う部屋。
静かな部屋に響く、押し殺した嬌声。
凛々しく、貞淑そうな印象とは裏腹に、
色欲に囚われ、淫らにオスを求める委員長…
「尻尾生えてるわよ、あのコで妄想してたんでしょ?それもずいぶんと生々しいやつ。
さしあたりベッドシーンかしら?」
「っ!?」
「どうやら図星みたいね、えっち。」
「お前にだけは言われたくない!」
元々が人間ベースの
授業中にルージュが耳もとで囁いてくるものだから不覚にも反応してしまったり、クラスの女子グループの会話に反応してしまったりとちっとも落ち着かない。
「ま、別にいいわ。これからヤるんだから心の準備は出来ておいた方がいいし。というか、
「ヤるってお前…俺はそんなつもりじゃ…」
「何しにきたと思ってんのよ、まさか忘れた訳じゃないわよね?アンタ、精気を奪わなきゃ死んじゃう体なんだからね?というかというか、私が毎晩精気をあげてるからかろうじて生きてられるのよ?」
「いや、そうだけどさ…」
「ここに来て怖じ気づいたりしてないでしょうねぇ?これで何回目かしらぁ?夜這いかけて来たのに途中で怖くなっちゃってやめちゃう男は、女の子から見てどんな風に映るのかしらねー?」
…確かに、これまでにも何度も別の少女に夜這いをかけたが、俺のせいで全て失敗に終わってしまっている。
悔しいがルージュの言う通りだ。
我ながら自分が情けない…
「言っとくけど、ここまできて帰るなんて選択肢はないわよ?今日こそはアンタに童貞捨てさせるんだからね?そうじゃないと私のプライドに関わるのよ?泣く子も喘ぐ快楽と堕落の化身、孤高の小悪魔ルージュ様に堕とされた男としてちょっとは自覚を持ちなさい?」
「分かったよ…今日こそは…な。」
「童貞のいうことだから信用ならないけど、男に二言は無いわよね?その言葉、忘れないわよ」
「それじゃ…行くか!」
__俺の、初体験の夜が幕を開けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます