第13話 嵐の夜は出会いの始まり

 

 ーー時はフゴタの回想から少し戻る。


 この世界では夏の終わりにある梅雨の、嵐の夜。

 滝の様に流れ落ちる雨は歳を積み上げた木々の枝々を悉く折り、更に打ち落とされる雷が、森の自然を破壊する。


 森の中に出来る水路は急激な流れで海へと向かう。

 森に住む生物達はこの豪雨の中、どうか、自分の住処が流されないよう、雷が落ちてこないように、と、心の底から願い外を眺める。


 強烈な音が、凄まじい豪雨が、迫り来る雷鳴が、恐怖を煽る。

 そんな中を、一つの影が走り抜ける。


 立ち塞がる風の、雨粒の壁をその膂力で駆け抜け、水分を含み泥濘ぬかるむ足場をものともせずに、爪を立てて走り抜ける。


「ーーーーーーッ!!」


 背後から迫る五つの黒い影。

 振り返る余裕は無いが、その距離は開きつつある。

 恐怖を煽り立てる根源の声は、徐々に聴こえづらくなる。

 だが、だからと言ってその速度を落として仕舞えばすぐに見つかる。


 疲れ果てようとも、脚が滑ろうとも前に、ただ前に進むしか無いのだ。

 進むしかーー生きる道はーー。


 ---


 それは兎に角、美少女だった。

 いや、突然何の脈絡もなく、何の話だと怒られるかもしれないが、本当に美少女だったのだ。

 森にあった一つの元々人が住んでいただろう石造りの家々が、瓦礫となり一つの史跡に変化を遂げた素朴な場所に、彼女はいた。

 見目麗しい少女を見つけたのは全くの偶然で、魔術の特訓をと思い一人森で特訓に励んでいた時、明らかに今まで嗅いだ事のないような甘い匂いを察知。

 何か気になり、そこまで歩けば彼女はいたのだ。


 美しさとは、時に、時さえも止める力を持つ事を僕は初めて知った。

 髪を後ろで纏めたフサフサの金色のポニーテイルは腰まで届き、まるで狐の尾のように豊かで綺麗な髪、柔らかな面立ちをした童顔。

 だが、そんな幼さを持つ外見には、似つかわしくない程の強い黄色の眼光が、ギャップを感じさせる。


 身長は、目測一六〇センチあるか、ないか程度。キングと焼太郎の身長はほぼ、変わっていないが、辛うじて前より身長は高めの一六〇センチ超え。勿論、これも目測の為確証は無い。

 しかし、その少女を可愛いと、美少女だと思うにはこれではまだ足りない。

 いや、勿論、金髪のポニーテイルというだけで、ポイントはかなり高いのだが。

 童顔で引き締まった顔付きと目付きだけでもギャップは凄いのだが。

 そんな高圧的な印象を受けるのには、ハッキリとしたわけがある。

 服装だ。

 黒を基調とした半袖の服に革の上着を羽織っている。しかもサイズが合っていないのか、わざとなのか、ヘソが丸出し。

 ズボンはジーパン似の、股の境目ギリギリという超極短パン。


 ーー見るからにヤンキーなのである。


 前世のヤンキーの服装よりも、控えめに見えなくも無いが、それでも不良寄りだ。

 その少女が股大開で瓦礫の上に胡座をかき、空を見上げているのだ。

 “廃墟にて黄昏る不良”、何とも絵になるじゃあないか。

 先日の嵐で葉などについた雨粒が陽を乱反射し、元々光り輝いて見える彼女は更に神々しく見える。

 光に混じった悪っぽさが、彼女の魅力を引き立てているのかもしれない。

 これでフーセンガムでも噛んでいたら完璧だろう。


「チッ。オネットが来た」


 声は可愛らしく、透き通る様な響きをしているのに、言い方が荒め。

 まるで、透き通ってはいるが、いざ飲むとその刺激がクセになる“炭酸水”の様な、刺激を見せる少女である。


 金髪ヤンキー少女の後ろにある(とは言っても数メートル離れている)木の陰から鎧で全身を包んだ人間が現れる。


「姫様……お願いします。この森は禁制区。入るのが見つかるだけでも犯罪なのです。あまり危ない事をしないでください」

「うるっせぇなぁ。あたしの行動はあたしが決める。従者のお前に決める事は何もねぇ。だから、あたしについてくんな」


 しかも口も悪い様だ。

 ヤンキーの典型的なタイプな感じである。

 鎧が姫と呼んでいる事から従者の関係だろうが、彼も苦労している事だろう。

 探すのも一苦労だというのに。


「でも姫様……ちゃんと毎回書き置きしてくれるじゃないですか。『今日は、午後陽が真上に上がってから下に落ち始めた辺りで、迫害の森の廃墟に行ってくる。それまでは街をぶらつくから付いてくるなよ!』って」


 凄い良い子だ!

 ちゃんと書き置きして時間と場所まで指定する良い子だった!!


「う、うるさい! だってしないといざという時、あんたが大騒ぎするじゃない。後々が面倒だから、手間かけて書いてるのよ」

「はい、お陰でしっかりと姫様の周りの警護が出来ます」

「だから、それは要らないっての!」


 何というか……微笑ましい光景だ。

 従者も困っている、とするならば彼女の性格面であって、行動に関しては特に心配もしてないのかもしれない。

 というよりも、その二人の光景を草叢の陰から見ている僕の方が、危ない光景なのだろうか。

 腕をブンブン振るって怒る金髪ヤンキー姫。

 それに対し、ヘルムで表情は読み取れないが、多分暖かい眼をしているだろう従者。


 彼らはその後、少しの言葉を交わした後、また森の中に消えて行った。


「何をしている? キング」

「あ、鬼丸」


 ズシンズシンと地響きを立てながら近寄ってくるのは、パンツ以外着ているものは無い、大きなツノが特徴的な銀髪の鬼、鬼丸だ。

 三メートル強という身長の高さにいつも見下ろされているのだが、仲間に加わってから約一ヶ月。

 さすがに慣れ始めてきた。


「いやね、さっき金髪黄色目の女の子を見かけてね。珍しいな、と」


 この森で暮らし始めて、もうすぐ二ヶ月が経とうとしている。

 その二ヶ月の間に、魔物以外の何かに出会った事はない。

 辛うじて会話を交わせるのが、鬼丸、フゴタブヒタ、ワイズ、そして醜小人ゴブリン達と言ったところ。

 どれもが会話を出来たとしても異形の者ばかり。

 だが、あの少女は確かに普通の格好ではなかったが、人の形をしていたのだ。

 人の形をして、感情的に動いて、喋ったのだ。

 それはそれは珍しく、例えるなら携帯アプリで夏限定モンスターとか言って、当たる確率は一%以下。そのモンスターを偶々当ててしまった様な、そんな感覚。


「金髪に黄色……? キング、そいつ耳長くなかったか?」

「ん……? いや、至って普通の長さだったと思うけど……」

「ぅぅん。そうか。なら勘違いか」


 頭をぽりぽり掻きながら、踵を返し帰っていく。


「あ、待ってくれよ。鬼丸」

「どうした。キング」


 折角、この場に自分と同じくらいの力を持つ仲間が来てくれたのだ。

 このまま返すにしても、醜小人ゴブリンやフゴタ達が仕事をやってくれている。

 一応リーダーと副リーダーに当たる僕と鬼丸の仕事は特に無い。

 鬼丸も暇を持て余しているから、僕の元に来たのだろう。


「折角だからさ、一緒に魔術の練習、体術の練習して戦闘の特訓しない??」

「おお、そりゃ魅力的な提案。鬼の相棒には猪神がなるってな」

「それ……もしかして鬼の女房に鬼神がなる、のもじりなのか? それ夫婦に言うやつだし、確か残酷な人に使う言葉じゃ無いか?」

「二回も傷物にされたぜぃ……」

「やめてくれっ! 鬼丸が裏声使って言うとなんかゾクゾクする! もじもじするな気持ち悪い!」


 まずこの世界にも通用する慣用句ってどうなのだろうか。

 だけど、腕をルの字にして顔を隠し、内股でもじもじする鬼をさすがに許容できはしない。

 まぁ、それだけ仲良くなった証拠なのだが。


 軽口を叩きながらも、双方構えて練習の準備に入る。


 練習、とは言っても簡単な打ち合いみたいなものだ。

 僕が未だ出せる魔術は“焼肉狩包丁やきししかりぼうちょう”だけである。

 鬼丸はそれを“鬼闘魂オーガ・ソウル”だけで対応する。

 魔術を持続的に発動させながらの体術の特訓。

 これが中々に効果的で、最初は三十分と持たなかった戦闘が今では一時間は軽く戦える。


 これを続けていけば更なる戦闘技術の向上に繋がるだろう。

 拳に熱苦しい程の熱気を纏い、真実火を拳に灯す鬼丸。

 それに対し、短く呪文を唱え包丁をその手に顕現。

 いつでも戦闘は準備オーケーだ。


 踏み込み跳躍の構え、鬼丸はどっしりと構えて僕からの攻撃を前から受ける体勢。

 面白い……、さぁいくぞ!!


 ーーと、心に決め今にも跳びかかろうとした、その時だ。


「キング! 大変フゴよ!」


「ウォォォォォオオーーーーッととと! な、なんだ!」


 草叢から飛び出す、灰狼グレイフォックスに乗ったフゴタ。

 その巨体に似つかわしくない軍馬よろしく軍犬 (乗る用)である。彼らは狼に誇りを持っているから、軍狼と称しておこう。


「お、フゴタロウ。灰狼グレイフォックスの乗り心地どうだ?」

「ん、中々に良いフゴよ。よく手懐けたもんフゴ」

「ふん、おれとキングが共にいれば、鬼に金棒、キングに鬼丸。勝てないものなんざ、いないって話だ」

「そりゃ心強い限りフゴよ。でも、キングいちの部下はこの俺、フゴタだと言うことを忘れないでほしいフゴ」

「ふん、ならおれは右腕、太く逞しい右腕だ」

「な、なら! 俺は左腕フゴ! 左腕フゴよ!」


 ギャーギャーと喧嘩を始めた二人に、背中で暴れるフゴタが重いのか不満気な顔付きの、灰狼グレイフォックスだ。


 ーー灰狼グレイフォックス

 彼らは僕が見た始めの魔物だ。

 いや、フゴタ達を含めれば勿論、初めてではないのだけど、それを抜けば始めに見たのは灰狼グレイフォックスだ。

 鬼丸と同盟を組んだ後、彼らは攻めて来た。

 きっと僕らを危うい存在と認識し、早めに倒そうとやって来たのだろうが、それを二人で返り討ち。

 風の刃は怖かったが、鬼丸の火力とブヒタの土属性の壁により、無事に撃破。

 その後は灰狼グレイフォックスも傘下となり、三種族混合の集落となりつつあるのだ。


「ーーって、そんな事争ってる場合じゃないフゴ! い、行き倒れの女の子フゴよ!」


「「女の子?」」


 二人して首を傾げる。

 この森には誰一人入ってこれない。いや正式には入ってこれない訳じゃないーー入らないのだ。

 どういう理由かは知らないが、この森は人間の間では立ち入りが禁止されているほどの森。

 まぁ、その割には金髪の美少女だったり、フルアーマーの騎士だったり見かけてはいるけれど。

 これで三人目、しかも一日に三人だ。

 明らかな異常事態。金髪の美少女が関わっているのかは分からないけれど、行き倒れと聞いては放っておく事も出来まい。

 とりあえずフゴタの案内に従い、女の子の場所に案内をしてもらう。


「……これは」


 木の根元に出来た樹洞の中に身体を震わせる小さな女の子。

 見た目十歳ちょいと言ったところだろうか。

 だが問題はそこではない。

 雨にずぶ濡れで身体を震わせ、首には鉄の首輪、着ている服も布切れ一枚。そんな状況にいながらもそれより注目する点が彼女にはあった。


「シマシマの……猫耳だ」

「こりゃ、珍しい。獣人族ワビトだな」


「「獣人族ワビト?」」


 黄色と黒の縞柄の耳と尾がチラリと顔を見せている。

 だが元気が無いのだろう、ダラリと垂れている。

 初めて見た動く獣人に、目を丸くして見つめていれば、鬼丸が気になる単語を発し、反応する俺とフゴタ。

 どうやら鬼丸もそれ以上知っている事は無いようで、手詰まりの状況。

 全てを知っている人物に話を聞く必要がありそうだ。


 --


「って事で来たんだけど、なんか都合いい時だけ利用してるみたいで気がひけるなぁ」

「……何を言う。ワタシは知識を与える為に存在している。そして、同時に欲してもいる。君が知りたいと言うのならいつでも、どこでも呼びたまえ。必ず駆け付けよう」


 願うだけで出現するびっくり館、知識の館。

 そこの支配人、眼だけ顔無し青頭のワイズだ。

 知りたい、と願うだけで気付けば近くに出現するという、その神出鬼没さは折り紙つきであるが、何度も体験すればさすがに慣れる。


 柔らかな葉で身を包みまるで赤子のような姿になっている獣人。

 最初は寒さで震えていたが、びしょ濡れの布を剥ぎ取り、身体を拭いた後に暖かくなるよう葉で巻けば、震えも止まり呼吸も正常になった。

 発見してから約一時間程経っているらしいが、未だに目を覚まさない。


「……これは、確かに珍しい。大戦時代に滅んだ魔族の一種族……獣人族ワビト。しかも子供が生存しているとは、驚きだな」


 手に持つ赤子の様な獣人をワイズに見せれば、これ見よがしに眼を近づけて、舐めるように観察している。

 一応服を着せているとはいえ、幼い女の子の身体をまじまじと見ているこの絵面は、他から見れば犯罪一発アウトに違いない。


「脱がせるぞ」


そう言って取り外す服がわりの葉っぱ達。

露わになるのは彼女の貧相な身体付きである。このぐらいの年頃であればもっと肉が付いても良いくらいだと言うのに、目立つのは肋骨が浮き出るその体躯だ。

食事は取れているのだろうが……にしても少女の身体つきではない。


「……ふむ、身体にも少々傷があるな……。解析ついでに治療もしよう」


 腕をひゅっ、と白いボロ布のローブ中に隠し、もぞもぞと動けば次に出てくるのは大小様々な触手だ。

 動きが気持ち悪いのは勿論の事、触手から滲み出る粘液がその不快さを増していた。

 その触手で獣人を見事に包み込み、まるで餌に群がるワームのようーー


「ーーって、これ大丈夫なんですか!?」

「心配するな……これは治療だ」


 そう、顔無い顔でニヤつきながら、触手を動かし続ける。

 そうする事数分、触手の呪縛から開放された女の子の姿はネチョネチョになっており、見るだけで憂鬱な思いだが、傷は無くなり、心なしか肌も艶が生まれ満ち足りた顔をしている気がする。

 どんな効能だよ……。


「なるほど。この子は奴隷の様だね」

「あんまり訥々に自分で納得しないで下さい……。なんで、奴隷っていう結論に至ったんですか?」

「首に首輪が付いているだろ? これには魔術の術式が組み込まれていて、呪文を唱えるだけで空気中の魔素を吸い発動する魔術道具マジックアイテム。急激に締め付けるようになっているのだが……強制的に痛みを与える道具など、奴隷か囚人くらいにしか付けない。そして、監獄はこの大陸にもあるがかなり北にある。ここまで逃げてくるにも幼いこの子では無理だろう。ーー故に、“奴隷”だ」


 確かに……。

 首には錆び付きが見られる、その矮躯には見合わない程の大きさを持った鉄の首輪が付いている。

 その大きさは肩幅程では無いにしろ、かなりそれに近しい大きさだ。

 ファッションで付けているわけでは……やはり無いのだろう。


「これを外す方法は、無いのか?」

「あるぞ。所有者に外させればいいのだ。ワタシが破壊しても良いが……この手の魔術道具マジックアイテムは、単純な分強制力が強い。無理に解除しようとすればこの子にも少なからずダメージが行くだろう」

「そんな……」


 元々どうやってこの子が迫害の森にやって来たのか分からないのだ。

 どうして迫害の森に、どうやって、何の為に来たのか。

 それを解明する必要がある。

 そもそも奴隷なんて身分で、雨の中森を駆け抜け、ずぶ濡れになって行き倒れていたんだ。

 予想が出来ないーー訳がない。


「つまりは逃亡中の折、この森に迷い込んだ、って事ですよね……」

「まぁ、そう考えるのが妥当だな」


 二人で顔を見合わせ、その後粘液に塗れた女の子へと眼を向ける。


「ここでの問題は他にもある。この獣人の幼子を何の用途で、人間は使っていたのか。

 戦闘用か、金目的か、それとも性的欲求か……」

「そ、そんな! こんな小さな子を!」

「無いとは言えない。人間とは年中盛っている生き物、それに彼女は魔物のワタシから見てもいい造形をした顔付きだ。男が欲情したとしても、おかしくはない」


 その言葉を聞いて、思わず彼女の身体を見る。

 身体つきは勿論幼い為、まだまだ腕も脚も細く、良く言うならスレンダー。

 だがその顔付きは確かに可愛いものである。

 赤味がかった茶色の髪質に、大きい眼、柔らかな面差しだが、寝ていながらも光らせる八重歯は、獣を強く主張しているよう。

 そこにケモ耳が付き、尻尾まで生えているのだ。もし前世の秋葉民を解き放ったら即お持ち帰りかもしれない。


「……ていうか、そもそも魔族って何です? 魔人とは何か違うんですか?」

「うん? その説明をしていなかったか?」

「まぁ……多分聞いてないですね」


 ふむ、と腕を組みながらワイズは眼を閉じた後、片目だけを開けて言う。


「魔力を持つ動物が魔物。人間も魔力を持つがそれは人の形をしているから出来た事と言っていいだろう」

「??? いまいち分からないんだけど」

「前も言ったが魔物は魔物としての段階をあげる時、人の形になるのは魔素の循環効率が良いから。人間は循環効率を上げ、更にその上から“詠唱”、“呪文”を唱える事で魔術を使える。魔物は体内に呪文の代わりの“魔臓器”を持っているから呪文は無くても魔術は使える。人は基本的詠唱と呪文が必要、と言う事だ」

「うーん、それは分かりましたけど」


 そう、重要な事がまだ話されていない。


「魔族とどう関係があるんですか?」

「ま、つまりはな。魔人に進化する過程をすっ飛ばして、人間にーー“”が埋め込まれたのが魔族だ」

「ーーな」

「驚く事ではない。百年前起きた第一次魔王大戦、そこで魔王も人間も同じことをしたのさ。獣人族は魔王側が作った物だな」

「もの……って」

「モノさ。命があっても戦争の為に作られた戦闘兵器がーー獣人族ワビトなのだから」


 その衝撃を身に浸る余裕も無く、物語は僕を置いて進んで行く。

 剣呑な雰囲気を放つ空間の中、空気を乱すような間の抜けた声を出す何か。


「……ふっわ……ーーーーここ、どこ?」


 可愛い寝顔を見せる獣人の女の子が今ーー眼を覚ました。

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