第22話 眷属の条件

【眷属の条件】


 行きと同様に地下鉄を使って帰って来た。

 部屋に付くと今日買ってきた物を出す様に要求されたので出すと、今日の収穫を皆さんチェックし始めた。

 

 流石人妻、リネーネ様は大胆である、買ってきたショーツを広げのび具合なんかを俺の目の前でチェックされている。

 

 ちょっと何だか、恥ずかしい・・・

 

 「今日立て替えて貰った費用は帰ってからお支払いしますのでアメリアの分も含めて請求して下さいね。」

 辺境伯家の資産を考えると今日ぐらいの費用は何でも無いだろうと思う。ソフィーにしても同様だろう

 

 「今日購入された分は全て俺のおごりです、支払いをする必要はありませんよ、気にしないで下さい」

 「いや、それは悪いわ~、こう言う事はきちんとしとかない・・・」

 リネーネ様はちゃんと支払う意思を示して下さっているが、恐らく俺が受け取らないって事も承知の上での言葉だろう、では、○○ルドです、って言えば直ぐに払ってくれるだろうが、そんなまねは当然しない・・

 

 「アメリアのお母様ですから気にする必要はありませんよ、次回から追加の分はちゃんと受け取りますから」

 「そう、悪いと思うけど、そこまで言うのなら有りがたくお世話になるわ・・・」

 「ルーカス、有り難う。大切につかうわ」


 「ルーカス様、有り難う御座います、でも、私は後でお金は払いますね。」

 アメリアがお礼を言ってきた。


 「二人とも喜んで貰えればそれでおれも嬉しいよ。それからソフィー、侯爵様からは沢山もうけさせて貰ってるからお金のことは心配しなくて良いよ。」

 

 「皆、順番にお風呂に入ってくると良いよ、奈津、使い方を教えてあげて・・」

 「はい、取り敢えず、皆来て貰えますか?」

 

 説明が終わってリネーネ様以外が戻って戻ってきた。リネーネ様はそのままお風呂に入ったみたいだ・・・リネーネ様は環境への適応が早い・・・

 

 「リビングで待つ間にTVのスウィッチを入れると驚かれた。」

 「これってどうなってるんですか?」

 テレビの仕組みを全く知らない人に伝えるのかなり難解だとおもう。なのでTVとは何かの概要だけを説明する。

 

 「うん、お芝居やなんかを伝えてるのをTVって装置で受け取って見ることが出来るんだよ、もちろんお芝居だけじゃ無くいろんな情報も何だけどね。」

 「ふーん、便利なんだぁ・・・」

 分かったのか分からないのか、まあ、何となくでも感じて貰えればそれでいいと思う。

 

 リネーネ様がお風呂から上がってきた、早っ、恐らくシャワーだけを浴びてきたんだろう。アメリアとソフィーに風呂へ行くように勧めると、こそこそと今日買った下着を見えない様に取りだして持っていった。うん、うん、うぃうぃしさが合って良いなとほのぼのと見送る。

 

 リネーネ様の格好をみて驚いた。

 すけすけである、下着がまんま透けてるベビードールを着てるだけだ・・・


 「リネーネ様、流石にそれでは目のやり場に困ります。」

 リネーネ様はしめたって顔をしながら笑ってる。

 

 「別に、目のやり場に困らなくても良いのよ、見たいところを見て良いのよ。見られて嫌なら着てくる訳ないでしょう。久志の視線は心地よいわ、どう似合ってるかしら?」

 

 「とてもお似合いです、でも、何か着て頂かないと心が落ち着きません。」

 「あら、落ち着かないなら、襲ってくれても良いわよ、ルーカスならちょっと抵抗があるけど、久志ならいいわ」


 「いやいや、それは不味いです、私もまだ、辺境伯に殺されたくないですから」

 「あら、私はこっちの世界では独身ですわ!」

 リ、リネーネ様、怖いです、今日は冗談と本気の境目がファジーです、混沌としてます。

 

 「リネーネ様、久志をからかうのはそれくらいにして今日買われたパジャマを着替えられたらどうですか?」


 「そうね、奈津さんがそう言うのならちょっと、着替えてくるわ」

 リネーネ様は取り敢えず昨夜泊まった部屋に服を着替えに行った。

 

 「久志、何やってんのよ、リネーネ様、あれ、マジだわ。ま、考えてみれば歳はあたしと同じ歳だしね。」

 「え、ま、まじなの?、確かに冗談と本気の境界がわかりにくいとは思ってたけど・・・」

 おれは奈津の言葉にちょっとびっくりした、ま、確かに俺がこっちで久志になってれば範囲になり得るのかも知れないが流石に不味いですよ。

 

 「リネーネ様はかなりこちらの世界を気に入ってたみたい、店員ともおかしくなく話してたし馴れるのは早いみたいよ。かなり本気でこっちに住みたいと思ってるみたいよ?」

 

 「まさか、旦那ほっぽいてそれはないだろう・・・一応、愛し合ってるし」

 「それって本当なの?、愛し合ってるの?、貴族って私の知る範囲では結婚に自分の意思は反映されないんじゃないの?、結婚してあきらめと情が絡むって言うのが多いんじゃないの?、そっりゃたまには結婚して愛し合うって事もあるとおもうけど・・・」

 

 「だ、大丈夫だよ、手を出さなきゃ良いんだから・・・」

 「気を付けてよね、って、ま、私にとっては別にどっちでも良いんだけどね。」

 流石に奈津のこの発言はには驚いた。奈津がこんな事を言うなんて想像も出来なかったし。

 

 「えっ、そうなの?」

 「あら、言ったでしょ、独占まではしないって、それに私から見れば正直なところ、アメリアちゃんやソフィーちゃんに欲情する方が心配だわ。リネーネ様は人妻って事を除けば私達と、変わらないし・・」


 「ソフィーちゃんなんかだと自分の子供だって不思議は無い年齢よ」

 そう言われるとそうなんだよねぇ、正直なところアメリアやソフィーよりリネーネ様の方が性の対象なんだよなぁ・・・

 

 (仮にそうなった場合、リネーネ様はこっちの世界で暮らしてもう、元の世界には戻らないはず、私は常に久志のいる場所にいるわ、久志は今後、拠点を向こうに移し、こっちは仕入れに来るぐらいになるわ、それを思えば私から見てもリネーネ様は容認しやすい存在と言えるわ。それにこっちを管理する人がいた方が都合が良いのは確かだし。)

 

 「ただ、久志が誰と関係しようが久志の中に私がいる限りは気にはしないわ、ん、ちょっと違うわね、目を瞑れるわ、でも、美恵子とよりを戻すのだけは絶対駄目。」

 

 「心配しなくてもそれはあり得ないよ、美恵子とはもう、ずっと以前に終わってたし、彼女自身、新しい男と新しい生活を始めてるしね、一度こわれた物は新しく作るよりずっと難しいとおもう。それにもう、会う機会も無いだろう。携帯からも消したしね。」

 

 「えっ、なに、なに、誰とよりをもどすって・・・」

 リネーネ様が着替えてきたのでこの話は打ち切りになった。

 

 「何でも無いですよ。」

 「あら、ま、そういうことにしておきましょう。」

 

 「ねぇ、久志君、明日は何処に行くの?」

 もう、早速明日の事に興味は移っている様だ・・・

 

 「そうですねぇ、明日は車で郊外の店行こうと思ってます、基本的には向こうの世界へ持って行く物の仕入れをしようと思っていますので向こうで人気がありそうな物を教えて貰えると嬉しいです。」


 「車って今日、街を走っていた馬のいない馬車の事で自動車って言うのよね、あれに乗れるのかしら」

 「はい、それで行くつもりです。」

 

 「久志も持っているの?」

 「はい、持ってますよ、こちらに貴族はいませんが・・・向こうで言う平民でも頑張れば買える値段ですから」

  向こうの世界では平民はほんのごく一部しか馬車はもっていない、せいぜい荷馬車があれば良い方だ・・・

  

 「久志達がうらやましいわぁ、こんな素敵な世界で暮らせていて・・・どうして召喚なんかで私達の世界になんて来るのかしら?、私だったら嫌だわ」

 

 「俺の場合は強制的につれて行かれたんですけどね、でも、いまでは結構、向こうの世界を気に入ってますよ、今後は向こうを拠点に生活するつもりですし。」

 

 そんな話をしているうちにアメリア達がお風呂から上がってきた。

 

 買ってきた夕食にはデパ地下で買ってきたお総菜で済ませた。

 

 夕食の後、奈津と俺は風呂に入った。当然、別々だ。

 

 俺が上がってきて、缶ビールを開けて飲んでいると

 「さて、これで一息ついた訳だし、昨日の約束の眷属の話をして貰えるかしら?」


 「あぁ、そう言う約束でしたね、一応、リネーネ様は眷属の候補から外れるので席を外して貰うか、口をつぐむ沈黙の契約を交わして頂く必要があります、これはリネーネ様だけで無く聞くも人は全てに適応されます。血縁の1親等以外に話したばあいは盟約に死がもたらされます。

 相違分けなので自分は守れない人は席を外して下さい。

 「・・・・・」

 だれも外さなかった、ソフィーが微妙にどっちか分からなかったが後は大体想像通りだった。

 

 「最初に俺について話しておこうと思う。」

 「質問は話が終わってから最後にしてくれ、そうで無いと話が進まないので・・」

 「わかった・・・」

 皆が頷いた。

 

 「俺はこの世界で生まれ、34歳まで篠崎久志として生きてきた、34歳の時に死んでルーカス・ハミルトン(16)となった、この時点で俺は女神により半神となった、つまり半分は神で半分は人って事なんだが、この時点で俺は不老不死となった。活動の都合上、元の久志形態にもなれるし、魔物や動物へと変化することも出来る。」

 「ちなみに俺は300年前の勇者の生まれ変わりだ・・・その時の記憶も一部だが戻ってきている」

 

 「アメリアの召喚魔法で召喚獣として呼び出され、そこを足がかりに少しづつ替えていくことを前提でアメリアの所へ行った訳で偶然では無い、アメリアって決めたのは女神で俺じゃ無い」

 

 「この世界にいる時は、基本、篠崎久志として活動する方が何かと都合が良いのでね。

 あっちの世界ではルーカスが基本となる。」

 

 「俺には女神から依頼された使命がある、それは向こうの世界をよりよいかたちに変えていくこと、どうやら現状のままでは向こうの世界は腐敗と戦乱の時代に突入して世界の滅びへと歩み始めているらしい、神自身は世界に介入出来ない決まりなので半神の俺が介入するかたちとなった、今後、100年~200年掛けて替えていくつもりだ。」

 

 「その使命を果たすために眷属を作ることを女神から許されている、眷属はこの世界から3人、向こうの世界では人数の制限は無い、眷属を作るために眷属候補として向こうの世界の候補者をこちらの世界に1度だけ72時間時間滞在させる事を認められている」

 

 「眷属とは文字通り身内になることを意味している、つまり血縁のないものを身内にするにはそういった関係に継続的になるって事になる。眷属になると俺と同様、不老不死となり、年齢は18歳~22歳の間で固定される、現状、30などの場合は若返ることになってしまう。」

 「眷属になるとふたつの世界の行き来は制限がなくなるが向こうの世界の眷属が4人以上同時に滞在することは出来なく成ってる、3人までは可能でこちらの世界の眷属は含まれない」

 

 「眷属となれば当然、俺と一緒に国の改革を進めていくことになる。眷属を作るのはその為のブレーン作りの為であって決してハーレムなんかでは無いし、眷属になる者は不思議とそれが受け入れらる様になるらしい」

 

 「今のところ、眷属候補この奈津一人だけだ。」

 「ま、大体こんな所か?」

 

 「はい、じゃ、ここに来た者は全員、眷属候補って訳ね」

 行き成り人妻のリネーネ様が恐ろしいことをおっしゃっている。


 「いや、いや、たまたま、向こうの世界の女性って事で、今回は眷属と言うより観光としてリネーネ様は連れて来てあげたって言うのが正解なのでアメリアもソフィーも眷属化を気にすることは無いよ」

 

 「アメリアを眷属にするつもりだったんじゃ無いの?」

 リネーネ様はずばりと直球を投げてきた。

 

 「まあ、考えたことはあったけど、アメリアは俺の主人って立ち位置だから眷属化すると主人で有りながら従者の眷属って訳のわからない結果となるので今は考えてないかな?」

 

 「はい、私、眷属化を希望します。」

 ソフィーが一番に宣言した、正直なところ一番はアメリアかと思っていたが、先の事を言ったので控えたのだろう。

 

 「うーん、ソフィーはまだ、13歳なので15歳になるか侯爵の許可がいる。ちなみ侯爵様は1親等なので今の話をしてもいいよ、ちなみに1親等の親族に話した場合、その親族はこっちの世界に1回に付き48時間滞在する事が出来る、但し2回目の滞在までは10日間以上開けないといけない。」

 

 「シロは私を眷属にしてくれないの?、眷属にしてくれないのに寝るのは一緒に寝るの?、そんなのってこの先、辛いだけだよ。」

 

 「ひ・さ・し、一体どういう事かしら?」

 「俺はアメリアの召喚獣だから夜も一緒にいる必要があった訳だよ、ほら、おれ、つい先日までフェンリルだったんだから・・・今後もフェンリルで寝るし」

  奈津は睨んでる、睨んでる、凄い顔して睨んでる。

  

 「久志、もう、人型になったんだから眷属にしないのなら一緒に寝るのは不味いよ、幾ら実際にフェンリルで寝たとしても普段人型になってたら意味ないでしょう。そんな男と同衾してる女なんて結婚なんて出来ないよ。」

 

 「辞めれないんだ・・・召喚獣は基本、夜もいっしょにいなきゃいけないって縛りがある、破ればアメリアは死の制裁を受けることになる」

 

 「あっ、盟約の中にお風呂も一緒って・・・へぇっ、は、恥ずかしくて無理・・・」

 アメリアは顔を真っ赤にして俯いている

 (あわわわ、ふぇっ、いままでフェンリルだと信じてたからお風呂一緒でも平気だったけど、ルーカスの格好なら恥ずかしくて無理だよ。えっーーん、どうしよう)

 

 「ひさし、いっその事アメリアも眷属にしたら?」

 奈津はもう、思いっきり呆れた顔をしている

 

 「眷属にすると眷属の盟約が優先されるので召喚獣の盟約はキャンセルされるけどね。」

 「じゃ、その方が良いわよ、私だって毎日、夜、久志を取られるのはいい気はしないわ。」

 

 「うちの脳筋がキャンキャン吠えるかも知れないけど、気にする必要はないわよ。」

 「それは心配無いと思いますよ、俺がアメリアをどうしようと本人が嫌がっていない限り好きにして良いと許可を取ってますので・・・」

 

 「うそ!!」

 「アメリアと、リネーネ様がハモった。」

 

 「本当ですよ、ちゃんとこっちに来る前に承諾を得ています。」

 「えっ、どうやって説得したの?」

 「べつに、説得なんてしてませんよ、辺境伯の方から言い出したことですから・・・」

 

 (なに、あり得ないわ、一体、どんなやり取りがあったの?、並大抵のことじゃないわよね、言え事態が絡んでる様な事かしら?)

 リネーネはアメリアを好きにして良いなんて本人から言い出すなんて一体どんな理由があるのだろうと考え込んでいたが・・・振り切った。本人に聞いた方が早いって。..

 

 ♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪

 

 翌朝、今日は転移で向こうの世界に戻る事も有って朝食もファミレスのモーニングで済ませて郊外のホームセンター等を中心に回った。

 買い物が終わるとバギーなどの置いてある倉庫に向かった。そこからそのまま転移するつもりだったが今回は連れも多いため、今転移すると向こうに遅くなるので、一旦部屋に戻って翌朝、早くに転移することにした。。

 

 バギーやバイクなどはアイテムバックにいれて行くため、考えてみると魔方陣の大きさ3mの制限は関係無い様な気もしたが女神様が持ち込める範囲って指定していたから何らかの制限はありそうなのでその内に試してみよう。

 

 アズガルド辺境領に転移した。

 

♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪

誤字脱字等を修正しました。

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