第19話 陰謀2

【陰謀2】


「金剛石の件でしょう」

 「き、貴様がどうしてそれを知っている。」

 辺境伯が急に元気になって飛びかかりそうになってきた。

 そこへ侯爵が割って入る・・・

 

 「まあ、まあ、話は最後まで聞こうではないか、ネルソン殿」

 

 「持ち込まれる、金剛石は真っ赤な偽物です、剣で叩けば割れる様な品物です。」

 「旅の途中、領土を抜ける直前に賊に襲われます。」


 「相手にとっては取られればそれで、よし・もし賊を討ち果たせばそれはそれで次の手が打ってあります。」

 「今の筋書きでは王都で王に献上した時に偽物であることがばれます。」


 「もちろん、辺境伯が全ての責任を負う様に買収して筋書きは出来てます。」

 「そこに金剛石の護衛として付いてきたクリストフ男爵の息子、クリスがつい先日取れた金剛石として鑑定を付けた金剛石を献上します。もちろん、算出日もきちんと調整されています。

 金剛石の代金は辺境伯から既に回収しているので損はしないわけですね。」

 

 「辺境伯は王を愚弄した罪人として領地、財産を没収の上、鉱山奴隷行き、ご家族は犯罪人として、ランドルフ様は鉱山奴隷、フォオーネ様は犯罪奴隷としてオットー・フォン・アルデンヌ公爵の元へ性奴隷として渡されます。


 リネーネ様はクリストフ男爵の元へ同じ様に犯罪奴隷として、アメリア様は息子のクリスの元へ同様に犯罪奴隷として・・・メルル様はどっちが取るかで親子げんかの真っ最中です。」


 「今の流れでは、泡良く辺境伯の後釜に座ることが成功したらメルルは息子のクリスへ失敗したらクリストフ男爵の元へと言うことで一応は決着が付きそうですが、まだ、揉めてますね。」

 

 「そ、そんな、馬鹿な、既にアメリア、輿入れが決まっているのになぜ、そこまでして手に入れる必要がある。」

 「辺境伯様、お人が良すぎます。公爵家から正式に正妻として受け入れればそれなりの扱いをしないといけないでしょう、一応、金はあっても下級貴族ですから・・・しかし、犯罪どれにとなればどういたぶろうとなんと問題もありません、殺しても罪にはなりませんし。」


 領民の中で目に留まれればありもしない嫌疑をひどい拷問を掛けて苛め殺したり伏礼して泣いて許しを請う両親の前で娘を犯すなんて事を平気でやっているのは周知の事実です。

 

 「では、持ち込まれた金剛石を偽物と鑑定士鑑定させれば問題は無いな。」

 「王家指定の鑑定士が鑑定した金剛石の鑑定をどうやって覆すのですか?、今から他の王家指定の鑑定士を連れてきて間に合いますか?、仮に間に合ったとしてもそもそも、来てくれる鑑定士のコネはありますか?」

 

 辺境伯は崩れる様に落ちて・・膝を付いた・・・

 「終わりだ、ロッシーニ家はおわりだ・・・」

 「俺は自害する、シロ、頼む、家族を救えるだけでも救って逃げてくれ・・」

 

 「諦めが早すぎます、馬鹿な事は止めて下さい、何の心配も要りません。先程も言った様にアメリアは私が護ります、家にも迷惑は掛けません。」

 

 「おれはどうすれば良い・・・」

 「べつに、このまま、この企みに乗れば良いだけです。あっ、途中の盗賊の襲撃には注意が必要ですね怪我をしてはつまりませんから・・」

 

 「辺境伯はこのまま、私の案に乗るしか無い訳ですが・・・」

 「ルーク侯爵様、もし、私に騙されても良いって思われるなら、持ち込まれる金剛石の鑑定書に裏書きをして王都まで付いて来られることをお薦めします。

 こちらとしては侯爵爵も一緒に移動されるなら公爵様の護衛の騎士助かりますし、侯爵を狙った既成事実も出来ますしね。

 そちら側にとっては良いことが有るかも知れないってだけお伝えします。」

 

 「あ、これを渡すのを忘れておきました。」

 そう言って二つの小箱をわたした・・

 その小箱は漆塗りの箱で王家の紋章が箔押ししてあった。

 

 「これはまた見事なつやを放つ何とも高貴な箱だなぁ、ん、これは王家の紋章?、開けても良いか?」

 「どうぞ!!」

 

 辺境伯は開けてみると指輪とネックレスが入っていた。

 手に取ってみて動かすたびにキラキラと輝く金剛石にさらに驚く!!

 

 「こ、この輝きはなんと・・・」

 「おっ、おーーーっ」、侯爵もその指輪の輝きの驚いた・・・

 「この、輝きはこの巧みに削り込まれた為に光り輝くのか?」

 

 「それはランドル家で取れた金剛石の原石を加工した物です。」

 

 「おおっ、金剛石をここまで一点の曇りも無く削って磨き込むとは何という技術だ・・」

 「これは献上する予定の物よりも数倍は価値があるぞ!!」

 

 「辺境伯タイミングの良い時にそれを国王に献上して下さい。王妃、お二方の名前が入ってますので間違いない様に・・・」


 辺境伯はどう渡すのか、どうしていいのかわからないといったようすで私を見ている。

 「辺境伯殿分からない場合はいらっしゃれば侯爵様を頼られて下さい。侯爵様ならきっと正しいタイミングを教えて頂けるでしょう」

 

 「この指輪の出自について聞かれ場合はリンデール領とアズガルド辺境の合同で試作の段階だと、多大な手間が掛かるため現在は試行錯誤の段階ですが、いずれ生産体制が整うと」

 方法などを聞かれた場合は、複数の手法を試している段階でこれといった方法は確立していないと答えて下さい。」

 

 「今までは利用価値がないといった小さな原石でも今後は大きな価値が出てくるでしょう」

 

 「今後、この国にはない技術を投下する予定です、このアズガルドだけでは難しいのでパートナーシップの取れる領を模索中です。」

 「なるべく産業のない領地で新たな産業を起こせればと考えています。」

 

 「では、これよりリネーネ様達を連れて行きます。」

 

 「ちょっと待ってくれ、こちらの筋書きを話しては貰えぬだろうか?」

 「うーん、時間が無いのと、どちらにしろ私を信じるしか道はないのですから結果は同じでしょう」

 

 「シロ頼む、このままでは私は王都に着くまで眠れる日々を過ごす事になる、もし、話してくれたならアメリアに関してはアメリアが悲しまんののならおぬしがアメリアに何をしようとも私は一切、口出ししないとロッシーニ家の名にかけて誓おう」

 

 「わかりました。そこまで言われるのなら話しましょう。」

 「クリストフが男爵位を叙爵された経緯はご存知の通りですから省きますが、王家としては苦杯を喫する思いだった為、せめて物嫌がらせが収益が上がらない荒れ地を領地として与えた所、現状の結果となったわけです、これをどう思ってるか言う必要はないでしょう。

 

 クリストフ男爵だけでなく腐敗した領主のせいで国への収益は減り国家の運営にまで支障が出るのは時間の問題です、現国王は動こうにも宰相を始め士官たちに都合の悪い情報は握りつぶされているのが現状です。

 

 これを打破するためにもランドル領の金剛石の鉱山が喉から手がるほど欲しい。だからと言って取り上げられないし王家では管理運営も出来ない状況です。

 

 ここに没収にいたる理由があって管理運営する方法があれば・・・

 今金剛石は、ある程度の大きさのものを球状にするのが精一杯です、大抵がブローチとして加工されてます。

 これを欲しがる女性は少ないでしょう、ただ希少性のがある為、自慢の道具になってるだけです、これが先のような加工が出来れば需要は格段に拡大しさらに収益は上がるでしょう。また、今まで捨て値で売られていた小さな原石も10倍、100倍の価値が出てくるでしょう。

 

 結果を言えば、クリストフ男爵は謀反及び領民虐待の罪で打ち首、3親等までの親族は犯罪奴隷としてロッシーニ家へ下げ渡されます。隣接するランドル領はアズガルト領へと組み込まれ金剛石の鉱山は王家直轄となり、管理運営は裏書のあったリンデール家が行う事になるでしょう。

 加工された金剛石は王家の専売品となるでしょう。

 

 男爵に加担したものは、宰相、オットー公爵を含め商会にまで大規模な粛清が行われます。

 既に国王を含め王家、その支援、貴族とは打ち合わせ済みですべての準備は整っています。当然、クリストフ男爵側へと裏切る貴族に対する用意も出来ています。

 

 「しかし納得がいかん、儂は王族派の中でも忠臣中の忠臣のつもりだ、その儂に知らされておらんのは儂は王家から信頼されておらんのか?」

 「聞きたいですか?」

 「当然じゃ!!」


 侯爵は面白いほど憤慨している、いじめる時間もないので素直に話す。

 「侯爵様をこの件から外したのは私です、今後、鉱山を管理運営するものはこのような謀にかかわるべきでない。関わればメリットもデメリットも生じる、それは付け込まれる原因にもなる」

 

 「かかわった他の貴族は別の形で恩賞がありますけどね」

 

 「おぬしうちの娘を娶る気はないか?、何なら妾でもいいぞ」

 「はぁ、唐突に何を・・・」

 「まあ、考えておいてくれ…」

 

 「では、そう言う事で2日後にもどってきます。」

 おれはそう言って、すがる様な目で見ている辺境伯は切り捨てた・・・

 13だったら完璧にロリコンじゃないか日本だったら捕まるぞ!そんな事を考えながら食堂を後にした。

 

 □■□ 辺境伯 Side □■□

 

 「侯爵殿、本気ですか?」

 「本気じゃよ、うちの娘は知っとるだろうがかなり人見知りでの、特に男には近づかん、それがアイツはソフィーと呼び捨てで読んでおったしソフィーはシロ様と読んでおった。ソフィーに嫌がってる様子はなかった、つまり気に入っておるという事じゃ」

 

 「それならばあれほどの男だどこに反対する理由がある、今回の件で王家にさえ根回しが出来る男だ、王家から文句が出る事はないじゃろ」

 

 「あの若さで切れ者よのう、まあ、当然と言えば当然なのかもな」

 

 「ただ、今現在の様子を見てきたかの様に知り得るのは凄くも有り怖くもある所よのう、味方のうちは頼もしい限りだが敵に回ったら・・・ん、諦めるしかないよの・・」

 侯爵は献上品の指輪とネックレスを見ながらため息を付いた。..

 

 しかし、この指輪、金剛石の加工もさながら指輪自体の加工もこの国では及びも付かんな、シロ殿の世界をぜひ、一度見てみたい。

 

♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*♪゚*☆*゚♪*☆*゚♪゚*☆*゚♪

誤字、脱字を修正しました。

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